愛するものと出会えたなら

白い恋人

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案内

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 昼休みになり、昼食を撮ったあとに言われたとおり双葉に校内を案内していた。
「はぁ~、疲れました…」
「あー、ずっと質問責めだったもんな」
「転校初日ってこんな疲れるんですね……」
 本当に疲れてるんだな。元気が全然無いのがみてわかる。
「お疲れさん。あ、ここが家庭科室でそこが音楽室。んで、ここを真っ直ぐ進んだら俺がよく行く図書室で──」
「図書室‼」
 うるせっ、てか急に元気になったな。
「おう。お前もよく行くことになるんじゃね?」
「はい。前の学校でもよく行っていました。」
「趣味が読書って言ってたからな。」
「はい!ホント本を読んでいたらあっという間に時間が過ぎてしまうほど集中してしまうんですよね~」
 その後もペラペラと喋り続ける双葉。本のことになるとちょっとめんどうだな。嫌いではないが。
「そういやお前って部活は──」
「あの、『お前』って呼ばれるのは好きではないので名前で呼んでいただけませんか?」
「わ、わりぃな」
 真剣な顔で言われた。そんな嫌なのか?いや、嫌だな。だが双葉には悪いが名前では呼べん。
「それじゃあ、双葉は部活はどうすんだ?」
「うーん、優一くんは何かやっていますか?」
「いや、俺はなにも」
「そんなんですか。では私も特にいいですかね」
 朝みた感じ足速いんだから陸上部とか入ればいいのに。まぁ、変に首突っ込む理由も無いしいっか。
「では、次はどこですか?」
「そうだな……おそらくもうねーな」
「そうですか、ではどうします?」
「あー、時間は……少ししかねーな。もう教室戻るか」
「ですね。……あ!一度図書室に行きませんか?どんなところか見てみたいので」
「あぁ、じゃあそうすっか」
 そして図書室に行くことになった。
「おろ?全然人がいないですね」
 こいつの言うとおり、ここの学校の図書室の利用者は少ない。俺も今まで数人しか図書室で見た覚えがないくらいだ。だが、よく来る人も少しはいる。例えば俺とか俺とか俺とか、あと俺とか。
「そういやここの図書室って珍しくてな、フリースペースで飯食えたりできるんだ。ちなみに俺はいつもここで食ってるぞ」
 だって教室うるさいんだもん。
「ホントですか!?あれ?でも今日は教室で食べていましたよね?」
「そりゃ学校案内しなきゃいけなかったから図書室来る暇ねぇよ」
「そうでしたね。あ、では!明日から一緒に図書室でご飯を食べませんか?いいですよね?はい!決定です!」
 え、俺何も言ってないんだけど……。
「私はやると決めたら必ずやる主義ですので!」
 そんな誇らしげに言うことでは無い気がするのだが……。
「はぁ、わかったよ」
 正直なところ嫌だったが、ニパッっと笑ってぴょんぴょん飛び跳ねながら喜んでいる双葉を見て、自然に頬が緩んでいた。
「いっつ‼」
 すると急に謎の頭痛が起こった。それと同時に『あいつ』の姿が頭によぎった。無意識的に『あいつ』と双葉を重ねていたのか。
「大丈夫ですか?優一くん」
「──ッ!」
 急に名を呼ばれ顔を上げると、双葉が心配そうな顔で俺の顔をのぞき込んでいた。
「悪い、心配かけて。大丈夫だ」
「体調が良くないのでしたら無理はせずにしっかり休んでくださいね」
「あぁ、ありがとな」
 そうこうしていたら予鈴が鳴ったので俺たちは教室に戻った。そういや、途中からどっかから視線を感じたが……まぁ気のせいだろう。
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