女装男子の俺と...変態カメラマン?

日向 ずい

文字の大きさ
103 / 147
第14号 「俺にしなよ...。」

「沈黙の気持ち...。」

しおりを挟む
 琉架と大樹は、車に乗り亜衣希の居る病院へと向かっていた。
 車内はカフェを出てからずっと、沈黙の中、何も会話がないまま、赤信号で車が停車した。
 ウインカーの音だけが鳴り響く車内の沈黙を破ったのは...琉架だった。
「...あの...大樹さん...。俺...やっぱり亜衣希さんのそばに居たいです...。俺には、亜衣希さんを一生かかってでも、幸せにする義務がある気がします...。」
「...琉架くん...。...君がそう言ってくれてよかった...。ほんとに..良かったよ...。亜衣希にはこれからも...この先も琉架くんが必要だ。亜衣希に正しく進むべき道を伝えられるのも、琉架くんただ一人しかいない...。こんなこと言うと、変にプレッシャーになるかも知れないが...それでも私は、亜衣希を支えていけるのは、琉架くんしかいないと思っているんだ...。だから、どうかお願いだ...。亜衣希を見捨てないでやって欲しい...。(汗)頼む...。(泣)」
 こういうと大樹は、助手席に座る琉架に軽く頭を下げた。
 琉架は、大樹が頭を下げたことに慌てていた。
「...大樹さん!!!頭上げてください!!!そんな...そこまでお願いされるような事じゃありませんし...それに信号青になりそうですし...!!(汗)『いいや、十分にお願いする事だ...。どうか頼む。ちなみに...ここの信号機は、某テーマパークのアトラクション待ちレベルの待機時間があるから大丈夫だ。』...あっ...いえ、その...色々ツッコミたいことあるんですけど...。その前に...その...これは言っとかないといけないことだと思いまして...。俺の方が...亜衣希さんに迷惑かけたり...今回だって...。亜衣希さんに助けて貰っていたし...。(汗)大樹さんには言ってなかったんですけど...実は、俺...ここ一ヶ月前から女の人に...ストーカーされてたんです...。『っ!??』...心細くて怖くて、どうしようもなかった...。そんな俺の側で、ずっと支えてくれていたのが、亜衣希さんだったんです...。警察に行って、事件の犯人である女を逮捕するために、震えて脚がすくむ俺を、何度も何度も奮い立たせてくれた...。昨日...実は、ストーカーの女が逮捕されたって...携帯に警察の方から連絡が来て...。でも、そんな時に、亜衣希さんをよく知る女の人から一通のメールが来て...。(汗)俺は...好奇心からメールを開いてしまったんです...。そうしたら...亜衣希さんと、女の人の仲むつまじく腕を組む写真があって...。(苦)」
 琉架の話に、長い信号機を待ちながら相槌を打っていた大樹は、琉架の話を聞いたあとにこう返した。
「...そんなことが...。(汗)まぁ、琉架くんが無事でよかった...。でも、そんな危険な状態にあるのなら、私にも相談はして欲しかった...。(悔)もしかしたら...手助けできることがあったかもしれない...。...それと...亜衣希の知人を名乗る女の人??からのメール...後で見せてもらっても構わないかな...??少し気になることがあってね...。『...???...えぇ、大丈夫ですよ...??』...あぁ、助かるよ。」
 大樹は思い詰めた顔をして、じっと前を向き、何かに良からぬ思考を振り払うように、車の運転に意識を集中させていた。
 琉架は、急に顔色の変わった大樹の様子に、ただならぬ不信感を抱いたが...ただ、これ以上この話に対して深掘りはしない方が良いと直感的に思い、それ以上何も言うことはしなかった。
 それから残りの道中では、どちらも言葉を発することはなく、気がつけば琉架が追い出された病院の前に戻ってきていた。
  大樹は、車から降りる前に琉架から携帯を借りて例の写真を見ていた。
「...やっぱりな...アイツだ...。中谷美桜(なかたに みお)...。亜衣希のことを最近執着的な目で見ていた...要注意モデルだ...。(汗)...くそっ、亜衣希も琉架くんがいるのに...一体何を考えているんだ...。(怒)」
 大樹は、琉架に聞こえない声でこう呟くと琉架に作り笑いを向けて携帯を返し...ある人に一通の連絡を入れたのだった。
「お前の...妹が...俺の事務所のカメラマンに手を出してる...。お前に...話がある。...この後、俺の事務所にこい...。(怒)」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...