山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる

しおの

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 少しの間、気を失っていたようだ。目を開けると、荷車ごと落下したことを察する。上を見るとクレバーがわんわん吠えている。クレバーは無事だったみたい。
 そう思い、とりあえず周りを見渡す。木が多い茂っていてどこかわからない。
 ああ……ここで終わりなのかな。
 一応ノア様とマルクスさんに手紙は置いてきたけれど、いつ彼らがみてくれるかもわからない。それに探しに来てくれるかも。
 もう、ここで終わるのかな。
 立ちあがろうとするも足に痛みが走る。足首が腫れていて歩けそうにない。
 涙が溢れてくる。どうしてわたしがこんな目に遭わないといけないのか、わたし何かした?
 前世では因果応報、人にした行為は自分に返ってくるっていうけど、こんな目に遭うほど何かをした覚えはない。世の中理不尽なことがあるものだなんて思いながら、荷車に乗っていたパンを齧っていた。



 ……ん、わんわん、わんわん!
 犬の鳴き声が聞こえる。クレバーかな。お腹空いてるよね、ごめんね。そんなことを思いながら再び目を閉じようとしたら
「セリーヌ、セリーヌ!」
 急に誰かに抱きしめられて驚く。そこには前髪をひたいに貼り付けたノア様がいて、さらに驚いてしまった。後ろからクレバーも来てくれていて、何が何だかよくわからなかった。

「痛いところはあるか?」
 足が痛い、足首が腫れてしまって歩けない。それ以外はわからないことを伝えると、わたしを横抱きにして馬に乗せた。あまり負担にならないようにゆっくりと馬を走らせてくれる。クレバーも眉を下げながらついてきてくれていた。
 着いたのはわたしの家。ゆっくりとベッドに横にしてくれて、足の手当てを先にしてくれた。
 クレバーはベッド脇にお座りして静かにしている。本当賢い。

「手紙は読んだ。大体の状況は把握している。だか、なぜこんな無謀なことをする。俺が来なかったらどうなっていたと思う!」
 強い語気に思わずかたが震えてしまった。確かにそうだ。もし彼が来てくれなかったらわたしは今頃生きてはいないだろう。
「あまり心配をかけないでくれ。心臓が止まるかと思った。肝心なところで頼ってもらえないのはつらい」
 さっきの口調とは違い、辛そうな表情で頭を撫でてくれて、反省してしまった。心のどこかで助けてほしいと思っていたのに、相手に迷惑になるんじゃないかって思って行動したことが、却って相手に辛い思いをさせてしまっていた事実に反省する。

「ごめんなさい。相談するべきだった……クレバーもごめんね」
 彼は笑ってくれてもういいよって言ってくれて。クレバーもぶんぶん尻尾を振って答えてくれた。
 今日はもう休めと言われ、わたしは安心して目を閉じた。


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