ファンタジア!!

日向 ずい

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第9章 「最終審査の悲劇。」

「優の容態は...!?」

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「優.....!!!!!無事か!????お前のいない月並みは....月並みなんかじゃない!!!!!!」

 俺は、不安な気持ちを胸に、一心不乱に優の入院している病院へと駆けつけていた。

 そんな俺の心配をよそに、優はというと.......。

 「優兄ちゃん!!!!その真っ白の頭なぁに????もしかして、玉手箱を開けておじいさんになっちゃったんじゃ......。」

 「違うよ~~~~!!!!!ゆうにぃちゃんは、ふりょうにあこがれてるんだよ~~~~!!!!だから、頭が真っ白なんだよ!!!!」

 「う~ん、そういうわけじゃ、ないんだよな~。....って....あれ???虎雅さん????えっ....嘘っ!????なんで....だって、今日はウィン・ソニの大切な最終オーディションがある日じゃ....。」

 こう言った優の驚いた顔に対して、気がつけば、俺は大きな声でこう怒鳴っていた。

 「お前は馬鹿なのか!???俺たちがお前の家が燃やされたって、弟たちを庇って大やけどの重傷を負ったって聞いて....お前をほったらかして、オーディションにいけるはずないだろ!!!!!...でも、無事で良かった。」

 俺のこの言葉に優は、目をさっきよりも更に見開いてこう言った。

 「あっ、虎雅さん...本当にすみませんでした!!!!!その...ご迷惑をお掛けして...。俺が、もう少し用心深ければ先輩方に目をつけられていることだって、容易に判断出来たのに....。それで、オーディションも....。」

 「オーディションは、いいんだよ。もともと今回は、縁が無かったんだ。....お前が責任を感じることなんて何もない。むしろ、あの先輩方を敵に回して、今回このような結果を招いてしまったのは俺の責任だ。すまなかった...。」

 俺が、優に対して申し訳なさから、目の前の優から視線をはずしていると、そんな俺の様子を知ってか知らないでか、俺の後を追って来た翔真がこう口を開いた。

 「虎雅。何一人でかっこつけようとしてるんだよ!!!お前だけのせいじゃないだろ!!!!俺も、一緒になって先輩方のバンドを辞めたし...それに、俺はオーディションの当日に、オーディションをボイコットして、挙げ句....先輩方との全ての連絡手段を遮断したんだから....。虎雅よりも偉大だよ...!!」

 「えっ、それって偉大...なのか??(汗)いやまぁ、翔真....。お前があの時一緒にバンドを辞めてくれていなければ....今の月並みは誕生していない...。本当にありがとう。」

 「うそぉ...!??虎雅が、誰かに頭を下げるなんて、珍しいこともあるもんだね!!!いや~~、明日は雨が降るのかな???(笑)」

 翔真の挑発的な態度に俺は、翔真に下げていた頭を上げると、無言で翔真に近づき、そして....。

「いだだだだだだだーーーーーー!!!!!!!!馬鹿!!!!!!折れるって...お前、骨が折れる....だから、そんなに絞めんなっ...ででででででででっ!!!!この阿呆!!!!マジで、シャレにならないんだよ!!!!!」

 目の前の翔真が、目に涙をためて痛がっているのは、それもそのはず...俺が翔真の身体を羽交い締めにして、思い入り両腕で締め上げていたからだ。

 俺をここまで馬鹿に出来るとは、なかなかこいつも度胸があるからなぁ。

 やっぱり???

 その気持ちには、素直に答えてあげないとかわいそうじゃん???

 「ぶっ!!!....虎雅さんと翔真...やっぱり二人見ていると面白い!!!....というよりも、俺....今、肺が焼けて呼吸すると痛いんだけど...でも、笑いが止まらない...。はぁはぁ....あははははは!!!!....もう、笑いが止まらないのどうしてくれるの???」

 俺と翔真のじゃれあいを見ていた優は、身体を小刻みに揺らし、けらけらと笑い出したのだった。

 そんな優の様子に、俺と月並みのメンバーは、同じ事を思いついたようで、悪巧みの表情で優に近寄ると....。

 「優~~~~!!!!仕方ないから、俺たちが責任をとって、ハグしてあげるねぇ~~~!!!」

 「優さん!!!俺は、あなたに熱烈な愛のキスを...!!!!」

 「いや....ねぇ、みんな???口が笑ってるのに、目が笑ってないよ???...えっ...虎雅さんまで....ちょっ....お前っ....何ケラケラ楽しそうに見ているんだよ!!!お兄ちゃん、ピンチだろ????ほら、海(かい)...いつもお兄ちゃんの、夕飯作り手伝ってくれるだろ????」

 「おにぃちゃん、愛されてる!!!!!これは、もしかして俗に言うハーレム????うぉー!おにぃちゃんモテモテ!!!」

 「こら、見ているだけじゃなくて...助けっ....うっ...ういやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 優に飛びついた月並みのメンバーは、優にキスをしたり抱きついたり、挙げ句の果てに、くすぐり攻撃をする始末に....。

 優は、近くにいた可愛い弟に、とっさに助けを求めたが、優の弟である海くんは、どうやら少々ませているようで、俺たちのじゃれあいを、にやつきながら眺めていた。

 そんな海くんの様子に、俺たちのテンションは最高潮に達し...最終的に、俺たちは優に、最高に体力を使う馬鹿騒ぎを病院でやってのけたのである。

 当然、後でフロアの看護師さんに長いなが~いお説教されたのは、言うまでも無い。

 「病院で、プロレスごっこは禁止です...!!!!!」

 『っ!???...すっ、すみませんでしたっ...!!!!(汗)』
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