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五人はきっと

メカンジャー

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「レッドメカンジャー!」「ブルー……メカンジャー!」「イエロォメカンジャー!」「グリーン!メカンジャー!」「ピンクメカンジャ~」

 機動戦隊メカンジャーの五人には過去がある。未来がある。そして力があった。

「お前さ、そんなんで言い訳?」

 あいつは俺が裏路地で煙草を吸っているところに現れた。喫煙者……とはいえまだ二十歳すぎの俺には毒だといって何度も何度もやめさせようとしてきたことを覚えている。それが焔崎との出会いだった。
 自分がよしとするものすべてを味方につけるような男だ。自分が別に苦労してここまで生きてきたことない俺にとっては嫌味のような存在ともいえる。だって、何でもこいつはこなしてしまうんだ。俺にはやっとなことも平然とやってしまう。あきれるほどに嫌味ったらしいんだ。
 なにより最初から能力について知っていた。俺が煙草を吸っていたのも能力の一環だと。だけど能力を他人に使われるくらいなら俺のために死んでくれ。そう懇願されたっけな。自分のことを求めてきたのがうれしかった。誰かのためになれるのがうれしかった。だから誘いを受けた――

「俺、やってみようかな」
「怪人との戦いは命懸けだぞ?」
「メンバーが揃うまでは一人で何とかしてみますよ」
「頼もしいな」

 それから五人になるまでに一年以上時間を有した。能力は特殊すぎるが故に見極めも大変なのだとスカウトマンも兼任する焔崎は言っていた。だが今思えばそんなことはなかったんだろう。俺を育てることでメリットがあったんだ。そう、怪人のデータの蓄積だ。それを俺が苦戦するようになってからは二人でやっとのレベルまで跳ね上げ、一人増えるごとに繰り返した。そうして五人そろった時、全員の力が均等になったとき、ブラックホール怪人により異世界へ飛ばした。それがまさか世界征服どころか異世界征服の布石だと知らずに。
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