8 / 43
8
しおりを挟む
「あいつの目的はなんとなくわかった。やっぱり君の身を守るにはあの条件を呑んでもらうほかないようだ」
釣り上げた魚を持って、家に戻る。せっかくならと思い、釣った魚を塩で味付けしてテーブルへ置いた。今日は夜まで時間があるみたいで、夕食も一緒に食べてくれるようだ。
二人で食事を食べながら彼が話を切り出した。
「君に選択肢を提示しよう。一つ、村にいた怪しい金髪のやつに見つかり、結婚させられる。二つ、誰にも見つからないところに一人で暮らす。三つ、村にいた怪しい金髪よりも権力のあるものと協力する」
ん? どういうことだろう。
「金髪に結婚させられるってどういうこと……?」
「あの金髪のやつは権力者だよ。やつにものを言えるものはこの国には三人くらいしかいないだろうね」
「三人……それじゃあ誰にも見つからないところに一人で暮らすしか選択肢はないですね。そんな権力者の知り合いなんてわたしにはいないし」
また出ていく準備をしないといけないのか。次は一人だから商人も頼れない……生きていける自信もないわ。どうしよう。
「なぜ選択肢を3つ用意したと思う?どれも可能だからだよ」
それを聞いてハッと顔をあげる。もしかして、彼の知り合いに誰かいるのかしら。でも、協力って……
首を傾げるわたしに彼は白い紙をわたしに差し出した。
契約書と書かれている。
いつの間に書いていたのだろう。とても綺麗な字で書かれているそれをじっくりと読み込んだ。
わたしは取り敢えず今まで通りの生活を送る。もし危険があると判断された場合は、彼が保護してくれる。準備ができたら彼も一緒にここに住む。もしもの場合は、ある条件を持って救うことができる。
というものだった。わたしとしては好条件な気もする。ある条件というのが気になるけれどそれについては教えてもらえなかった。そこ結構重要な気もするんだけれど……
「最後の条件は、選択肢があるから気にしなくていい。もし君が飲めない条件だったら拒否してくれて構わない。その返答次第で助けないということはない」
「わたしにとっては好条件だけど、あなたに何か利益はあるの?ここまでしてもらうの申し訳ないんだけど……」
そんなわたしに彼は微笑む。
「俺にとっては得しかないよ。」
「そう……?なら、この契約をのむわ」
サインをして、彼に手渡すと今までで一番の笑顔で受け取っていた。その笑顔にどきっとしてしまい、赤く染まったであろう顔を見られないように逸らした。
しばらく平穏な日々が続いていた。彼は二週間に一度とくる頻度は減っていたが必ず来てくれて一緒に魚を釣ってくれていた。マルクスさんも二週間に一回来てくれていて、なかなか充実している。
そして今日は彼が来る日だった。
「元気にしてたか?今日はいいものを持ってきたんだ」
そう言って彼が差し出したのは箱だった。なんだろうと思い、箱を開けてみるとワンピースが数枚入っている。
「え、こんな高そうなものいただけません」
思わず突き返すと再び突き返される。
「返されても困るな。俺が持ち帰っても着ることもなく部屋にただ置いておくことになるんだが」
そ、それもそうか……ありがたくいただくしかない。
「俺が勝手に送っているだけだから気にせず受け取ってほしい」
なんだかよくわからないけれど、2着を着回しているのでいい加減ぼろぼろだ。裁縫道具もないから直せていないので正直助かる。
「ありがとう」
笑顔でお礼を述べるとまた嬉しそうな笑みを返してくれていた。なぜこんなによくして来るんだろうか。
契約の条件もそうだけど、生活に必要なものとかピンポイントで持ってきてくれる。釣りは一人だとダメだって言われたけど、その理由も理解できる。
多分心配してくれてるんだろう。それでもわたしがしたい事を叶えようとしてくれていることに本当に感謝していた。
そんなわたしの元に突然一通の手紙が届いた。いつ来たのかはわからないけれど、わたしが寝ている時に届けられたのだと思う。玄関にぽつんと置かれた手紙を手に取ると、上質な紙の封筒で、見覚えもあった。
封筒を開け中の手紙の内容を確認すると、どうやら妹のアリサからのようだ。今さら一体なんの用なのかと疑問に思いながらも手紙を読み進めた。
『お姉様へ
元気にしているかしら。まぁ、あんな山に捨てられたなら元気なわけないわね。ところで、あんたのおかげでとんでもない目にあわされたわ。なのでおみやげを置いていくことにするわね。はやくどこかへ行かないと、こわーいお兄さん方があんたの家に行くわよ。わたくし優しいから忠告しておいてあげるわ』
ーーいろいろ突っ込みたいところはある。ありすぎるんだけど……
そもそもなぜこの家で暮らしているのがバレているのか。おそらく誰かを使って調べさせてたんだろうけどこっそり見られていたのかしら。
それにとんでもない目って何?わたしは出て行ってから山から出ていない。わたしの知らないところで一体何があったのか。
それに怖いお兄さんって何?
頭を抱えながら考えていたが、どうしたらいいかわからなかった。
釣り上げた魚を持って、家に戻る。せっかくならと思い、釣った魚を塩で味付けしてテーブルへ置いた。今日は夜まで時間があるみたいで、夕食も一緒に食べてくれるようだ。
二人で食事を食べながら彼が話を切り出した。
「君に選択肢を提示しよう。一つ、村にいた怪しい金髪のやつに見つかり、結婚させられる。二つ、誰にも見つからないところに一人で暮らす。三つ、村にいた怪しい金髪よりも権力のあるものと協力する」
ん? どういうことだろう。
「金髪に結婚させられるってどういうこと……?」
「あの金髪のやつは権力者だよ。やつにものを言えるものはこの国には三人くらいしかいないだろうね」
「三人……それじゃあ誰にも見つからないところに一人で暮らすしか選択肢はないですね。そんな権力者の知り合いなんてわたしにはいないし」
また出ていく準備をしないといけないのか。次は一人だから商人も頼れない……生きていける自信もないわ。どうしよう。
「なぜ選択肢を3つ用意したと思う?どれも可能だからだよ」
それを聞いてハッと顔をあげる。もしかして、彼の知り合いに誰かいるのかしら。でも、協力って……
首を傾げるわたしに彼は白い紙をわたしに差し出した。
契約書と書かれている。
いつの間に書いていたのだろう。とても綺麗な字で書かれているそれをじっくりと読み込んだ。
わたしは取り敢えず今まで通りの生活を送る。もし危険があると判断された場合は、彼が保護してくれる。準備ができたら彼も一緒にここに住む。もしもの場合は、ある条件を持って救うことができる。
というものだった。わたしとしては好条件な気もする。ある条件というのが気になるけれどそれについては教えてもらえなかった。そこ結構重要な気もするんだけれど……
「最後の条件は、選択肢があるから気にしなくていい。もし君が飲めない条件だったら拒否してくれて構わない。その返答次第で助けないということはない」
「わたしにとっては好条件だけど、あなたに何か利益はあるの?ここまでしてもらうの申し訳ないんだけど……」
そんなわたしに彼は微笑む。
「俺にとっては得しかないよ。」
「そう……?なら、この契約をのむわ」
サインをして、彼に手渡すと今までで一番の笑顔で受け取っていた。その笑顔にどきっとしてしまい、赤く染まったであろう顔を見られないように逸らした。
しばらく平穏な日々が続いていた。彼は二週間に一度とくる頻度は減っていたが必ず来てくれて一緒に魚を釣ってくれていた。マルクスさんも二週間に一回来てくれていて、なかなか充実している。
そして今日は彼が来る日だった。
「元気にしてたか?今日はいいものを持ってきたんだ」
そう言って彼が差し出したのは箱だった。なんだろうと思い、箱を開けてみるとワンピースが数枚入っている。
「え、こんな高そうなものいただけません」
思わず突き返すと再び突き返される。
「返されても困るな。俺が持ち帰っても着ることもなく部屋にただ置いておくことになるんだが」
そ、それもそうか……ありがたくいただくしかない。
「俺が勝手に送っているだけだから気にせず受け取ってほしい」
なんだかよくわからないけれど、2着を着回しているのでいい加減ぼろぼろだ。裁縫道具もないから直せていないので正直助かる。
「ありがとう」
笑顔でお礼を述べるとまた嬉しそうな笑みを返してくれていた。なぜこんなによくして来るんだろうか。
契約の条件もそうだけど、生活に必要なものとかピンポイントで持ってきてくれる。釣りは一人だとダメだって言われたけど、その理由も理解できる。
多分心配してくれてるんだろう。それでもわたしがしたい事を叶えようとしてくれていることに本当に感謝していた。
そんなわたしの元に突然一通の手紙が届いた。いつ来たのかはわからないけれど、わたしが寝ている時に届けられたのだと思う。玄関にぽつんと置かれた手紙を手に取ると、上質な紙の封筒で、見覚えもあった。
封筒を開け中の手紙の内容を確認すると、どうやら妹のアリサからのようだ。今さら一体なんの用なのかと疑問に思いながらも手紙を読み進めた。
『お姉様へ
元気にしているかしら。まぁ、あんな山に捨てられたなら元気なわけないわね。ところで、あんたのおかげでとんでもない目にあわされたわ。なのでおみやげを置いていくことにするわね。はやくどこかへ行かないと、こわーいお兄さん方があんたの家に行くわよ。わたくし優しいから忠告しておいてあげるわ』
ーーいろいろ突っ込みたいところはある。ありすぎるんだけど……
そもそもなぜこの家で暮らしているのがバレているのか。おそらく誰かを使って調べさせてたんだろうけどこっそり見られていたのかしら。
それにとんでもない目って何?わたしは出て行ってから山から出ていない。わたしの知らないところで一体何があったのか。
それに怖いお兄さんって何?
頭を抱えながら考えていたが、どうしたらいいかわからなかった。
92
あなたにおすすめの小説
最後の夜
ざっく
恋愛
明日、離縁される。
もう、一年前から決まっていたこと。
最後に一人で酒盛りしていたシルヴィーは、夫が隣に部屋に戻ってきていることに気が付いた。最後なのに、顔も見せない夫に腹が立って、シルヴィーは文句を言うために、初めて夫の部屋のドアをノックした。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る
基本二度寝
恋愛
「婚姻は王命だ。私に愛されようなんて思うな」
若き宰相次官のボルスターは、薄い夜着を纏って寝台に腰掛けている今日妻になったばかりのクエッカに向かって言い放った。
実力でその立場までのし上がったボルスターには敵が多かった。
一目惚れをしたクエッカに想いを伝えたかったが、政敵から彼女がボルスターの弱点になる事を悟られるわけには行かない。
巻き込みたくない気持ちとそれでも一緒にいたいという欲望が鬩ぎ合っていた。
ボルスターは国王陛下に願い、その令嬢との婚姻を王命という形にしてもらうことで、彼女との婚姻はあくまで命令で、本意ではないという態度を取ることで、ボルスターはめでたく彼女を手中に収めた。
けれど。
「旦那様。お久しぶりです。離縁してください」
結婚から半年後に、ボルスターは離縁を突きつけられたのだった。
※復縁、元サヤ無しです。
※時系列と視点がコロコロゴロゴロ変わるのでタイトル入れました
※えろありです
※ボルスター主人公のつもりが、端役になってます(どうしてだ)
※タイトル変更→旧題:黒い結婚
売られた先は潔癖侯爵とその弟でした
しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ルビーナの元に縁談が来た。
潔癖で有名な25歳の侯爵である。
多額の援助と引き換えに嫁ぐことになった。
お飾りの嫁になる覚悟のもと、嫁いだ先でのありえない生活に流されて順応するお話です。
【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています
金峯蓮華
恋愛
ヴィオレッタは幼い頃から婚約していた第2王子から真実の愛を見つけたと言って、婚約を解消された。
大嫌いな第2王子と結婚しなくていいとバンザイ三唱していたら、今度は年の離れた。筆頭公爵家の嫡男と婚約させられた。
のんびり過ごしたかったけど、公爵夫妻と両親は仲良しだし、ヴィオレッタのことも可愛がってくれている。まぁいいかと婚約者生活を過ごしていた。
ヴィオレッタは婚約者がプチヤンデレなことには全く気がついてなかった。
そんな天然気味のヴィオレッタとヴィオレッタ命のプチヤンデレユリウスの緩い恋の物語です。
ゆるふわな設定です。
暢気な主人公がハイスペプチヤンデレ男子に溺愛されます。
R15は保険です。
「俺にしがみつくのはやめろ」と言われて恋が覚めたので、しがみつかずにリリースします。相容れないとほざくあなたは、今、私に捨てられましたわ
西野歌夏
恋愛
前世でフラれた記憶を思いだしたフローラ・ガトバンは、18歳の伯爵令嬢だ。今まさにデジャブのように同じ光景を見ていた。
エイトレンスのアルベルト王太子にまつわるストーリーです。
※の付いたタイトルは、あからさまな性的表現を含みます。苦手な方はお気をつけていただければと思います。
2025.5.29 完結いたしました。
【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。
カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。
『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。
カヨワイさつき
恋愛
「えっ?ない?!」
なんで?!
家に帰ると出し忘れたゴミのように、ビニール袋がポツンとあるだけだった。
自分の誕生日=中学生卒業後の日、母親に捨てられた私は生活の為、年齢を偽りバイトを掛け持ちしていたが……気づいたら見知らぬ場所に。
黒は尊く神に愛された色、白は"色なし"と呼ばれ忌み嫌われる色。
しかも小柄で黒髪に黒目、さらに女性である私は、皆から狙われる存在。
10人に1人いるかないかの貴重な女性。
小柄で黒い色はこの世界では、凄くモテるそうだ。
それに対して、銀色の髪に水色の目、王子様カラーなのにこの世界では忌み嫌われる色。
独特な美醜。
やたらとモテるモブ顔の私、それに気づかない私とイケメンなのに忌み嫌われている、不器用な公爵様との恋物語。
じれったい恋物語。
登場人物、割と少なめ(作者比)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる