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第3章 「魔族の世界へご招待〜!」

「事件をスパッとサクッと解決よ!」

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 「一体どういうことなんだ???...日下部さん、あらかた...事の成り行きを説明してもらってもいいだろうか...。思考が追いつかなさすぎて、頭がショート寸前だ...。」

 「何度も言っているけど...魔王さんことマオちゃんは、世界を滅ぼそうなんて一度もしたことないって...。1億年前も...反乱が起こってそれを解決したのが、マオちゃんだって...。」

 「......おい、ルグ???大丈夫か??」

 「ルグさん...???」

 「あっ...あぁ、大丈夫だ......。ちょっと頭が...燃えてる気がするが...。」

 「...っ!!!...ルグさん、大丈夫じゃないですよ!!!ほんとに頭から発火してますよ!!!......いや、とにかく水......水...ルム!!!水を出して!!!」

 「...???...あー、そういう事か!俺の魔力で水をかけろってことな!...りょーかい。放水料は、小切手で!(笑)」

 「っ...冷たっ。」

 ルグを見ていた仲間たち(ルム以外)が慌てだしたもの無理はない...。

 なぜなら、ルグの頭からは、脳の過剰利用により本当に火が出ていたのだから。

 そんなルグの様子に慌て顔のボンが、咄嗟に近くにいたルムに声をかけて、魔法で水を放水し、消火することを求めたのだった。

 ルムは、能天気な雰囲気でルグの頭についた火を、自分の魔法によって出現させた水で消火したのだった...。

 「...それで...あなたが...魔王ことマオちゃん......で間違いないってことで...。」

 「えぇ、そうよん!!...よく分かっているじゃないの~!!...あら???なぁに、そんなシラーっと効果音がつきそうな目線...。まさか、この麗しいマオちゃんのことを疑っているの???」

 「...。...えーっと、まぁ、それは...。」

 「うん、単純に考えると......怪しい...。」

 「あらまぁ、私...やっぱり人間界に移り住もうかしら...こんな酷いことを魔族の男達は、平気で言ってのけちゃえるんだもの!!!...っ全く、失礼しちゃうわ!!!」

 「...マオちゃん、彼らの発言は、場の空気を読まない冗談ですよ...!!!(本気で言ってそうだけど...マオちゃんに協力してもらう為にも、ここは外面良くしなくちゃね。)」

 「あら、日下部ちゃんは優しいのね。(笑)じゃーあ、今回は日下部ちゃんに免じて、冗談ってことで大目に見ましょ???」

 マオちゃんがご立腹の様子に、その近くでことの行く末を見守っていた日下部が、慌てた様子でフォローを入れたのだった。

 日下部のフォローにマオちゃんは、渋々日下部の言葉の通り、冗談として受け流すこととしたのだった。

 そうしてルグが、マオちゃんに自分たちが日下部をここに連れてくることになった経緯を、一通り説明し終えるとマオちゃんは、大きなため息をひとつつき、目の前の冴えない魔族達にこう言ったのだった。

 「はぁ......いーぃ??そーんなへんちくりんな話...オレオレ詐欺に引っかかるほど、鈍臭いことよ??」

 「なっ!!!」

 「ちょっ...それはあんまりじゃ!!!」

 「なぁに???ホントの事言ったまでじゃないのよ!!...何か、文句でもあるの~、このど阿呆魔族共が。」

 「...っ......いぇ、なんにも...ないです...。(くそっ、こいつがおかまじゃなかったら、喧嘩バッチコイだったのによ!!)」

 マオちゃんの言葉に、明らかにショックを受けているルグと、そんなルグの様子を見て、マオちゃんに反論しようとしたボン...一方、イライラ度全開のロガは、内心喧嘩をおっぱじめたい衝動に駆られていたが...ロガの弱点は、女の子と自称しているものには、手を出せないというややこしい独自ルールがあり、グッと拳を握り、マオちゃんを殴りたい衝動に耐えていたのだった。

 ロガの内情を知らないマオちゃんは、ベラベラと暴走車のように止まらない口を達者に動かし、目の前にいるダメ魔族達をコテンパンに、言葉のムチで打ちのめしたのだった。

 そうして、数時間後には心がボロボロに引き裂かれた魔族達が、悲しそうな顔をしながらマオちゃんの城を出て、屋敷に戻って行ったことは、言うまでもない。

 「はぁ......まぁ、あの子達には罪はないしね...。...ということで、やーっぱり私の感は当たっていたわねぇ。...さぁて、インチキ魔法使いとやらについて、色々探りを入れていこうかしら??」

 こう言っているマオちゃんは......魔物そのものの鋭い目付きで、ニタニタと笑みを浮かべていたのだった...。
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