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「アリアお義姉様っ、あれ? なんか雰囲気変わってない? 気のせいかしら……」
まあ、二つも年下の子に勘付かれてしまうなんて……どうしてこんなにわかってしまうのかしら……
「それよりっ、お兄様とお泊まりに行ったんでしょう? どうだったのっ」
「ど、どうと、言われましても……」
「……なんとなくわかったわ。私を置いて行ってしまったわねっ」
ああ、完全にバレてしまったわ。
もう恥ずかしい……
「それで、どうやって克服したのっ」
「えと、それは……」
ぐいっと身体を乗り出して目をキラキラさせているエリザベス様、かわいいわね。
って、そうじゃないわ。
「うーん。ゆっくりでいいから、自分の気持ちを正直に伝えてみたらどうかしら。それから、ちゃんとお話ししたいって伝えてみたらどう?」
「そうしたらうまくいくかしら」
「やってみないとわからないと思うの。ほら、相手の性格にもよるだろうし……あの方なかなか掴めない方だったわ」
二人で考え込んでいるところへ、アーティが訪ねてきたわ。
制服のままでこちらにきていたみたいで、学園が終わってすぐにきたのかしら?
「やあアリア。元気かい?」
「元気ってお兄様……朝も顔を合わせたのでしょう?」
「それでもだよ。あ、エリーゼ。明日着くみたいだぞ」
一気に顔が赤くなるエリザベス様、かわいいわ……
きっとレオン王太子殿下のことね。反応ですぐわかっちゃうのもかわいいわねぇ。
「さ、アリア。帰るよ」
手を引かれてエリザベス様の部屋を後にする。部屋へ戻ると彼は着替えるために自室へと向かった。初めから着替えてからきたらよかったのに……
「はあ……」
大きなため息をつきながらわたくしを抱きしめる。というかため息をつくの初めて聞いた気がするわ。
「どうしたの?」
わたくしをぎゅっと後ろから抱きしめる。何かあったのかしら……?
「充電」
わたくし、発電体質なのかしら。よくわからないけれど、わたくしも疲れがどんどん抜けて行くのが心地いいのでそのままにしているわ。なんだか婚約する前と今じゃ全然違うのだけれど……
そのままわたくしの肩に顔を埋めるとスンスンと鼻を鳴らす。
「いい匂い」
なんだかそれはそれで恥ずかしいんですけれど……それにわたくしの匂いじゃなくてアーティの方がいい香りがするわ……
「ひゃっ、ちょっと……っ」
ぴちゃぴちゃと音がするくらい耳を舐め回される。彼の吐息や音がダイレクトすぎて、変な気持ちになってきちゃうじゃない。
首筋まで舐められ、前に回されていた手が胸を揉みしだき始める。ちょっとっ、まだ明るいんですけれどっ。
「アーティ、ちょ、っん」
文句を言おうと振り向いたらそのまま深い口づけをされてしまう。すっかりとろけてしまったわたくしを横抱きにして寝室へ連れて行かれてしまった。
あとはご想像された通り、美味しく戴かれてしまい、夕食も食べずに彼に貪られてしまった。
翌朝の彼のご満悦な笑顔に少し腹が立ったけれど、諦めることにしたわ……だって、見えないはずに尻尾がブンブン揺れているんだもの……
なんだか怒れないわ。
その日の午後、イーリス国からレオン王太子殿下が王宮へ来られた。わたくしも元イーリス国にいたということで、同席して欲しいと言われてるのよね。それなのに……身体中が痛いわ。一体何回したのよあの人はぁっ。
4回目までは覚えているんだけれど、それ以降はもう記憶がないのよね……
「久しぶりだね。元気だったかい?」
「はい、おかげさまで」
穏やかな雰囲気の中、曲がり角から誰かきたみたい。あら、あの方は……
「きゃーっ」
わたくし達をみた途端走り出す女性。うん、あれはエリザベス様ね。
本当に見かけた瞬間逃げてしまうなんて……かわいいわ。
「ふふっ。今日も元気だね」
「そうですわね。王太子殿下の言ってたこと、わかるわ。あれは可愛い」
「でしょう?」
「でも、彼女も悩んでいましたよ? もう少しお話をしてあげてくださいな」
「そう。じゃあ、迎えに行ってあげようかな」
笑顔が少し怖いですけれど……きっとなんとかなるでしょう。レオン王太子殿下を見送って執務室へと向かう。
今日は少しだけお仕事をすると決めているのよね。と言ってもあちこち痛いので少しだけだけれど。
どれどれ、気になる人がいるのですが、彼に告白してもいいのかわかりません。ぜひアドバイスを……
わたくしなら当たって砕けろなんだけれど、女の子の性格にもよるし相手の性格にもよるわね。ちょっと呼んでみようかしら。
秘書官の方にお願いして呼んできてもらう。きたのは可愛らしいメイドの女の子。
「あ、あの、初めまして……」
「初めまして、アリア・マーリスと申します。少しお話を伺っても?」
「はい、お願いします……」
どうやら恋をしている相手は騎士の方で、たまに話す程度なのだという。最近彼があまり話してくれなくなってそれでもどうしても告白したいのだとか。
でも、それだけじゃわからないわ……
「あの、告白の場に一緒にいていただくだけでいいのです。どこかに隠れてもらってて構いません。もし振られたら慰めていただければ」
そうね。女性の場合相談というより話を聞いて欲しかったり、背中を押して欲しかったりすることが多いものね。
「わかったわ! そんなことでいいのならいくらでも協力いたします」
「僕も行くよ」
「わあっ」
突然の乱入に驚いてしまう。誰かと思ったらアーティだったわ……昨日と同じ制服姿だけれど。
「アリアお義姉様っ、あれ? なんか雰囲気変わってない? 気のせいかしら……」
まあ、二つも年下の子に勘付かれてしまうなんて……どうしてこんなにわかってしまうのかしら……
「それよりっ、お兄様とお泊まりに行ったんでしょう? どうだったのっ」
「ど、どうと、言われましても……」
「……なんとなくわかったわ。私を置いて行ってしまったわねっ」
ああ、完全にバレてしまったわ。
もう恥ずかしい……
「それで、どうやって克服したのっ」
「えと、それは……」
ぐいっと身体を乗り出して目をキラキラさせているエリザベス様、かわいいわね。
って、そうじゃないわ。
「うーん。ゆっくりでいいから、自分の気持ちを正直に伝えてみたらどうかしら。それから、ちゃんとお話ししたいって伝えてみたらどう?」
「そうしたらうまくいくかしら」
「やってみないとわからないと思うの。ほら、相手の性格にもよるだろうし……あの方なかなか掴めない方だったわ」
二人で考え込んでいるところへ、アーティが訪ねてきたわ。
制服のままでこちらにきていたみたいで、学園が終わってすぐにきたのかしら?
「やあアリア。元気かい?」
「元気ってお兄様……朝も顔を合わせたのでしょう?」
「それでもだよ。あ、エリーゼ。明日着くみたいだぞ」
一気に顔が赤くなるエリザベス様、かわいいわ……
きっとレオン王太子殿下のことね。反応ですぐわかっちゃうのもかわいいわねぇ。
「さ、アリア。帰るよ」
手を引かれてエリザベス様の部屋を後にする。部屋へ戻ると彼は着替えるために自室へと向かった。初めから着替えてからきたらよかったのに……
「はあ……」
大きなため息をつきながらわたくしを抱きしめる。というかため息をつくの初めて聞いた気がするわ。
「どうしたの?」
わたくしをぎゅっと後ろから抱きしめる。何かあったのかしら……?
「充電」
わたくし、発電体質なのかしら。よくわからないけれど、わたくしも疲れがどんどん抜けて行くのが心地いいのでそのままにしているわ。なんだか婚約する前と今じゃ全然違うのだけれど……
そのままわたくしの肩に顔を埋めるとスンスンと鼻を鳴らす。
「いい匂い」
なんだかそれはそれで恥ずかしいんですけれど……それにわたくしの匂いじゃなくてアーティの方がいい香りがするわ……
「ひゃっ、ちょっと……っ」
ぴちゃぴちゃと音がするくらい耳を舐め回される。彼の吐息や音がダイレクトすぎて、変な気持ちになってきちゃうじゃない。
首筋まで舐められ、前に回されていた手が胸を揉みしだき始める。ちょっとっ、まだ明るいんですけれどっ。
「アーティ、ちょ、っん」
文句を言おうと振り向いたらそのまま深い口づけをされてしまう。すっかりとろけてしまったわたくしを横抱きにして寝室へ連れて行かれてしまった。
あとはご想像された通り、美味しく戴かれてしまい、夕食も食べずに彼に貪られてしまった。
翌朝の彼のご満悦な笑顔に少し腹が立ったけれど、諦めることにしたわ……だって、見えないはずに尻尾がブンブン揺れているんだもの……
なんだか怒れないわ。
その日の午後、イーリス国からレオン王太子殿下が王宮へ来られた。わたくしも元イーリス国にいたということで、同席して欲しいと言われてるのよね。それなのに……身体中が痛いわ。一体何回したのよあの人はぁっ。
4回目までは覚えているんだけれど、それ以降はもう記憶がないのよね……
「久しぶりだね。元気だったかい?」
「はい、おかげさまで」
穏やかな雰囲気の中、曲がり角から誰かきたみたい。あら、あの方は……
「きゃーっ」
わたくし達をみた途端走り出す女性。うん、あれはエリザベス様ね。
本当に見かけた瞬間逃げてしまうなんて……かわいいわ。
「ふふっ。今日も元気だね」
「そうですわね。王太子殿下の言ってたこと、わかるわ。あれは可愛い」
「でしょう?」
「でも、彼女も悩んでいましたよ? もう少しお話をしてあげてくださいな」
「そう。じゃあ、迎えに行ってあげようかな」
笑顔が少し怖いですけれど……きっとなんとかなるでしょう。レオン王太子殿下を見送って執務室へと向かう。
今日は少しだけお仕事をすると決めているのよね。と言ってもあちこち痛いので少しだけだけれど。
どれどれ、気になる人がいるのですが、彼に告白してもいいのかわかりません。ぜひアドバイスを……
わたくしなら当たって砕けろなんだけれど、女の子の性格にもよるし相手の性格にもよるわね。ちょっと呼んでみようかしら。
秘書官の方にお願いして呼んできてもらう。きたのは可愛らしいメイドの女の子。
「あ、あの、初めまして……」
「初めまして、アリア・マーリスと申します。少しお話を伺っても?」
「はい、お願いします……」
どうやら恋をしている相手は騎士の方で、たまに話す程度なのだという。最近彼があまり話してくれなくなってそれでもどうしても告白したいのだとか。
でも、それだけじゃわからないわ……
「あの、告白の場に一緒にいていただくだけでいいのです。どこかに隠れてもらってて構いません。もし振られたら慰めていただければ」
そうね。女性の場合相談というより話を聞いて欲しかったり、背中を押して欲しかったりすることが多いものね。
「わかったわ! そんなことでいいのならいくらでも協力いたします」
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