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木山春斗の勇者録/花沢美雨の勇者録

人生の鼓動

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「……こっちであってるかな?」
「俺に聞くか?」
「……」
「まあ、どうだろうな」

 こっちであってるのかな……分からないなりに頑張ってみよう。分からないから頑張るんだ。……かっこつけてみたけど、これってそれほどかっこよくないよなあ。

「さてさて。どうする?」
「探そう」

 この地で探し出す。オクタヴィアを。そして、バカげた争いを終わらせる。それが僕たちに与えられた使命だ。

「スイマセン――」

 おじさんに与えられた写真で探してみるが……

「うーん、知らねえなあ」
「そうですか……」

 やはり、なかなか簡単にはいかないようだ。まあ、そりゃそうだけど。簡単にいかないのが人生だ。か。世も末だな。だけれども、大丈夫なのだろうか。こんなことしている間にも、世界がやばいんだけどな……

「オクタヴィア、見つかると思う?」
「どうだろうな」

 見つかるはずがない。ケビンはそう言いたいように思えた。いや――ケビンはこの争いを止めるつもりがないないのか? いや、うん……どうだろう。こればっかしは本人にしかわからない。

「なあ、春斗」
「え?」
「俺達、バディだよな?」
「え、うん……そうだけど……」
「……ならいい」

 ? なんだ? どうしたんだ?

「なあ、どうすればいい……? ケビン」
「……さあな」

 その答えは自分で探せ。という事だろう――

「答えが見つかるまで……旅を続けようか」

 僕たちの旅はオクタヴィアを見つけても終わらないだろう。そんなわかり切ったことより、今後の、明日の事を見つめる方が先だ。わからないから明日がある。わかってしまったらつまらないから明日がある。
 今日できなかったなら明日やればいい。明日できなきゃ明後日やればいい。人生はそんなものだ。いたって簡単なんだ。
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