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第18号 「嵐のち雨上がり。」
俺の意思
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コンコンとノック音を響かせると琉架は、重たい扉を押し開けた。
中には、待ってましたとばかりの表情で、琉架を出迎える啓一の姿があった。
啓一は、琉架を社長室内にあるソファへと促すと、おもむろに話を切り出した。
「それで...決意は決まったかな...??」
多少言いにくそうに口を開いた啓一を、真っ直ぐに見つめると琉架は、真剣な口調で言葉を紡いだ。
「はい、決めました。...俺は、ドイツの養成所に...。」
その頃...琉架のことを、頭の片隅に置きながら、撮影に追われる亜衣希は、目の前のモデルの写真を撮り終えると、近くの椅子に座り、つかぬ間の休息をとっていた。
そんな疲れ果てた亜衣希の元に、少し気味の悪い笑みを浮かべた大樹が、向かいの椅子に腰をかけた。
「いや~、お疲れ様。...それで、例の写真...上手く仕上がりそうか??」
目の前の大樹に対して、あからさまにお呼びでないといった顔を向け、亜衣希は短く答えた。
「うーん、まぁね...。(誰のせいで...睡眠時間2時間にしてると思ってるんだよ...。まさか、クリスマスの時のお説教代わりが、他のカメラマンの長期休暇のための代理出勤だとは聞いてなかったよ...。この...性悪社長が...!!」
そんな亜衣希の姿に思わず、笑いを噛み殺す大樹を睨みつけている亜衣希のことは、見えていないのか大樹は、続けて話をした。
「うん、それは良かった。何せ、最近『メイド×ロジカル』の雑誌を出したせいで、ここでモデルをしたいって言ってくる子がたくさん増えてて...。カメラマンが足りなくなっているから、亜衣希には迷惑かけるね...。」
「いや、それはいいんだけどさ...。(全然良くねぇよ...!!!タバコ...ケース買いしてくれないと割に合わない...。)最近、琉架に会えてないから...ちょっと参ってるっていうか...。(問題は...やっぱりこれだよな...俺もう琉架不足で餓死寸前だし...。)」
亜衣希は、少し照れたように大樹から顔を背け呟いた。
そんな亜衣希の様子に大樹は、少し悩んだあと、コクコクと何か納得したように頷いた。
「うん、何が言いたいのかわかった気がする...。でも、もう少しだけ頑張ってくれ。...頼んだぞ??」
「...っ...くそっ、俺社畜じゃん...。少しぐらい休みくれても...『あっ!そうだった!!ごめん、亜衣希。悪いが、契約している子会社から、背景の参考資料作ったから、取りに来て欲しいって言われてたの忘れててな...。早急に取りに行ってもらえないか??』...あっ!??...ッチッ...分かったよ...。(こいつ話をすり替えやがったぞ...。)...ったく、行ってくればいいんだろ??」
亜衣希が何か反論を返そうとしていたことが分かった大樹は、咄嗟に先日電話があった子会社からの完成した撮影用の背景サンプルを取りに来て欲しいと言われていたことを思い出し、それを亜衣希に頼んだ。
亜衣希は、訳がわからないといった声で、大樹に返したが大樹は、知らん顔で席を立ち、そそくさと事務所に戻っていこうとしたため、ため息をひとつつくと亜衣希は、渋々了承したのだった。
この時...亜衣希は、琉架がドイツの養成所に留学するなんてことを、まだ知る由もないのだった。
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