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第三章 「王子とロファン...それと俺。」
「王子の言い分。」
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お城へ戻るなり、リル王子は掴んでいた俺の腕を乱暴に放すと、俺の方を勢いよく振り返り
「...今まで何をしていたんだ。この馬鹿...!!お前は、俺の妃になるかもしれない女なのだから、もっと緊張感を持て!!!!今日も、あの女に頭を下げて機嫌を取ったからお咎めなしに出来たものの、何かあってからでは、王族全体の信用を失うことにも繋がるんだぞ。これからは、もう少し考えから行動するようにしろ。」
と冷たいけれど、それよりもリル王子は、悲しそうな酷く歪んだ表情で俺を見つめていた。
そんなリル王子の考えていることなど、全く理解していない俺は、王子の一方的な言い分に酷く腹が立った。
何が、「俺の妃になるかもしれないから、もう少し緊張感を持て!!!」だ。
元はと言えば、マティ達を使って俺を虐めている、お前のせいでこうなってるんだろうが!!!
痛めつけては、慰めて...そしてまた、酷く痛めつける......お前は、一体何がしたんだよ!!!
このサイコパスクソ王子!!!!
などなど ...自身の中で膨れ上がった数々の不満が、喉まで出かかっていたが、ここは大人にならないとと思い、ぐっと言葉を堪えようとした。
だが...ボロボロになった今のリオンには、もう気持ちを抑える程の気力も残っていなかったのだ。
その為......リオンは、王子の方を向かずに
「....私は......もう耐えられない...。一生懸命に今までやってきたけれど、もう無理です。私には....。」
と震える声で、これまで自身の身に起きていた数々のことを思い出し、リオンは目から大粒の涙を流して、軽く嗚咽混じりの鳴き声をあげだした。
それほどまでに陰湿で、酷い虐めだったのだから、今まで易々と他人に涙を見せたことのないリオンが、こんな状態になることも、大いに有り得るのだった。
そんなリオンの様子に王子は、何故か先程よりも、より一層苦痛に歪む表情をすると、リオンをじっと見つめ
「...だめだ。ここを出て行くなんて、王子である俺が許さない。それに...俺との賭けの期限は、もう少しだろう???俺にもう勝ち目はないんだ。後は、お前が期限までここに居れば、お前には一生遊んで暮らせるほどの大金が手に入る。...だから、とりあえずそれまでは頑張れ。リオン......あと数日だ。.......分かったな??」
と言って、俺の頭を優しく数回撫でると、そのまま部屋を出て行った。
部屋に独り残された俺は、王子の身勝手な言い分に、大声で散々毒を吐いたのは言うまでも無い。
あんな王子の言いなりになんて、なってたまるものか!!!
俺は、もうお金なんていらない。
一刻も早くこの狂った城...国から出て、母さんの元に帰るんだ。
王子の言いなりになんて....絶対になってやらないからな!!!!
こんなリオンとは対照的に、先程部屋を出て行ったリルはというと、月明かりだけが照らす薄暗い廊下を歩きながら、こんなことを考えていた。
「はぁ、結局リオンから、俺のいない間に何があったのか。何か悩みを抱えているのか。出会いの湖にいた青年は誰なのか。なんで勝手に城を抜け出したのか.....聞きたいことは山ほどあったのに、なのに....リオンのあんな表情をみたら、もう何も聞けなかった。....凄く悲しそうな...それに加えて、俺に怯えているのか、話をしている時も、ずっと俺に対して警戒心をむき出しにしていた。....きっと、泣き出したリオンの裏には何かある。でも、その何かを聞くことが、弱虫の俺には出来なかった。......だが、それでも俺は、なんとしてもリオンのことを、俺の妃にしなければならない...。やはり、リオンのことを調べてみると....俺の思った通りだったしな。この事実を知ったからには、何が何でもリオンを俺のモノにしなければな......これは、絶対だ。」
こう密かに考え事をしていた王子の思惑を、リオンが知ることになるのは、まだまだ先の話なのである。
「...今まで何をしていたんだ。この馬鹿...!!お前は、俺の妃になるかもしれない女なのだから、もっと緊張感を持て!!!!今日も、あの女に頭を下げて機嫌を取ったからお咎めなしに出来たものの、何かあってからでは、王族全体の信用を失うことにも繋がるんだぞ。これからは、もう少し考えから行動するようにしろ。」
と冷たいけれど、それよりもリル王子は、悲しそうな酷く歪んだ表情で俺を見つめていた。
そんなリル王子の考えていることなど、全く理解していない俺は、王子の一方的な言い分に酷く腹が立った。
何が、「俺の妃になるかもしれないから、もう少し緊張感を持て!!!」だ。
元はと言えば、マティ達を使って俺を虐めている、お前のせいでこうなってるんだろうが!!!
痛めつけては、慰めて...そしてまた、酷く痛めつける......お前は、一体何がしたんだよ!!!
このサイコパスクソ王子!!!!
などなど ...自身の中で膨れ上がった数々の不満が、喉まで出かかっていたが、ここは大人にならないとと思い、ぐっと言葉を堪えようとした。
だが...ボロボロになった今のリオンには、もう気持ちを抑える程の気力も残っていなかったのだ。
その為......リオンは、王子の方を向かずに
「....私は......もう耐えられない...。一生懸命に今までやってきたけれど、もう無理です。私には....。」
と震える声で、これまで自身の身に起きていた数々のことを思い出し、リオンは目から大粒の涙を流して、軽く嗚咽混じりの鳴き声をあげだした。
それほどまでに陰湿で、酷い虐めだったのだから、今まで易々と他人に涙を見せたことのないリオンが、こんな状態になることも、大いに有り得るのだった。
そんなリオンの様子に王子は、何故か先程よりも、より一層苦痛に歪む表情をすると、リオンをじっと見つめ
「...だめだ。ここを出て行くなんて、王子である俺が許さない。それに...俺との賭けの期限は、もう少しだろう???俺にもう勝ち目はないんだ。後は、お前が期限までここに居れば、お前には一生遊んで暮らせるほどの大金が手に入る。...だから、とりあえずそれまでは頑張れ。リオン......あと数日だ。.......分かったな??」
と言って、俺の頭を優しく数回撫でると、そのまま部屋を出て行った。
部屋に独り残された俺は、王子の身勝手な言い分に、大声で散々毒を吐いたのは言うまでも無い。
あんな王子の言いなりになんて、なってたまるものか!!!
俺は、もうお金なんていらない。
一刻も早くこの狂った城...国から出て、母さんの元に帰るんだ。
王子の言いなりになんて....絶対になってやらないからな!!!!
こんなリオンとは対照的に、先程部屋を出て行ったリルはというと、月明かりだけが照らす薄暗い廊下を歩きながら、こんなことを考えていた。
「はぁ、結局リオンから、俺のいない間に何があったのか。何か悩みを抱えているのか。出会いの湖にいた青年は誰なのか。なんで勝手に城を抜け出したのか.....聞きたいことは山ほどあったのに、なのに....リオンのあんな表情をみたら、もう何も聞けなかった。....凄く悲しそうな...それに加えて、俺に怯えているのか、話をしている時も、ずっと俺に対して警戒心をむき出しにしていた。....きっと、泣き出したリオンの裏には何かある。でも、その何かを聞くことが、弱虫の俺には出来なかった。......だが、それでも俺は、なんとしてもリオンのことを、俺の妃にしなければならない...。やはり、リオンのことを調べてみると....俺の思った通りだったしな。この事実を知ったからには、何が何でもリオンを俺のモノにしなければな......これは、絶対だ。」
こう密かに考え事をしていた王子の思惑を、リオンが知ることになるのは、まだまだ先の話なのである。
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