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第3話:宿屋のキャンセル枠をゲット?
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「あれ、どこも空いてない……?」
ユナは街をぐるりと歩いて、そこそこ大きめの宿を見つけた。
けれど受付に行くと、少々申し訳なさげな表情の男性店員が頭を下げる。
「すみません、今夜は予約でいっぱいでして……」
「あ、そっか。うーん、やっぱり昼間に確保しておくべきだったかも」
ユナはバニー姿のまま、困ったように首をかしげる。すでに日もだいぶ傾いてきていて、他の宿屋も似たり寄ったりの混雑具合かもしれない。
「じゃあ仕方ないかなー」と諦めようとしたところで、男性店員がはっと何か思い出したように声をあげた。
「お客さま、ちょうどさっき……キャンセルが出た部屋がございますよ。もしよろしければ、すぐにご案内できますが……」
「え? 本当?」
思いがけない幸運に、ユナの目がぱちりと開く。男性店員はユナの姿に少し頬を染めながら、宿泊台帳を確認する。
「はい。先ほどのキャンセルが入ったばかりで、まだ掃除が済んでいないのですが、すぐ整えますので少々お待ちを」
「やった、助かる。ありがとうございます!」
にこっと微笑むと、店員はさらに顔を赤らめ、妙にそわそわしている。ユナのあざとい笑顔にやられ気味なのだろうか。だが、当のユナはあまり気にしていないような表情だ。
---
数分後。
部屋の準備が終わったらしく、男性店員が申し訳なさそうにユナを呼び止める。
「えっと、実は……隣の部屋が先ほど別のお客さまの予約に入っていたのですが、手違いで相部屋になりかけておりまして……」
「相部屋? それは困るかも。あんまり知らない人とは寝られないし……」
「ですよね。ご安心ください。先ほど確認したところ、どうやら相部屋になるはずの男性のお客さまが『あ、あんな刺激的な姿の方と同じ建物で……無理だ!』と、なぜか別の宿へ移動されてしまいまして……」
「……え?」
ユナが首をかしげると、店員は小声で続ける。
「おそらく、お客様のその……バニー姿にドギマギして、耐えられなかったのかと……」
「ふーん……」
当のユナは相変わらずクールな表情。
店員はなんとも言えない気まずさの混じった笑みを浮かべるが、問題は即解決してしまったので「まあいいか」という気分らしい。結果、ユナは隣室どころか下手すると相部屋になりかけていたトラブルを回避できたようだ。
「ではお部屋へどうぞ。夕食は一階の食堂をご利用いただけます」
「はーい、ありがとう」
---
夕食時。
一階の食堂に足を運んだユナは、盛り上がる客たちの視線を一身に集める。バニーガール姿で堂々と椅子に座るその光景は、この宿の住人たちからすれば初めての刺激らしい。
「あの……あなた、冒険者の方ですか?」
隣のテーブルにいた男性が、恥ずかしそうに声をかけてきた。ユナはスプーンを手にして、ひょいっと顔を向ける。
「うん、一応。まだ仮登録だけど」
「あ、そうなんですね……えっと……」
男性はバニー姿を直視できないのか、頬を赤らめてもじもじ。周囲の客も「なぜこんな子がここに?」と気になって仕方がないようで、こそこそ話が絶えない。
「食事、おいしい?」
ユナは逆にあっさり話を振る。男性客は「は、はい、ここのシチューは絶品ですよ」とぎこちなく返事する。
それをきっかけに他の客も「ここのパンは外はカリッと中はふんわりだよ」「今日は特に肉が新鮮らしい」と、やたらアピールしてくる。
「へえ……楽しみ」
ユナが微笑むだけで、まるでそこが舞台になったかのように空気が華やかになる。皆なんだかんだニヤけ顔で、デレデレした雰囲気が漂っている。
料理が運ばれるたびに、給仕係の青年が照れながらも「ど、どうぞ……熱いのでお気をつけて」と緊張気味。ユナが笑顔で「ありがとう」と答えると、そのまま鼻血を噴きそうになる人が数名。
「なんだか、注目されてる……?」
ユナ自身は不思議そうに首をかしげているが、バニー姿と自然に漂う色気は想像以上の破壊力らしい。だが、周囲が浮足立っている間も、ユナは黙々とご飯を平らげる。
「おいしい。お肉柔らかいし……シチューもクリーミー」
しみじみ味わいながら食事を楽しむユナ。その仕草にときめいている男性客も多いが、当のユナはまったく自覚していないようだ。
やがて満腹感を得たころには、食堂の熱気も最高潮になりかけていた。
---
その晩、ユナはしっかり個室を確保し、誰からも干渉されずにベッドへ潜り込む。
バニー衣装は当然脱げないものの、心地よい寝巻き……と割り切ってしまえば案外寝苦しくない。
「ふう……結局、妹探しの手がかりはまだないんだよね」
天井を見ながらぽつりとつぶやく。ナナは本当にこの世界のどこかにいるのか、自分と同じように転生しているのか――疑問はいくらでもあるが、深追いする気にはなれない。焦りがないというか、ユナの性格がそうさせている。
「ま、明日にはちょっと街を出てみようかな……」
そう決めたところで、意識がどんどん遠のいていく。静まり返った夜の宿屋。
遠くでかすかに聞こえる街のざわめきも、やがて薄れていくなか、ユナはすんなりと眠りに落ちた。
---
翌朝。
窓から射し込む柔らかな陽光で目を覚ましたユナは、さっそく出発の準備に取りかかる。といっても、荷物はほとんどない。バニー衣装のままで行動するしかないし、ヒールが歩きづらいかといえば、なぜか疲れも感じにくい不思議仕様。
「あ、朝食……まだ間に合うかな」
食堂に降りると、すでに宿の客たちがバタバタと出発準備をしているところらしい。何人かと目が合うが、彼らは恥ずかしそうに視線を外す。どうやら昨夜の興奮がまだ冷めていないっぽい。
「おはようございます……よかったら、これどうぞ」
勇気を出して声をかけてきたのは、隣室に泊まっていたという青年。差し出されたのは携帯食用のパンと薄切りのチーズ。どうやら彼はユナに軽いお礼をしたいらしいが、ユナには心当たりがない。
「わたし何かしたかな?」
「え、いえ……あの、なんていうか……同じ宿に泊まれただけで……すごく幸運というか……」
青年は意味不明なことを言いながら照れ隠しのように逃げていく。
ユナは首をひねりつつも「もらっちゃっていいのかな」とパンを受け取り、お腹が空いたら食べようとポーチにしまう。バニー衣装の腰には、小さなポケット的なスペースがあるので助かる。
「あれ、意外と便利?」
そう呟いて、ユナは荷支度もそこそこに宿のフロントへ。
昨日と同じ男性店員が顔を出し、「ご利用ありがとうございました」と頭を下げてくれる。
「こちらこそ助かりました。お世話になりました」
「いえいえ……あの、その……お元気で……」
店員はまたしても妙に落ち着かない様子だが、ユナは気にせずペコリとお辞儀をして宿を後にする。朝の街にはまだ清々しい空気が流れている。
「あー、今日はどこ行こうかな」
宿のドアをくぐり、道に出たところで、ユナは大きく伸びをする。
妹探しといっても当てもなくウロウロするだけでは成果は薄そうだが、だからといって一箇所に留まるのも性に合わない。流れのままに行動しても、きっと何とかなる――そんな妙な確信がある。
「そういえば勇者っぽい人も見かけたけど、関わるの面倒そうだし……よし、とりあえず次の街を目指そうかな」
そう呟いて軽く歩き出す。バニーのしっぽがふわふわ揺れ、ヒールの足取りもなぜか軽快。
今日も晴れ。世界は広い――妹と再会できる日がいつ訪れるかわからないが、どこかで偶然また転がり込むような幸運が舞い降りる気がしている。
「ま、行ってみよ」
気ままな独り旅の始まり。夕べの宿屋での出来事を振り返りながらも、ユナは飄々と笑みをこぼす。脱げないバニー姿だけど、今のところそれで困ることもない。
そして何より、奇妙なほどに幸運が味方しているこの体。もしかしたら――なんてことをぼんやり考えつつ、ユナは次なる冒険へ一歩を踏み出すのだった。
ユナは街をぐるりと歩いて、そこそこ大きめの宿を見つけた。
けれど受付に行くと、少々申し訳なさげな表情の男性店員が頭を下げる。
「すみません、今夜は予約でいっぱいでして……」
「あ、そっか。うーん、やっぱり昼間に確保しておくべきだったかも」
ユナはバニー姿のまま、困ったように首をかしげる。すでに日もだいぶ傾いてきていて、他の宿屋も似たり寄ったりの混雑具合かもしれない。
「じゃあ仕方ないかなー」と諦めようとしたところで、男性店員がはっと何か思い出したように声をあげた。
「お客さま、ちょうどさっき……キャンセルが出た部屋がございますよ。もしよろしければ、すぐにご案内できますが……」
「え? 本当?」
思いがけない幸運に、ユナの目がぱちりと開く。男性店員はユナの姿に少し頬を染めながら、宿泊台帳を確認する。
「はい。先ほどのキャンセルが入ったばかりで、まだ掃除が済んでいないのですが、すぐ整えますので少々お待ちを」
「やった、助かる。ありがとうございます!」
にこっと微笑むと、店員はさらに顔を赤らめ、妙にそわそわしている。ユナのあざとい笑顔にやられ気味なのだろうか。だが、当のユナはあまり気にしていないような表情だ。
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数分後。
部屋の準備が終わったらしく、男性店員が申し訳なさそうにユナを呼び止める。
「えっと、実は……隣の部屋が先ほど別のお客さまの予約に入っていたのですが、手違いで相部屋になりかけておりまして……」
「相部屋? それは困るかも。あんまり知らない人とは寝られないし……」
「ですよね。ご安心ください。先ほど確認したところ、どうやら相部屋になるはずの男性のお客さまが『あ、あんな刺激的な姿の方と同じ建物で……無理だ!』と、なぜか別の宿へ移動されてしまいまして……」
「……え?」
ユナが首をかしげると、店員は小声で続ける。
「おそらく、お客様のその……バニー姿にドギマギして、耐えられなかったのかと……」
「ふーん……」
当のユナは相変わらずクールな表情。
店員はなんとも言えない気まずさの混じった笑みを浮かべるが、問題は即解決してしまったので「まあいいか」という気分らしい。結果、ユナは隣室どころか下手すると相部屋になりかけていたトラブルを回避できたようだ。
「ではお部屋へどうぞ。夕食は一階の食堂をご利用いただけます」
「はーい、ありがとう」
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夕食時。
一階の食堂に足を運んだユナは、盛り上がる客たちの視線を一身に集める。バニーガール姿で堂々と椅子に座るその光景は、この宿の住人たちからすれば初めての刺激らしい。
「あの……あなた、冒険者の方ですか?」
隣のテーブルにいた男性が、恥ずかしそうに声をかけてきた。ユナはスプーンを手にして、ひょいっと顔を向ける。
「うん、一応。まだ仮登録だけど」
「あ、そうなんですね……えっと……」
男性はバニー姿を直視できないのか、頬を赤らめてもじもじ。周囲の客も「なぜこんな子がここに?」と気になって仕方がないようで、こそこそ話が絶えない。
「食事、おいしい?」
ユナは逆にあっさり話を振る。男性客は「は、はい、ここのシチューは絶品ですよ」とぎこちなく返事する。
それをきっかけに他の客も「ここのパンは外はカリッと中はふんわりだよ」「今日は特に肉が新鮮らしい」と、やたらアピールしてくる。
「へえ……楽しみ」
ユナが微笑むだけで、まるでそこが舞台になったかのように空気が華やかになる。皆なんだかんだニヤけ顔で、デレデレした雰囲気が漂っている。
料理が運ばれるたびに、給仕係の青年が照れながらも「ど、どうぞ……熱いのでお気をつけて」と緊張気味。ユナが笑顔で「ありがとう」と答えると、そのまま鼻血を噴きそうになる人が数名。
「なんだか、注目されてる……?」
ユナ自身は不思議そうに首をかしげているが、バニー姿と自然に漂う色気は想像以上の破壊力らしい。だが、周囲が浮足立っている間も、ユナは黙々とご飯を平らげる。
「おいしい。お肉柔らかいし……シチューもクリーミー」
しみじみ味わいながら食事を楽しむユナ。その仕草にときめいている男性客も多いが、当のユナはまったく自覚していないようだ。
やがて満腹感を得たころには、食堂の熱気も最高潮になりかけていた。
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その晩、ユナはしっかり個室を確保し、誰からも干渉されずにベッドへ潜り込む。
バニー衣装は当然脱げないものの、心地よい寝巻き……と割り切ってしまえば案外寝苦しくない。
「ふう……結局、妹探しの手がかりはまだないんだよね」
天井を見ながらぽつりとつぶやく。ナナは本当にこの世界のどこかにいるのか、自分と同じように転生しているのか――疑問はいくらでもあるが、深追いする気にはなれない。焦りがないというか、ユナの性格がそうさせている。
「ま、明日にはちょっと街を出てみようかな……」
そう決めたところで、意識がどんどん遠のいていく。静まり返った夜の宿屋。
遠くでかすかに聞こえる街のざわめきも、やがて薄れていくなか、ユナはすんなりと眠りに落ちた。
---
翌朝。
窓から射し込む柔らかな陽光で目を覚ましたユナは、さっそく出発の準備に取りかかる。といっても、荷物はほとんどない。バニー衣装のままで行動するしかないし、ヒールが歩きづらいかといえば、なぜか疲れも感じにくい不思議仕様。
「あ、朝食……まだ間に合うかな」
食堂に降りると、すでに宿の客たちがバタバタと出発準備をしているところらしい。何人かと目が合うが、彼らは恥ずかしそうに視線を外す。どうやら昨夜の興奮がまだ冷めていないっぽい。
「おはようございます……よかったら、これどうぞ」
勇気を出して声をかけてきたのは、隣室に泊まっていたという青年。差し出されたのは携帯食用のパンと薄切りのチーズ。どうやら彼はユナに軽いお礼をしたいらしいが、ユナには心当たりがない。
「わたし何かしたかな?」
「え、いえ……あの、なんていうか……同じ宿に泊まれただけで……すごく幸運というか……」
青年は意味不明なことを言いながら照れ隠しのように逃げていく。
ユナは首をひねりつつも「もらっちゃっていいのかな」とパンを受け取り、お腹が空いたら食べようとポーチにしまう。バニー衣装の腰には、小さなポケット的なスペースがあるので助かる。
「あれ、意外と便利?」
そう呟いて、ユナは荷支度もそこそこに宿のフロントへ。
昨日と同じ男性店員が顔を出し、「ご利用ありがとうございました」と頭を下げてくれる。
「こちらこそ助かりました。お世話になりました」
「いえいえ……あの、その……お元気で……」
店員はまたしても妙に落ち着かない様子だが、ユナは気にせずペコリとお辞儀をして宿を後にする。朝の街にはまだ清々しい空気が流れている。
「あー、今日はどこ行こうかな」
宿のドアをくぐり、道に出たところで、ユナは大きく伸びをする。
妹探しといっても当てもなくウロウロするだけでは成果は薄そうだが、だからといって一箇所に留まるのも性に合わない。流れのままに行動しても、きっと何とかなる――そんな妙な確信がある。
「そういえば勇者っぽい人も見かけたけど、関わるの面倒そうだし……よし、とりあえず次の街を目指そうかな」
そう呟いて軽く歩き出す。バニーのしっぽがふわふわ揺れ、ヒールの足取りもなぜか軽快。
今日も晴れ。世界は広い――妹と再会できる日がいつ訪れるかわからないが、どこかで偶然また転がり込むような幸運が舞い降りる気がしている。
「ま、行ってみよ」
気ままな独り旅の始まり。夕べの宿屋での出来事を振り返りながらも、ユナは飄々と笑みをこぼす。脱げないバニー姿だけど、今のところそれで困ることもない。
そして何より、奇妙なほどに幸運が味方しているこの体。もしかしたら――なんてことをぼんやり考えつつ、ユナは次なる冒険へ一歩を踏み出すのだった。
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