きっと最後は君だから

ジャンマル

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学園祭

その日の夜

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 塾帰り。彼女は公園にいた。とは言っても僕もたまたま立ち寄っただけなんだけど、そこに彼女はいた。
「あの!」
「……ん?」
 僕に気づくと彼女は向こうからこちらに近づいてくる。そして意味ありげに僕の顔を見つめてまるで何かを探すようにじっくりと観察する。正直こんな状況では恥ずかしくて顔を合わせられないから何度も顔を逸らそうとするが彼女はそれを許さないと言わんばかりに両手で僕の両頬を覆って無理やり顔を見つめてくる。ここまで来るとちょっと怖い。
「……はあ」
「え?」
「なんで君なのかな」
 その言葉だけを残して彼女はどこかへ消えていった。「なんで君なのかな?」とはどういう意味なのだろうか?そして彼女はなぜ僕にあんなにも熱心だったんだろうか?……本当に退屈な日々を変えてくれるエンジェル……なのか?いや、分からない。分からないけど何故か僕と彼女はもう一度会う気がする。そして次に会った時、何かを変えてくれる気がする。

 ……そう思って二週間。僕の妄想など叶うはずもなく彼女と再開することは無かった。もう二週間。ここまで偶然も重ならないと多分彼女は遠くに引っ越したんだろう。人の顔を見つめるだけ見つめて、意味深な言葉を残して。誰にでもあんな感じなんだろうか?それに、ちょっと不思議ちゃんだ。
 テレビで見る彼女は天真爛漫で何にでも興味を示すまさにタレント気質。だけど実際にあった彼女はどこか不思議な様子で僕に話しかけ、そして謎に消えていく謎めいた存在だ。本当に、なんなんだろう。
「さむ」
 今日の夜の街は一段と冷えていた。
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