138 / 147
第18号 「嵐のち雨上がり。」
SINさんを追いかける??
しおりを挟む
琉架は、目の前の啓一に対して、とても困り果てた表情を向けていた。
それもそのはず...今回誘いが来ているのは、自分がモデルを始めて、しばらくした頃...憧れのモデルであったSINさんがかつて通っていた養成所でもあり、琉架自らもSINを追いかけるようになってからというもの、いつかはその養成所に入ることを夢見ていたからだ。なら、入ればいいのではないのかと思うが...今の琉架には、それがなかなか決断出来ずにいた。
「...琉架???...ついにやったのね!!琉架が一生懸命に、モデル業をこなしてきた甲斐があったわね!!!琉架の夢がやっと叶うのね~!!良かったわ!!!」
「...。」
隣で琉架の持っている資料を覗き込んでいた竹下は、目をキラキラと光らせて琉架の肩を叩いた。
だが、琉架がそんな竹下に対して、何も言葉を返さないことから、竹下は首をかしげながら、隣の琉架の顔色を伺った。
その瞬間、ようやく竹下は全てを悟ったようで、慌てて口を噤んだ。
琉架の様子で事を悟ったのは、竹下だけではなく、目の前にいる啓一もまたそうだった。
琉架の様子に啓一は、静かに言葉を続けた。
「...もちろん、琉架くんに来た誘いの話だ...。琉架くんが後悔しないようにすればいい。だが、忘れるな...。この話を切れば、君はもう二度と、この養成所から呼ばれることはないと思う。...まぁ、返事は、一週間後で構わないから...それまでモデルの仕事を続けながら、ゆっくり考えなさい。...話は以上だ。いきなり呼びつけて悪かったね...。」
こう言うと目の前の啓一は、琉架同様に困った表情をしていた。
社長室を出た琉架に向かって竹下は、いつも以上に明るい声色で話し出した。
「...ほら!!!そんなに思い詰めた顔しないの!!!!それは確かに...日本を離れて、モデルの本場でもあるドイツに行くのは...気が重いかもしれないけど...。それでも、あの厳しい養成所が声をかけてくれたのよ!!!!それに離れ離れになると言っても、2年間...そう!2年間だけよ!!!ねぇ???琉架...それは、琉架に来た誘いの話だから、私がどうこう口を出すことではないのだけれど...。でも、ここで絶好のチャンスを逃すのは、私は...勿体ないと思うわ...。...うーん、何だか妙に緊張したせいかしら???お腹がすいたわ~、琉架!ご飯...奢るから1杯付き合ってくれないかしら???」
竹下は、歩きながら隣を歩く琉架に、明るい声で外食へと誘った。
琉架も竹下の考えに気付いたみたいで、少しはにかむと小さく「俺でよければ...お供させていただきます。」と声を零すのだった。
竹下は、琉架の元気がないのは折角、亜衣希との仲が戻ったのに、これを期にまた離れ離れになってしまうことに、恐怖を感じていたからだと悟ったため、極力その話題に触れないように、上手いこと気を遣って、話しを紡いでいた。
そんな竹下の気遣いに琉架も薄々気づいて、いつもなら断りを入れることの方が多い、竹下のご飯の誘いを受けることにしたのだった。
琉架が竹下の誘いを断るのには、それはそれはある深~い理由があった...。
それもそのはず...今回誘いが来ているのは、自分がモデルを始めて、しばらくした頃...憧れのモデルであったSINさんがかつて通っていた養成所でもあり、琉架自らもSINを追いかけるようになってからというもの、いつかはその養成所に入ることを夢見ていたからだ。なら、入ればいいのではないのかと思うが...今の琉架には、それがなかなか決断出来ずにいた。
「...琉架???...ついにやったのね!!琉架が一生懸命に、モデル業をこなしてきた甲斐があったわね!!!琉架の夢がやっと叶うのね~!!良かったわ!!!」
「...。」
隣で琉架の持っている資料を覗き込んでいた竹下は、目をキラキラと光らせて琉架の肩を叩いた。
だが、琉架がそんな竹下に対して、何も言葉を返さないことから、竹下は首をかしげながら、隣の琉架の顔色を伺った。
その瞬間、ようやく竹下は全てを悟ったようで、慌てて口を噤んだ。
琉架の様子で事を悟ったのは、竹下だけではなく、目の前にいる啓一もまたそうだった。
琉架の様子に啓一は、静かに言葉を続けた。
「...もちろん、琉架くんに来た誘いの話だ...。琉架くんが後悔しないようにすればいい。だが、忘れるな...。この話を切れば、君はもう二度と、この養成所から呼ばれることはないと思う。...まぁ、返事は、一週間後で構わないから...それまでモデルの仕事を続けながら、ゆっくり考えなさい。...話は以上だ。いきなり呼びつけて悪かったね...。」
こう言うと目の前の啓一は、琉架同様に困った表情をしていた。
社長室を出た琉架に向かって竹下は、いつも以上に明るい声色で話し出した。
「...ほら!!!そんなに思い詰めた顔しないの!!!!それは確かに...日本を離れて、モデルの本場でもあるドイツに行くのは...気が重いかもしれないけど...。それでも、あの厳しい養成所が声をかけてくれたのよ!!!!それに離れ離れになると言っても、2年間...そう!2年間だけよ!!!ねぇ???琉架...それは、琉架に来た誘いの話だから、私がどうこう口を出すことではないのだけれど...。でも、ここで絶好のチャンスを逃すのは、私は...勿体ないと思うわ...。...うーん、何だか妙に緊張したせいかしら???お腹がすいたわ~、琉架!ご飯...奢るから1杯付き合ってくれないかしら???」
竹下は、歩きながら隣を歩く琉架に、明るい声で外食へと誘った。
琉架も竹下の考えに気付いたみたいで、少しはにかむと小さく「俺でよければ...お供させていただきます。」と声を零すのだった。
竹下は、琉架の元気がないのは折角、亜衣希との仲が戻ったのに、これを期にまた離れ離れになってしまうことに、恐怖を感じていたからだと悟ったため、極力その話題に触れないように、上手いこと気を遣って、話しを紡いでいた。
そんな竹下の気遣いに琉架も薄々気づいて、いつもなら断りを入れることの方が多い、竹下のご飯の誘いを受けることにしたのだった。
琉架が竹下の誘いを断るのには、それはそれはある深~い理由があった...。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる