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とある日、ノア様に誘われ、お出かけをすることになった。
今日は町娘風です!ってソフィアがルンルンで準備をしてくれた。わたしの普段の服よりもだいぶおしゃれだ。帽子とストールも準備されている。
玄関で待っていた彼も平民のような服装をしている。しているのだが、輝く金髪に碧眼と綺麗な顔立ちで大変キラキラしている。頑張っても貴族のお忍びにしか見えない。
ぼーっとしているわたしの手をとりエスコートしてくれる。ただ、その辺のマナーがあやふやなわたしは、おそるおそる歩きながら馬車に乗った。
「君の仕事の話だけど、一つはわたしの外出につきあうこと。もう一つは……着いてからお願いしようか」
馬車がついたのは孤児院。赤ちゃんから十五歳くらいの子供までがみんな一緒になって暮らしている。
親に捨てられたり、亡くなったり中には奴隷として売られそうになった子供を保護しているのだとか。
「孤児院は基本自給自足で成り立っている。寄付もするんだが大抵は洋服や勉強するための道具、院の修繕など環境に関わるところに先に使われるんだ。だからあまり食事はいいものと言えなくてな。」
「そう、なんですね」
こんな小さな子供たちが自分達の食べる分を一生懸命育てているなんて……
「字を書いたり、計算できれば働き口は広がるだろう?そこを削るわけにもいかないんだ。そこで、セリーヌにお願いしたいんだよ」
「もしかして、野菜を育てて寄付するってことですか?」
「そうだ。嫌なら断ってもらって構わないよ」
そんなこと言うわけがない。わたしの力が誰かの役に立つならばと思い、頷いた。
孤児院の子供たちと思いっきり遊ぶ。クレバーも連れてきていたのでみんなでわいわい体を動かしていた。
その後は種を買いに行く。子供たちに何が食べたいのか、聞いた上で種を選んだ。甘いものが人気で、さつまいも、カボチャが食べたいと話す子が多かった。そのほかにも希望があったものを彼に買ってもらう。
さっそく家に帰って、庭に向かった。
いつの間にか裏庭に畑が出来上がっていて、きっと彼が用意してくれたものだろうと察する。
畑くらい自分で作れるのにと思いながら、野菜を作り始めた。そばにはソフィアや男性の使用人もいてみんなでとれた野菜を運んでくれている。
おかげでわたしの仕事は土に手をかざすだけだ。わたしにやらせてほしいと言ったんだけど誰も首を縦に振ってくれなかった。
夕食は彼も一緒にとってくれている。忙しくない時は昼食も一緒だ。
「ノア様、皆わたしに何もさせてくれないのです。畑づくりも収穫も運ぶのだって。わたしもやりたいです」
「俺は、任せれる仕事は任せる主義だ。自分しかできないこと以外は周りに仕事を投げている。それが不満か?」
なるほど。確かにその通りだ。仕事は分担した方が負担も少なくなる。けれど
「それでも、何かしたいです。わがままなのはわかってます」
生粋の日本人だ。働くのは当たり前なのだ。何もしていない方が落ち着かない。
「なら、セリーヌに課題をいくつか出そうか」
ニヤリと笑った彼に少し嫌な感じを覚えながらも承諾した。
屋敷内のある一室。わたしは椅子に座りノートを開いている。なぜかわからないけれど勉強しているのだ。この国の歴史、文化、帰属に関する知識まで。これは妹のアリサが受けていた教育ではないか。それをなぜわたしが……
疑問に思いながらも折角熱心に教えてくれている先生に失礼にならないよう、必死に知識を詰め込む。
それからマナー講座が始まる。お礼の仕方やカトラリーの使い方、言葉遣いなど多岐にわたる。必死に覚えようとはするけれどなかなか覚えられない。こんなにたくさん覚えることがあるなんて……
そりゃ小さい頃から少しずつやらないと覚えられないわ。
毎日勉強づけでくったりしているわたしを励ましてくれるのはクレバーだ。大きな体をくっつけてくれる。わたしの癒しになっていた。
「疲れたか?」
夕食でこくりこくりと眠りかけていたわたしに声をかけてくれる。
「頭を使うのは体を動かすより疲れます……」
そんなわたしを笑いながら
「その仕事はセリーナしかできないんだ。まあ、いい時間潰しになるだろう。君の役にも立つはずだし、俺もその方が助かる」
そう言われてしまっては嫌とはいえない。元々嫌と言える立場ではないんだけど。
「頑張ります……」
瞼が閉じそうになりながらなんとか食事を終えると眠ってしまった。
そんなわたしを誰かが部屋まで運んでくれていた。
目を覚ますとベッドで横になっていた。あれ、昨日……そう思っているとソフィアが入ってきた。
「おはようございます。昨日はお疲れだったようですね。旦那様がお部屋まで連れてきてくださったんですよ」
思わず顔を覆う。きっとまたお姫様抱っこされたに違いない。女性に優しいのはいいけれど、誰彼構わずやらないでいただきたい……
「そ、そうなのね。今日は何の授業?」
「本日はダンスの授業でございますよ。ささ、お支度いたしましょう」
コルセットをしっかりと締められ、ヒールのある靴を穿かされる。そして重たいドレス……
歩くのすら難しいんですけど。ダンス以前の問題だわ。
思わずため息をついてしまった。
今日は町娘風です!ってソフィアがルンルンで準備をしてくれた。わたしの普段の服よりもだいぶおしゃれだ。帽子とストールも準備されている。
玄関で待っていた彼も平民のような服装をしている。しているのだが、輝く金髪に碧眼と綺麗な顔立ちで大変キラキラしている。頑張っても貴族のお忍びにしか見えない。
ぼーっとしているわたしの手をとりエスコートしてくれる。ただ、その辺のマナーがあやふやなわたしは、おそるおそる歩きながら馬車に乗った。
「君の仕事の話だけど、一つはわたしの外出につきあうこと。もう一つは……着いてからお願いしようか」
馬車がついたのは孤児院。赤ちゃんから十五歳くらいの子供までがみんな一緒になって暮らしている。
親に捨てられたり、亡くなったり中には奴隷として売られそうになった子供を保護しているのだとか。
「孤児院は基本自給自足で成り立っている。寄付もするんだが大抵は洋服や勉強するための道具、院の修繕など環境に関わるところに先に使われるんだ。だからあまり食事はいいものと言えなくてな。」
「そう、なんですね」
こんな小さな子供たちが自分達の食べる分を一生懸命育てているなんて……
「字を書いたり、計算できれば働き口は広がるだろう?そこを削るわけにもいかないんだ。そこで、セリーヌにお願いしたいんだよ」
「もしかして、野菜を育てて寄付するってことですか?」
「そうだ。嫌なら断ってもらって構わないよ」
そんなこと言うわけがない。わたしの力が誰かの役に立つならばと思い、頷いた。
孤児院の子供たちと思いっきり遊ぶ。クレバーも連れてきていたのでみんなでわいわい体を動かしていた。
その後は種を買いに行く。子供たちに何が食べたいのか、聞いた上で種を選んだ。甘いものが人気で、さつまいも、カボチャが食べたいと話す子が多かった。そのほかにも希望があったものを彼に買ってもらう。
さっそく家に帰って、庭に向かった。
いつの間にか裏庭に畑が出来上がっていて、きっと彼が用意してくれたものだろうと察する。
畑くらい自分で作れるのにと思いながら、野菜を作り始めた。そばにはソフィアや男性の使用人もいてみんなでとれた野菜を運んでくれている。
おかげでわたしの仕事は土に手をかざすだけだ。わたしにやらせてほしいと言ったんだけど誰も首を縦に振ってくれなかった。
夕食は彼も一緒にとってくれている。忙しくない時は昼食も一緒だ。
「ノア様、皆わたしに何もさせてくれないのです。畑づくりも収穫も運ぶのだって。わたしもやりたいです」
「俺は、任せれる仕事は任せる主義だ。自分しかできないこと以外は周りに仕事を投げている。それが不満か?」
なるほど。確かにその通りだ。仕事は分担した方が負担も少なくなる。けれど
「それでも、何かしたいです。わがままなのはわかってます」
生粋の日本人だ。働くのは当たり前なのだ。何もしていない方が落ち着かない。
「なら、セリーヌに課題をいくつか出そうか」
ニヤリと笑った彼に少し嫌な感じを覚えながらも承諾した。
屋敷内のある一室。わたしは椅子に座りノートを開いている。なぜかわからないけれど勉強しているのだ。この国の歴史、文化、帰属に関する知識まで。これは妹のアリサが受けていた教育ではないか。それをなぜわたしが……
疑問に思いながらも折角熱心に教えてくれている先生に失礼にならないよう、必死に知識を詰め込む。
それからマナー講座が始まる。お礼の仕方やカトラリーの使い方、言葉遣いなど多岐にわたる。必死に覚えようとはするけれどなかなか覚えられない。こんなにたくさん覚えることがあるなんて……
そりゃ小さい頃から少しずつやらないと覚えられないわ。
毎日勉強づけでくったりしているわたしを励ましてくれるのはクレバーだ。大きな体をくっつけてくれる。わたしの癒しになっていた。
「疲れたか?」
夕食でこくりこくりと眠りかけていたわたしに声をかけてくれる。
「頭を使うのは体を動かすより疲れます……」
そんなわたしを笑いながら
「その仕事はセリーナしかできないんだ。まあ、いい時間潰しになるだろう。君の役にも立つはずだし、俺もその方が助かる」
そう言われてしまっては嫌とはいえない。元々嫌と言える立場ではないんだけど。
「頑張ります……」
瞼が閉じそうになりながらなんとか食事を終えると眠ってしまった。
そんなわたしを誰かが部屋まで運んでくれていた。
目を覚ますとベッドで横になっていた。あれ、昨日……そう思っているとソフィアが入ってきた。
「おはようございます。昨日はお疲れだったようですね。旦那様がお部屋まで連れてきてくださったんですよ」
思わず顔を覆う。きっとまたお姫様抱っこされたに違いない。女性に優しいのはいいけれど、誰彼構わずやらないでいただきたい……
「そ、そうなのね。今日は何の授業?」
「本日はダンスの授業でございますよ。ささ、お支度いたしましょう」
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思わずため息をついてしまった。
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