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俺の弟(都和目線の尊との過去)
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1話目で書いた話の都和目線のバージョンです。基本的には、1話目と同じような形ですので、あらかじめご了承の方をお願いします。
ピピピピッといつものようにあいつの部屋から鳴り響いている目覚まし時計の音。暫くして音は、しなくなるが俺にとっては毎日毎日ため息が出る。何故かというと...俺は、ため息を一つ吐きある扉の前に歩いていった。コンコンッとノックをすると躊躇なく部屋に入り決まっていつものセリフを吐く。
「おい...いつまで寝てるんだ...そしていつも言っているだろう...俺はお前の目覚ましではないと...ハァ」
俺は、2度目のため息を零しながら、目の前にいる同居人で俺の弟の成瀬 尊(なるせ たける)を起こしながら尊の次の言葉を待った。すると尊は、
「...まだ大丈夫だよ...高校まで歩いて10分ぐらいだし...余裕で間に合うから...じゃ、おやすみ...」
こう言うと尊は、欠伸をひとつして俺を見やると布団をかぶって寝ようとした。俺は、いつもならここで話を終わらせて部屋を出ていくのだが、今日はそうもいかなかった。尊のかぶった布団を剥ぎ取ると
「...尊(たける)...お前が良くても俺が困るんだよ...毎回間に合うといいながら結局二度寝して学校に遅刻してるって昨日お前の担任の先生から電話で聞いたんだよ...今日も学校に遅刻したら先生が課題出すからよろしく伝えて欲しいって言ってた...。」
そうなのだ...昨日...仕事中に携帯に電話がかかってきたかと思ったら、尊の学校の先生からで、尊が毎朝学校に遅刻してくるって...このままでは留年確定って言われて...学校には、ちゃんと行けてると思っていたからびっくりしてしまった...という訳で今日は心を鬼にして尊を叩き起したというわけだ...内心俺にとっては胸が痛いが、今は我慢だ...
そんな俺をよそに尊は、目を丸くして
「...えっ!??なんでそれを早く言ってくれないんだよ!??課題なんて俺聞いてないし!?」
声を荒らげる尊を見て、俺は痛む胸を必死に抑え込み
「そりゃ、言ってないし。まぁ、とりあえず起きて早く学校行きなよ。俺は、もう5分もしたら家を出て会社行くから。」
俺は、足早に尊の部屋から出てドアを閉めると一気に罪悪感に悩まされた...俺は、なんて酷い兄なんだろうか...尊...こんな駄目なにーちゃんでゴメンな...。俺は、心の中で必死に尊に謝っていた。
俺は、リビングに行くと朝ごはんを準備して...勿論これは尊の朝ごはんだが...それはさておき、俺は会社に行くためにいつものようにスーツのネクタイをリビングにある姿見の前で整えていると、制服姿の尊が起きてきた。俺は、あくまで平然を装い
「おっ、起きてきたな!俺、今日は仕事がちょっと長引きそうだから遅くなると思う。だから、夕飯は外で食べるか家で作るか好きに済ましておいてほしい。」
俺が、鞄の中に荷物を入れながら言うと尊は、ちょっとさみしそうな顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り
「あぁ、行ってらっしゃい。気をつけてね。でも、ご飯はちゃんと作るし一緒に食べたいから待っとく。だから、早く帰って来いよな。」
俺が尊の方を見ると尊は、俯いていた。尊は、昔から照れてる時は、人の顔が見れないっていう癖があることを俺は知っている。両親も知らない俺だけが知っている尊の癖。俺は、ついつい嬉しくなっていつも尊が照れている時には、決まって尊に触れたくなる衝動にかられて...またやってしまった...俺は、靴を履いて家を出ようとしていたが、靴を脱いで玄関からリビングに戻ると俯いている尊の頭をクシャクシャっと撫でた。もう、尊に触れてしまったが最後、俺をとめられる人はいない...
「分かったよ、なるべく早く帰るから美味しい夕飯楽しみにしてるな。」
俺は、もう...尊が愛おしくてたまらず、抱きしめてしまった...だがすぐに我に返り、名残惜しかったが尊を離すと玄関に戻りドアに手をかけ
「行ってきます。」
とひとこと言って家を出ていった。ドアが閉まる前に微かに聞こえる尊の
「行ってらっしゃい。」
という声...この声のおかげで今日も1日頑張ろうって思える。そう、これが俺の現在の朝...周りから見れば充実しててごく普通に見えるかもしれないが、俺にとっては...一年前は、こんなんじゃなかった...もっと自然に...話が出来てた...こうなってしまったのも、俺が一年前に発した言葉が原因なんだと思う。
会社に向かう道中...俺は、一年前の尊との生活に思いを馳せていた。
―俺と尊は、一年前別々に暮らしていた。尊は、まだ高校生で俺は社会人で...尊も両親といた方が楽しそうにしていたし、俺は尊が幸せならそれでいいと思っていた...俺自身は、尊とずっと一緒に居たかったが...そんなある日俺は、休暇をとって実家の方に帰省しに来ていた。帰ってきて早々、両親が居間に座って話をしたいと言ってきたから、何事だろうと思ったが、次の瞬間両親から信じられない言葉が飛び出した。
「...都和に相談したい事があって...尊の事なんだけど...最近、家に帰る時間も10時すぎてからで、なんだか近所の人から聞いたんだけど、悪い男の子達とつるんでるって言われていて...学校では、成績が下がっているくせにろくに学校にも来ないって...こんな事なら、養子なんて取らなければよかったわ...ホントに都和は、こんなにいい子に育ったのに、何処で育て方を間違ってしまったのかしら...ねぇ、何かいい案はないかしら??」
こういって俺を見ているのは、俺の母親で...俺と尊は、兄弟と言っても血の繋がりがないんだ...でも尊には、言ってないし、これから先もいう気はない...だって、俺たちは兄弟よりも堅い絆で結ばれているからなんて両親には、言えないが...だが、今俺の目の前にいる母親は、養子なんて取らなければよかったと言った...その瞬間俺の中で何かが切れた...
「...ちょっと待ってよ。確かに尊(たける)は、グレてるかもしれない、でも、尊は、人に迷惑をかけるような事はしてない。ただ、そう言うのがかっこいいと思う時期なんだと思います。むしろ俺は、自分のやりたいようにやって自由に生きている尊のような人間をかっこいいと思うし、養子だけど俺の弟って事に変わりはないし、尊が弟で良かったとずっと思っている。だから、養子として引き取らなかったらよかったなんて口が裂けても言わないで欲しい。お願いします...。」
俺は、立ち上がって頭を下げていた。俺の弟って言った時になんだか胸がズキっと傷んだが、気のせいだと思う...。
そんな俺を見て父親は、言いにくそうに
「...でもな、都和(とわ)が言うことも分かるが、学費だって馬鹿にならないんだ...これから、大学に通うとなったら年間最低でも100万は、必要になってくる...私たちには、あんまりお金の余裕はないんだ...それは、都和もわかってくれていると思うが...。」
父親が言うことも分かるが、俺は冷静さを失っていた。だって、尊の事だから...。俺は、父親を真っ直ぐに見つめて
「...もし尊の事を、愛せないなら俺が面倒見ます。俺の家に同居させます。」
こう言って、俺は尊の部屋に行こうと居間のドアを開いて2階に向かったんだ...後で、後悔したよな...だって、面倒見ます!なんて...軽々しく言ってしまったんだから...
2階に上がり尊の部屋の前まで来ると俺は、一息ついてドアをノックして、勇気を出して部屋に入った。
尊は、勉強しているのか机に向かっていた。俺は、その隣にあるベッドに腰掛けて、思い切って尊に聞いたんだ。
「...なぁ、尊。...お前...にーちゃんと暮らす気ないか??」
この時の俺の心臓は、張り裂けそうなぐらい鳴り響いていた...。そんな俺には、気をとめず、問題集を解きながら尊は、
「...何で...急に??」
こういうもんだから、これは無意識に言葉を発していた。
「...それは...俺が、お前の事を好きだからって言ったらどうする??」
なんて言ってしまった...言ったあとに、後悔が襲ってきたがもう遅い...
「...!?」
尊は、余程びっくりしたのか必死に解いていた問題集から目線を俺に勢いよく俺に向けた。そんな尊を直視してしまい
「俺な、ずっとお前のこと弟として接してきたが、最近...お前のことが...弟ではなく...」
ここまで言って、やっと俺は我に返った。やってしまった...尊は、俺が同性が好きってこと知らないんだ...もしかしたら、そう言うのが無理なタイプかもしれない...そうだったら...俺は一生...尊に相手にされなくなってしまう...なってしまう......そんなの嫌だ...。俺は、無意識に立ち上がると、咄嗟に話を誤魔化した。
「...なんてな!(笑)冗談だよ!!からかって悪かった!」
俺は、いてもたってもいられず部屋を出ようとした。すると尊は、そんな俺を引き留めたんだ。
「...俺は...いいよ。兄貴の事、ずっと昔から大好きだったから。...俺と...付き合ってほしい。」
俺が、自分の気持ちをコントロールできなかったばかりに...尊に気を遣わせることになるとは...。兄としての立場が無さすぎる...
「...全く。尊、俺が言ったことは冗談だから、間に受けなくていい。でも、一緒に暮らすことは、真剣に考えてほしい。」
俺は、尊にこれ以上俺の気持ちを知られたくなくて話をわざと終わらせるためにいつも以上に冷たく尊に言い放ってしまった...当然...この一日は、尊に対して申し訳なさなどからずっと病んでいたのは、言うまでもない...。
そんな俺に、尊は、さらに追い打ちをかけた...
「...兄貴が冗談でも俺は...本気だよ。本気で兄貴の『...尊...俺たちはそういう関係になってはいけない...俺はともかくお前は、まだ若いし出会いも沢山ある。だから、こんな駄目なにーちゃんとは、間違ってもそういう関係になってはいけない...。ごめんな...。』。」
尊は、俺が部屋から出て行こうとすると、俺を後ろから抱きしめて行かせまいとしたんだ...俺は、内心焦っていた...だって、このままでは、尊の事をどうにかしてしまいそうだったから。だから、俺は、尊にこれまでとったこともない態度をとってしまったんだ...今でも、後悔してるな...(笑)
尊の言っていることを遮って、尊には、自由な恋愛をして欲しいし、尊が幸せなら例え相手が俺じゃなくても、応援しようって決めてるから、だから...押しつぶされそうな心を無視して尊には、俺の気持ちを悟られまいと尊の腕を解いて部屋を出て、足早に外に飛び出した...この日を、境に俺は尊と同居し始めたが、同時に互いにより一層気を遣い合うようにもなった...。―
なんて考えてたら、いつの間にか会社にたどり着いていた...
「...さぁ、今日も仕事を頑張るか!!」
俺は、今朝の尊の顔を思い出し張り切って会社のエントランスへと足を進めた。
ピピピピッといつものようにあいつの部屋から鳴り響いている目覚まし時計の音。暫くして音は、しなくなるが俺にとっては毎日毎日ため息が出る。何故かというと...俺は、ため息を一つ吐きある扉の前に歩いていった。コンコンッとノックをすると躊躇なく部屋に入り決まっていつものセリフを吐く。
「おい...いつまで寝てるんだ...そしていつも言っているだろう...俺はお前の目覚ましではないと...ハァ」
俺は、2度目のため息を零しながら、目の前にいる同居人で俺の弟の成瀬 尊(なるせ たける)を起こしながら尊の次の言葉を待った。すると尊は、
「...まだ大丈夫だよ...高校まで歩いて10分ぐらいだし...余裕で間に合うから...じゃ、おやすみ...」
こう言うと尊は、欠伸をひとつして俺を見やると布団をかぶって寝ようとした。俺は、いつもならここで話を終わらせて部屋を出ていくのだが、今日はそうもいかなかった。尊のかぶった布団を剥ぎ取ると
「...尊(たける)...お前が良くても俺が困るんだよ...毎回間に合うといいながら結局二度寝して学校に遅刻してるって昨日お前の担任の先生から電話で聞いたんだよ...今日も学校に遅刻したら先生が課題出すからよろしく伝えて欲しいって言ってた...。」
そうなのだ...昨日...仕事中に携帯に電話がかかってきたかと思ったら、尊の学校の先生からで、尊が毎朝学校に遅刻してくるって...このままでは留年確定って言われて...学校には、ちゃんと行けてると思っていたからびっくりしてしまった...という訳で今日は心を鬼にして尊を叩き起したというわけだ...内心俺にとっては胸が痛いが、今は我慢だ...
そんな俺をよそに尊は、目を丸くして
「...えっ!??なんでそれを早く言ってくれないんだよ!??課題なんて俺聞いてないし!?」
声を荒らげる尊を見て、俺は痛む胸を必死に抑え込み
「そりゃ、言ってないし。まぁ、とりあえず起きて早く学校行きなよ。俺は、もう5分もしたら家を出て会社行くから。」
俺は、足早に尊の部屋から出てドアを閉めると一気に罪悪感に悩まされた...俺は、なんて酷い兄なんだろうか...尊...こんな駄目なにーちゃんでゴメンな...。俺は、心の中で必死に尊に謝っていた。
俺は、リビングに行くと朝ごはんを準備して...勿論これは尊の朝ごはんだが...それはさておき、俺は会社に行くためにいつものようにスーツのネクタイをリビングにある姿見の前で整えていると、制服姿の尊が起きてきた。俺は、あくまで平然を装い
「おっ、起きてきたな!俺、今日は仕事がちょっと長引きそうだから遅くなると思う。だから、夕飯は外で食べるか家で作るか好きに済ましておいてほしい。」
俺が、鞄の中に荷物を入れながら言うと尊は、ちょっとさみしそうな顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り
「あぁ、行ってらっしゃい。気をつけてね。でも、ご飯はちゃんと作るし一緒に食べたいから待っとく。だから、早く帰って来いよな。」
俺が尊の方を見ると尊は、俯いていた。尊は、昔から照れてる時は、人の顔が見れないっていう癖があることを俺は知っている。両親も知らない俺だけが知っている尊の癖。俺は、ついつい嬉しくなっていつも尊が照れている時には、決まって尊に触れたくなる衝動にかられて...またやってしまった...俺は、靴を履いて家を出ようとしていたが、靴を脱いで玄関からリビングに戻ると俯いている尊の頭をクシャクシャっと撫でた。もう、尊に触れてしまったが最後、俺をとめられる人はいない...
「分かったよ、なるべく早く帰るから美味しい夕飯楽しみにしてるな。」
俺は、もう...尊が愛おしくてたまらず、抱きしめてしまった...だがすぐに我に返り、名残惜しかったが尊を離すと玄関に戻りドアに手をかけ
「行ってきます。」
とひとこと言って家を出ていった。ドアが閉まる前に微かに聞こえる尊の
「行ってらっしゃい。」
という声...この声のおかげで今日も1日頑張ろうって思える。そう、これが俺の現在の朝...周りから見れば充実しててごく普通に見えるかもしれないが、俺にとっては...一年前は、こんなんじゃなかった...もっと自然に...話が出来てた...こうなってしまったのも、俺が一年前に発した言葉が原因なんだと思う。
会社に向かう道中...俺は、一年前の尊との生活に思いを馳せていた。
―俺と尊は、一年前別々に暮らしていた。尊は、まだ高校生で俺は社会人で...尊も両親といた方が楽しそうにしていたし、俺は尊が幸せならそれでいいと思っていた...俺自身は、尊とずっと一緒に居たかったが...そんなある日俺は、休暇をとって実家の方に帰省しに来ていた。帰ってきて早々、両親が居間に座って話をしたいと言ってきたから、何事だろうと思ったが、次の瞬間両親から信じられない言葉が飛び出した。
「...都和に相談したい事があって...尊の事なんだけど...最近、家に帰る時間も10時すぎてからで、なんだか近所の人から聞いたんだけど、悪い男の子達とつるんでるって言われていて...学校では、成績が下がっているくせにろくに学校にも来ないって...こんな事なら、養子なんて取らなければよかったわ...ホントに都和は、こんなにいい子に育ったのに、何処で育て方を間違ってしまったのかしら...ねぇ、何かいい案はないかしら??」
こういって俺を見ているのは、俺の母親で...俺と尊は、兄弟と言っても血の繋がりがないんだ...でも尊には、言ってないし、これから先もいう気はない...だって、俺たちは兄弟よりも堅い絆で結ばれているからなんて両親には、言えないが...だが、今俺の目の前にいる母親は、養子なんて取らなければよかったと言った...その瞬間俺の中で何かが切れた...
「...ちょっと待ってよ。確かに尊(たける)は、グレてるかもしれない、でも、尊は、人に迷惑をかけるような事はしてない。ただ、そう言うのがかっこいいと思う時期なんだと思います。むしろ俺は、自分のやりたいようにやって自由に生きている尊のような人間をかっこいいと思うし、養子だけど俺の弟って事に変わりはないし、尊が弟で良かったとずっと思っている。だから、養子として引き取らなかったらよかったなんて口が裂けても言わないで欲しい。お願いします...。」
俺は、立ち上がって頭を下げていた。俺の弟って言った時になんだか胸がズキっと傷んだが、気のせいだと思う...。
そんな俺を見て父親は、言いにくそうに
「...でもな、都和(とわ)が言うことも分かるが、学費だって馬鹿にならないんだ...これから、大学に通うとなったら年間最低でも100万は、必要になってくる...私たちには、あんまりお金の余裕はないんだ...それは、都和もわかってくれていると思うが...。」
父親が言うことも分かるが、俺は冷静さを失っていた。だって、尊の事だから...。俺は、父親を真っ直ぐに見つめて
「...もし尊の事を、愛せないなら俺が面倒見ます。俺の家に同居させます。」
こう言って、俺は尊の部屋に行こうと居間のドアを開いて2階に向かったんだ...後で、後悔したよな...だって、面倒見ます!なんて...軽々しく言ってしまったんだから...
2階に上がり尊の部屋の前まで来ると俺は、一息ついてドアをノックして、勇気を出して部屋に入った。
尊は、勉強しているのか机に向かっていた。俺は、その隣にあるベッドに腰掛けて、思い切って尊に聞いたんだ。
「...なぁ、尊。...お前...にーちゃんと暮らす気ないか??」
この時の俺の心臓は、張り裂けそうなぐらい鳴り響いていた...。そんな俺には、気をとめず、問題集を解きながら尊は、
「...何で...急に??」
こういうもんだから、これは無意識に言葉を発していた。
「...それは...俺が、お前の事を好きだからって言ったらどうする??」
なんて言ってしまった...言ったあとに、後悔が襲ってきたがもう遅い...
「...!?」
尊は、余程びっくりしたのか必死に解いていた問題集から目線を俺に勢いよく俺に向けた。そんな尊を直視してしまい
「俺な、ずっとお前のこと弟として接してきたが、最近...お前のことが...弟ではなく...」
ここまで言って、やっと俺は我に返った。やってしまった...尊は、俺が同性が好きってこと知らないんだ...もしかしたら、そう言うのが無理なタイプかもしれない...そうだったら...俺は一生...尊に相手にされなくなってしまう...なってしまう......そんなの嫌だ...。俺は、無意識に立ち上がると、咄嗟に話を誤魔化した。
「...なんてな!(笑)冗談だよ!!からかって悪かった!」
俺は、いてもたってもいられず部屋を出ようとした。すると尊は、そんな俺を引き留めたんだ。
「...俺は...いいよ。兄貴の事、ずっと昔から大好きだったから。...俺と...付き合ってほしい。」
俺が、自分の気持ちをコントロールできなかったばかりに...尊に気を遣わせることになるとは...。兄としての立場が無さすぎる...
「...全く。尊、俺が言ったことは冗談だから、間に受けなくていい。でも、一緒に暮らすことは、真剣に考えてほしい。」
俺は、尊にこれ以上俺の気持ちを知られたくなくて話をわざと終わらせるためにいつも以上に冷たく尊に言い放ってしまった...当然...この一日は、尊に対して申し訳なさなどからずっと病んでいたのは、言うまでもない...。
そんな俺に、尊は、さらに追い打ちをかけた...
「...兄貴が冗談でも俺は...本気だよ。本気で兄貴の『...尊...俺たちはそういう関係になってはいけない...俺はともかくお前は、まだ若いし出会いも沢山ある。だから、こんな駄目なにーちゃんとは、間違ってもそういう関係になってはいけない...。ごめんな...。』。」
尊は、俺が部屋から出て行こうとすると、俺を後ろから抱きしめて行かせまいとしたんだ...俺は、内心焦っていた...だって、このままでは、尊の事をどうにかしてしまいそうだったから。だから、俺は、尊にこれまでとったこともない態度をとってしまったんだ...今でも、後悔してるな...(笑)
尊の言っていることを遮って、尊には、自由な恋愛をして欲しいし、尊が幸せなら例え相手が俺じゃなくても、応援しようって決めてるから、だから...押しつぶされそうな心を無視して尊には、俺の気持ちを悟られまいと尊の腕を解いて部屋を出て、足早に外に飛び出した...この日を、境に俺は尊と同居し始めたが、同時に互いにより一層気を遣い合うようにもなった...。―
なんて考えてたら、いつの間にか会社にたどり着いていた...
「...さぁ、今日も仕事を頑張るか!!」
俺は、今朝の尊の顔を思い出し張り切って会社のエントランスへと足を進めた。
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