俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺と兄貴の気まずい1日...。(尊目線です。)

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 兄貴が昨日俺にしたことのせいで、結局部屋に戻った後も、俺は心臓がドキドキして眠ることが出来なかった...。
 そのため今の俺は、ひどい寝不足でクマができ...喧嘩したのかと勘違いされそうだ...。(笑)
 なんて、考えながらいつもよりも早い起床に自分でも驚きながら制服に着替えてリビングで寝ているであろう、俺を寝不足にさせた張本人である俺の兄貴の様子を見に自室を出た。
 リビングに行くと、案の定、兄貴は起きていて俺の方を見ると
「...あっ...おはよう...尊。...今日は、随分と早起きだな...?」
なんて言ってきたんだ...、信じられないだろ??普通は、まず昨日の謝罪から入りそうなものを、何事も無かったかのように声をかけてきたのだから...。
 でも、尊と名前を呼ばれた瞬間に昨日、お酒のせいで普段よりも遥かにすごい色気と熱を帯びた声を思い出し、すぐに顔が真っ赤になった...。
 だから、俺はそれを悟られたくなくて顔を背けると
「...うん...おはよう...兄貴。あー、...なんか眠れなくて...。」
必死に動揺を悟られないように、平常心を装った。
 そんな俺の様子に、一瞬動きを止めたが特に気にした様子もなく兄貴は
「...あっ...朝ごはん...どうしようかな...今から作るからちょっと待ってな...。」
なんて言って床から腰を上げた。
 俺はただでさえ、お酒を昨日たくさん飲んだのに、そんなしんどそうな兄貴を働かせたくなかったのと、昨日の出来事で全く食欲が無くなっていた...。
「...ううん...作らなくて大丈夫だよ...その...あんまり食欲無いし...。」
 と言ったら、今度は心配そうな顔をして兄貴は、俺のおでこに手を伸ばしてきた。
 おいっ、待て待て待て待て!!ちょっと...兄貴...待て!!今、兄貴に触れられるとマジで俺...死亡フラグ立つレベルに...。
 そう思った瞬間、兄貴の伸ばしてきた手を掴んで止めてしまった。
 俺は、あからさまに兄貴から顔を背けて
「...その...ほら...熱とかないし...この年になって兄貴に熱測ってもらうとか...ちょっと...照れるって言うのか...とにかく...暫く俺に軽々しく触れないで欲しいんだ...。...お願いだから...。(泣)」
 俺は、恥ずかしさのあまり泣きそうになっていた。
 そんな俺をますます兄貴は、心配したみたいだったが、暫くの沈黙のあと、ニコッと兄貴は俺に笑いかけて
「...そっか...分かったよ。...でも、俺の気持ちはどうなるの??(笑)俺が、お前に触れたいと思った時は...どう対処したらいい??(笑)」
 ...兄貴は、ほんとにこういう所は鬼より悪魔よりタチ悪いと思う...俺だって、兄貴にもっと触れていたいと思うのに...ほんとに...兄貴って意地悪だ...。
俺は、兄貴を睨むと
「...それは...兄貴の勝手だろ...??...でも、俺も大人だからたまにならいいかもしれない...。...もう一度言うけど、たまになら!!いいって言ったんだからな...。」
 なんて言った俺は、やっぱりまだ子供だ...。だって、こんな意地悪な兄貴に振り回されて...。でも、全く触れれなくなったら多分俺は、耐えきれなくなると思ったから...保険をかけてしまった...。
 そんな俺の頭を都和は、待ってましたとばかりにクシャクシャっと撫でまくった...それはもう、ペットを可愛がる飼い主のように...。
 内心俺は、ペットかよ!!って突っ込んでいたがな...(笑)
 でも、流石に恥ずかしくなって兄貴をまた睨みつけると意地悪そうな笑みをして俺を今度は抱きしめてきた...。
 俺は、もう仕方なく兄貴に身をゆだねた...やっぱりにーちゃんには、適わない...。
 でも、少しすると恥ずかしくなり、いてもたってもいられず俺は、咄嗟に掛け時計の方を見て、兄貴に
「...おれ...今日、学校に早く行かないといけないから...もう出るね...。」
と言って兄貴の抱きしめている手を解くと、急いで自室に荷物を取りにいき、ものの数分で準備を済ませて、玄関で靴を履いてドアに手をかけた時に、俺はふと昨日の夜兄貴が遅かった理由が気になった...もしかしたら、女の人とあっていたのかもしれない...。
なんて色々考えていると、なかなか出ていこうとしない俺を不思議に思ったのか、兄貴は
「どうした??...忘れ物か??」
って聞いてきて俺は、咄嗟に声を出していた。
「...あっ!...兄貴??...その...昨日...の夜って...。...ごめん、やっぱり何でもない!!...行ってきます。」
声を出したはいいものの、いざ聞こうとすると次の言葉が全然出てこなかった...。消え入りそうな声で喋ったこともあり、兄貴は、聞き取りにくそうな顔をして俺の声に必死に耳を傾けていた。
 そんな兄貴の様子を見て、俺は無理だ!!と断念して、咄嗟に話を誤魔化して家を飛び出した。
 兄貴の
「たける!行ってらっしゃい。」
という声が閉まる寸前のドアから聞こえて、俺の頬はまたみるみるうちに赤く染まっていった。

 閉まったドアを見つめて都和は、何かをじっと考えていたが、すぐにいつもの顔に戻り
「よし、俺も...シャワー浴びて会社行くか...。」
と言って会社に行く支度を始めた。

一方家を飛び出していた俺は、家を出るなり大きなため息をつき
「...ハァ...あんな至近距離にしかも昨日の夜あんな事があったのに平気でいられるはずがない...耐えきれなくなって咄嗟に家を出てきてしまったけど...こんなに早く学校に行ってもな~...あー、ほんとに...調子狂うな~...ハァ。」
なんて言って真っ赤になった頬を冷たい外の風で必死に冷やしていた...。
やっぱりにーちゃんは、ノロマド天然野郎だ...。

 ちなみに都和は、昨日の自分がしでかしたことを全く覚えていないので、いつもの調子で話せているのである。
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