時は止まらない

真宵

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第1章

いつも見ていた景色

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いつも見ていた景色が変わった。

空は相変わらず晴天なのが羨ましくて、
私の心を余計に沈ませる。

『お母さんね、違う男性と結婚することになったの。』

耳に張り付くお母さんの声。

もう二度と、お母さんに会うことはない。そう思うと心が締め付けられる。

別れ際のお母さんの悲しそうな顔。
それを思い出すとまた涙が溢れてくる。
その繰り返し。

私がどれだけ泣いても、誰もその涙を拭ってくれない。

暖かい手で包んでくれる人もいない。

(そっか・・・。私は最初から、一人だったんだ。)

それに気づいた瞬間、また涙が溢れてくる。

これから先、私は何を糧にして生きていけばいいのだろう。

誰か、教えて。











そうして私の心は晴天から曇天になり、
二度と晴れることは無くなった。
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