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準決勝の相手は……
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「いよいよです! 準決勝までコマを進めたのは、なんと最低ランクと言われるCクラスの代表であるカーミヤと最上級生でもある3年生。しかし、これまたAクラスではないBクラス代表のモモイだ!」
イチカの声が俺の耳に届く。よしっ、大丈夫だ。幻惑魔法は使われてない。
俺とモモイは互いに向き合い、戦闘開始の掛け声を待つ。
いつでも大丈夫だ。俺は……絶対勝つ。約束……したから。
燃えたぎる俺の心をよそに、モモイは全身黒ずくめで思考が読めない。
「戦闘開始」
声がかかった。俺はフィールドを強く蹴り、モモイとの距離を詰める。
黒フードを被り、そこから垂れる黒い髪。そして、その黒い髪の間から覗く黒い目。何から何まで黒色のモモイとの距離が俺の腕の届く範囲にまで近づく。瞬間──やばいという、気持ちが俺の全身を駆け巡った。
同時に足が止まる。この場から離れたい。そう思っても、足はまるで自分のモノでないように動かない。
な、なんで……?
歯を食いしばり、黒ずくめの男を睨みつける。
「散れっ」
ドスの効いた声。一瞬で相手を恐怖の底へと陥れる、そんな凶悪性のある声が放たれる。
何で……。俺はこいつのことを──怖いって思うんだ?
分かんない。だが……。
そんなことを考えているうちに、動けない俺の頬に回し蹴りがいれられる。
「ぐほっ」
なんて重い一撃なんだ……。口の中で血の味が充満する。切れた……か?
ペッ。フィールド上に血を吐き捨てる。
本当に何なんだよ。てか、なんでこいつはA組じゃないんだよ?
考えている間に、黒いずくめの男は音もなく俺に詰め寄る。そして、そのまま脇腹へ掌打を打ち込まれる。
「……ッ。クソが」
「年上に向かってその口の聞き方か?」
「年上のくせに手加減くらいしてくれよ」
強がりながらも、揺らいで尻もちをついた体を持ち上げる。
「うるせぇ」
殺意のこもった声が振り下ろされ、同時に立ち上がったばかりの俺の体に蹴りがいれられる。
諦められねぇ。さっき聞いたんだ。
もしこの魔術演武祭で優勝したならば、そのクラスの代表者は学院長と会えるってな。
ならここでアイツに会って、はっきりさせてやらねぇと。この学院について、二つの王国神話について。
俺は知りたいことだらけなんだよッ!
「うぉォォォ!!」
目を閉じ、モモイへ向かって駆ける。距離とかどこにいるとか関係ない。近づけば体をこわばり動けなくなるなら、見えくても一緒。考えるんだ。トリックが無いはずがない。何かあるはずだ。
「甘いな」
右頬に拳がヒットする。ただでさえ血の味がする口の中に、さらに血が溢れる。
ゴホッ、とむせ返るように咳き込み、同時に吐血する。
準決勝まできてここまで一方的にいたぶられると、今まで俺が倒してきた人たちにも申し訳ねぇーな。
視界が少し歪みを帯びはじめる。1回戦、2回戦と激戦続きで、準決勝まで上がってきたこの体に、限界が訪れつつあるのかもしれない。なら、魔法を使う?
いやしかし、十分に魔法を使えるだけの魔力が残っているのだろうか。
この状況なら賭けに出るしかないのか。
瞬間、胸ぐらが掴まれ、体が持ち上がる。
「呆気ないな」
平気で人を殺してしまいそうなほど、冷酷な漆黒の瞳を俺に向けたモモイは乾いた声でそう告げた。
俺は何も言い返すことすら出来ず、ただ持ち上げられたままモモイを睨みつける。
「視線で人は倒せない」
短くそう告げられた瞬間、俺の体はより一層の浮遊感を感じた。──投げられたッ!?
視界はだんだんと上昇する。間違いない。宙へと投げ捨てられたんだ。
何十メートルもあるわけではないゆえに、浮遊感は一瞬。そのまま体は地面に叩きつけられる。
全身が軋むように痛い。
勝てない……のか?
勝てる、という気持ちで支えていた俺自身の体が負けるのでは、という不安からまともに機能しなくなり始めている。
ゆっくりと立ち上がろうと地面に手をつけ、体を持ち上げようとする。刹那、眼前に真っ黒な革靴が現れる。
咄嗟に体を逸らそうとするも、間に合うわけもなく、それは確実に俺の顔を捉える。
ゴキっ、という不気味な音が響く。
鼻の奥からが熱くなり、鼻の下に違和感が生じる。
同時にポタっ、とフィールド上に毒々しい紅色の血が落ちる。鼻血だ。
鼻からは依然として激痛がする。しかし、それに構っていては更なる手を受けるのみ。俺は、両鼻から垂れる鼻血を右腕で拭い立ち上がる。鼻血を拭った右腕からは妙な鉄臭さがする。
「バケモノ過ぎんだろ」
「お前が怒らせたからだろ」
「俺が……怒らせた? 誰を?」
マリアか? マリアなら色々言ったが……。でも、ここで俺を潰しに来るメリットが少なすぎる。じゃあ、誰を怒らせたって言うんだ?
「ここに来てとぼける気か?」
何を言っているのか、本当にさっぱり分からない。だが、ここで下手に出ればモモイの気を逆なでするだけだ。俺は細心の注意を払いながら、言葉を放つ。
「とぼけてるつもりはない」
「ほざけッ!」
モモイは額に青筋をいれながら怒りのままに体を回し、脚を振り上げる。避けなければ……。そう思っても体が自分のものではないかのように動かない。
くっ……そ。見る見るうちに眼前に迫るモモイの脚。動きはかなり早い。当たれば痛いでは済まない。先ほどまでのそれとは威力が違うように思える。
だが、それを避けることは叶わず俺は顔面にそれを受ける。ボキッ、と先ほどの音を上回る音が鼻から出る。完全に折れた。
鼻に感覚が無くなり、生臭さだけが残る。
「そこまでよ」
そこで不意にフィールド外から声がした。
「誰だよ」
不満げに言葉をこぼしながらモモイは視線を俺から外し、フィールドの外へと向けた。
激しい痛みと留まることを知らない鼻血を1度頭の隅へと追いやり、俺も声のしたフィールドの外へと視線を向ける。
しかし、そこに居たのは俺もよく知る顔だった。それは俺が2回戦で対戦した固有魔法といういち学生が使用できるとは思えない代物を器用に使いこなした謎多き女子生徒リーニだった。
この学生で、この前期魔術演武祭に出場している証でもあるイグノアール学院の魔法耐性に優れた体操服を着ている。
そしてズボンはA組であるという印である緑色を穿いている。ちなみに俺たちC組は紺色でB組は赤色である。
「あなた神話教の一員ね?」
リーニは険しい表情でモモイに訊く。対してモモイはわかりやすく表情を引き攣らせる。
「な、何のことだ?」
「もう分かってる。あなたが神話教の教えを信じ、カーミヤくんを狙ってることも、何かもう一つ狙いがあって外部からこの学院に教徒を侵入させてるってこともね」
恐らくこの言葉に間違いはない。半分ほどは何を言っているか分からないが、それでもモモイの表情がドンピシャだと語っている。
ゆえに、モモイの動きは完全に止まっている。いま、攻撃を仕掛ければ確実に当てることも出来るだろうし、奇襲になること間違いなしだ。しかし、それをしてしまえば……俺は──
「まだ俺の試合中だぜ? リーニさんよ、話は後にしてくれ」
負けたのと同じだ。なら、潔く、男らしく真剣勝負をしようぜ。
「クソだな、テメェは。いま仕掛けてりゃ、確実に攻撃を当てられたのによ」
「そんな勝ちならドブに捨ててやる」
勝てるなんて自信はとうの前に消えている。でも、だからこそ俺は勝ちたい。
折れた鼻の痛みをグッと堪え、地面を蹴る。当たる風が妙に強く感じる。
それほど速く動けているのか。それともただ鼻が折れていて先ほどまでより敏感になっているのか。俺には分からない。だが、そんなことは関係ない。
俺は奴をて……モモイを倒すんだ。
強く拳を握りしめ、モモイの顔面目掛けてふるう。モモイは体勢を後ろへ逸らしながらそれ避ける。そしてそのまま体を逸らしていき、脚を上げる。
バク転でもしそうな勢いで振り上げられた脚に俺は、同じように体を逸らして避ける。
完全にバランスを失った俺の体は、そのまま地面に叩きつけられる。一方でバク転をきめたモモイは、着地と同時に俺へと向かう。
現在の負傷レベルと身体能力を比べても明らかに俺のが劣っている。
それは誰がどう見ても分かる。
「魔法なんてこしゃくなものを使ってたまるか」
使えるものは限られている。遊空魔法と加速魔法。それともう一つ。誰にも言ってない俺の秘技。
仮にそれをいま行使すれば、獲得点数の高い大隊魔術戦の勝率がグッと下がる。
迫るモモイに後転することで距離をとる。しかし、距離は縮まるばかり。やっとの思いで立ち上がった俺の前には、既にモモイが迫って来ていた。
「ほんと、俺はクソだ」
全身を黒で覆った、名探偵を子どもに戻したクスリを使う組織のようなモモイに俺は吐き捨てる。
「今頃気づいたのか?」
「最初から知ってたさ。なんてたってC組の分際で優勝を狙ってだからさ」
「それは笑えない冗談だ」
低く渋い声でモモイが返す。
「本当に冗談だと思うか?」
真摯な瞳でモモイを見つめ返す。
「まさか!? 本気なのか?」
「本気じゃないわけが無いだろ」
短く吐き捨て、俺は右脚を振り上げる。決まらないことは何となくで分かっていた。そして、これが恐らく俺の最後の戦いになることも。
振り上げた右脚はモモイによって振り上げられた左脚で弾かれ、押し返された。
それによりバランスを崩した俺の腹部へモモイは連続掌打を打ち込んだ。
半ば気を失った俺はそのままフィールドに倒れた。
俺の──負けだ。
イチカの声が俺の耳に届く。よしっ、大丈夫だ。幻惑魔法は使われてない。
俺とモモイは互いに向き合い、戦闘開始の掛け声を待つ。
いつでも大丈夫だ。俺は……絶対勝つ。約束……したから。
燃えたぎる俺の心をよそに、モモイは全身黒ずくめで思考が読めない。
「戦闘開始」
声がかかった。俺はフィールドを強く蹴り、モモイとの距離を詰める。
黒フードを被り、そこから垂れる黒い髪。そして、その黒い髪の間から覗く黒い目。何から何まで黒色のモモイとの距離が俺の腕の届く範囲にまで近づく。瞬間──やばいという、気持ちが俺の全身を駆け巡った。
同時に足が止まる。この場から離れたい。そう思っても、足はまるで自分のモノでないように動かない。
な、なんで……?
歯を食いしばり、黒ずくめの男を睨みつける。
「散れっ」
ドスの効いた声。一瞬で相手を恐怖の底へと陥れる、そんな凶悪性のある声が放たれる。
何で……。俺はこいつのことを──怖いって思うんだ?
分かんない。だが……。
そんなことを考えているうちに、動けない俺の頬に回し蹴りがいれられる。
「ぐほっ」
なんて重い一撃なんだ……。口の中で血の味が充満する。切れた……か?
ペッ。フィールド上に血を吐き捨てる。
本当に何なんだよ。てか、なんでこいつはA組じゃないんだよ?
考えている間に、黒いずくめの男は音もなく俺に詰め寄る。そして、そのまま脇腹へ掌打を打ち込まれる。
「……ッ。クソが」
「年上に向かってその口の聞き方か?」
「年上のくせに手加減くらいしてくれよ」
強がりながらも、揺らいで尻もちをついた体を持ち上げる。
「うるせぇ」
殺意のこもった声が振り下ろされ、同時に立ち上がったばかりの俺の体に蹴りがいれられる。
諦められねぇ。さっき聞いたんだ。
もしこの魔術演武祭で優勝したならば、そのクラスの代表者は学院長と会えるってな。
ならここでアイツに会って、はっきりさせてやらねぇと。この学院について、二つの王国神話について。
俺は知りたいことだらけなんだよッ!
「うぉォォォ!!」
目を閉じ、モモイへ向かって駆ける。距離とかどこにいるとか関係ない。近づけば体をこわばり動けなくなるなら、見えくても一緒。考えるんだ。トリックが無いはずがない。何かあるはずだ。
「甘いな」
右頬に拳がヒットする。ただでさえ血の味がする口の中に、さらに血が溢れる。
ゴホッ、とむせ返るように咳き込み、同時に吐血する。
準決勝まできてここまで一方的にいたぶられると、今まで俺が倒してきた人たちにも申し訳ねぇーな。
視界が少し歪みを帯びはじめる。1回戦、2回戦と激戦続きで、準決勝まで上がってきたこの体に、限界が訪れつつあるのかもしれない。なら、魔法を使う?
いやしかし、十分に魔法を使えるだけの魔力が残っているのだろうか。
この状況なら賭けに出るしかないのか。
瞬間、胸ぐらが掴まれ、体が持ち上がる。
「呆気ないな」
平気で人を殺してしまいそうなほど、冷酷な漆黒の瞳を俺に向けたモモイは乾いた声でそう告げた。
俺は何も言い返すことすら出来ず、ただ持ち上げられたままモモイを睨みつける。
「視線で人は倒せない」
短くそう告げられた瞬間、俺の体はより一層の浮遊感を感じた。──投げられたッ!?
視界はだんだんと上昇する。間違いない。宙へと投げ捨てられたんだ。
何十メートルもあるわけではないゆえに、浮遊感は一瞬。そのまま体は地面に叩きつけられる。
全身が軋むように痛い。
勝てない……のか?
勝てる、という気持ちで支えていた俺自身の体が負けるのでは、という不安からまともに機能しなくなり始めている。
ゆっくりと立ち上がろうと地面に手をつけ、体を持ち上げようとする。刹那、眼前に真っ黒な革靴が現れる。
咄嗟に体を逸らそうとするも、間に合うわけもなく、それは確実に俺の顔を捉える。
ゴキっ、という不気味な音が響く。
鼻の奥からが熱くなり、鼻の下に違和感が生じる。
同時にポタっ、とフィールド上に毒々しい紅色の血が落ちる。鼻血だ。
鼻からは依然として激痛がする。しかし、それに構っていては更なる手を受けるのみ。俺は、両鼻から垂れる鼻血を右腕で拭い立ち上がる。鼻血を拭った右腕からは妙な鉄臭さがする。
「バケモノ過ぎんだろ」
「お前が怒らせたからだろ」
「俺が……怒らせた? 誰を?」
マリアか? マリアなら色々言ったが……。でも、ここで俺を潰しに来るメリットが少なすぎる。じゃあ、誰を怒らせたって言うんだ?
「ここに来てとぼける気か?」
何を言っているのか、本当にさっぱり分からない。だが、ここで下手に出ればモモイの気を逆なでするだけだ。俺は細心の注意を払いながら、言葉を放つ。
「とぼけてるつもりはない」
「ほざけッ!」
モモイは額に青筋をいれながら怒りのままに体を回し、脚を振り上げる。避けなければ……。そう思っても体が自分のものではないかのように動かない。
くっ……そ。見る見るうちに眼前に迫るモモイの脚。動きはかなり早い。当たれば痛いでは済まない。先ほどまでのそれとは威力が違うように思える。
だが、それを避けることは叶わず俺は顔面にそれを受ける。ボキッ、と先ほどの音を上回る音が鼻から出る。完全に折れた。
鼻に感覚が無くなり、生臭さだけが残る。
「そこまでよ」
そこで不意にフィールド外から声がした。
「誰だよ」
不満げに言葉をこぼしながらモモイは視線を俺から外し、フィールドの外へと向けた。
激しい痛みと留まることを知らない鼻血を1度頭の隅へと追いやり、俺も声のしたフィールドの外へと視線を向ける。
しかし、そこに居たのは俺もよく知る顔だった。それは俺が2回戦で対戦した固有魔法といういち学生が使用できるとは思えない代物を器用に使いこなした謎多き女子生徒リーニだった。
この学生で、この前期魔術演武祭に出場している証でもあるイグノアール学院の魔法耐性に優れた体操服を着ている。
そしてズボンはA組であるという印である緑色を穿いている。ちなみに俺たちC組は紺色でB組は赤色である。
「あなた神話教の一員ね?」
リーニは険しい表情でモモイに訊く。対してモモイはわかりやすく表情を引き攣らせる。
「な、何のことだ?」
「もう分かってる。あなたが神話教の教えを信じ、カーミヤくんを狙ってることも、何かもう一つ狙いがあって外部からこの学院に教徒を侵入させてるってこともね」
恐らくこの言葉に間違いはない。半分ほどは何を言っているか分からないが、それでもモモイの表情がドンピシャだと語っている。
ゆえに、モモイの動きは完全に止まっている。いま、攻撃を仕掛ければ確実に当てることも出来るだろうし、奇襲になること間違いなしだ。しかし、それをしてしまえば……俺は──
「まだ俺の試合中だぜ? リーニさんよ、話は後にしてくれ」
負けたのと同じだ。なら、潔く、男らしく真剣勝負をしようぜ。
「クソだな、テメェは。いま仕掛けてりゃ、確実に攻撃を当てられたのによ」
「そんな勝ちならドブに捨ててやる」
勝てるなんて自信はとうの前に消えている。でも、だからこそ俺は勝ちたい。
折れた鼻の痛みをグッと堪え、地面を蹴る。当たる風が妙に強く感じる。
それほど速く動けているのか。それともただ鼻が折れていて先ほどまでより敏感になっているのか。俺には分からない。だが、そんなことは関係ない。
俺は奴をて……モモイを倒すんだ。
強く拳を握りしめ、モモイの顔面目掛けてふるう。モモイは体勢を後ろへ逸らしながらそれ避ける。そしてそのまま体を逸らしていき、脚を上げる。
バク転でもしそうな勢いで振り上げられた脚に俺は、同じように体を逸らして避ける。
完全にバランスを失った俺の体は、そのまま地面に叩きつけられる。一方でバク転をきめたモモイは、着地と同時に俺へと向かう。
現在の負傷レベルと身体能力を比べても明らかに俺のが劣っている。
それは誰がどう見ても分かる。
「魔法なんてこしゃくなものを使ってたまるか」
使えるものは限られている。遊空魔法と加速魔法。それともう一つ。誰にも言ってない俺の秘技。
仮にそれをいま行使すれば、獲得点数の高い大隊魔術戦の勝率がグッと下がる。
迫るモモイに後転することで距離をとる。しかし、距離は縮まるばかり。やっとの思いで立ち上がった俺の前には、既にモモイが迫って来ていた。
「ほんと、俺はクソだ」
全身を黒で覆った、名探偵を子どもに戻したクスリを使う組織のようなモモイに俺は吐き捨てる。
「今頃気づいたのか?」
「最初から知ってたさ。なんてたってC組の分際で優勝を狙ってだからさ」
「それは笑えない冗談だ」
低く渋い声でモモイが返す。
「本当に冗談だと思うか?」
真摯な瞳でモモイを見つめ返す。
「まさか!? 本気なのか?」
「本気じゃないわけが無いだろ」
短く吐き捨て、俺は右脚を振り上げる。決まらないことは何となくで分かっていた。そして、これが恐らく俺の最後の戦いになることも。
振り上げた右脚はモモイによって振り上げられた左脚で弾かれ、押し返された。
それによりバランスを崩した俺の腹部へモモイは連続掌打を打ち込んだ。
半ば気を失った俺はそのままフィールドに倒れた。
俺の──負けだ。
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