転生したらバニーガールだけど?まあいいか

MMM

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「ふーん、そうだったんだ」

ユナはバニー姿のまま、妹ナナから魔王軍に関する一連の事情を聞き終える。  
妹いわく、魔王軍はすでに実質崩壊した状態。残党が細々と抵抗しているものの、世界を揺るがす大規模な脅威ではなくなったらしい。

「それで、結局世界は平和になったのかな。まあ、そもそもあんまり興味なかったけど」

「……姉さんは相変わらずね。魔王軍のせいで結構な被害が出てたんだよ」

「そうなんだ。大変そう」

相変わらずマイペースなユナ。妹のナナは呆れ半分、苦笑半分といった表情で肩をすくめる。  
とはいえ、最終的には姉が行く先々でいつの間にか魔王軍の侵攻を潰して回っていたという事実に、ナナも内心驚きと感謝を抱いているらしい。

「でも、これで一応、世界は落ち着くんだね。よかったよかった」

達成感がありそうな場面なのに、ユナ本人はまるで他人事のような口調だ。  
妹を探す理由は果たし、魔王軍も脅威でなくなった今、もともとの目的すらなくなりかけている。

「姉さん、これからどうする? せっかくだし、一緒に旅する?」

ナナが声をかけるが、ユナはバニーしっぽを揺らしつつ首を振る。

「うーん、ソロが気楽なんだよね。ごめんね」

「そっか……まあ、そういうと思った。姉さんは昔から、自由気ままなタイプだったし」

ナナも納得した様子で笑みを浮かべる。  
ただ、これで完全に別れというわけでもなく、どこかまた近いうち再会できるような気配がある。姉妹はそれぞれのやりたいことを尊重し合うだけだ。

「じゃあ、また今度どこかで会おうよ。わたしは……次どこ行こうかなぁ。まだ見てない街がたくさんあるし」

「そうだね。あちこちフラフラしてたら、またそのうち会えるでしょ」

そう言って、二人は軽くハイタッチでもするように手を合わせる。  
以前のような抱擁や涙の再会というより、今の姉妹はもう少し距離感が大人びている。お互いの人生を認め合い、気が向いたらまた合流しよう――それくらいの軽やかさだ。

「じゃあ、元気でね」

「うん。姉さんも。あんまりトラブルに巻き込まれないようにね」

「わかんないけど、運だけはいいから大丈夫だよ」

にこりと笑うユナ。ナナも苦笑しながら「ほんと姉さんらしい」と呟いて踵を返す。  
黒髪が風に揺れ、ナナは別の方向へと歩き出す。その後ろ姿を見送り、ユナはバニー耳をぴょこんと動かしつつ自分も反対方向へ進む。

---

空は晴れわたり、旅日和と言わんばかりの陽光が差し込む。  
バニー衣装は相変わらず脱げないままだが、ユナは「まあ、いいか」と気にも留めない。何かと便利だし、誰かに注目されても慣れてしまった。

「さて、世界が平和になってもわたしの旅は続くかー」

特に目的があるわけでもないが、行きたいところへ行き、気ままに観光するだけでも十分楽しい。もし運良く面白い事件やおいしい料理に出会えればラッキー。  
妹を見つけるという大きな目標は形としては達成したが、これからはただただ自由な冒険を満喫するだけだ。

そうしてユナは、バニー姿のまま街道を歩き始める。  
行く先にはどんな風景が広がっているのか、この先何が起きるのか――少なくとも今は何の不安もない。運が味方し、色気もよくわからない形で武器になる。彼女が望むままに、世界はゆるやかに開かれているようだ。

「妹も心配ないし……よし、次は何食べようかなー」

軽やかな足取りでバニーしっぽがふわふわ動く。  
大事件が終わったあとだというのに、本人にはまるで連休明けの日常に戻る感覚。世界の命運などそっちのけで、マイペースに旅立つのがユナらしい終幕だった。

しかし――この結末がまた新たな旅の始まりなのだろう。  
こうしてバニーガールのユナは、今日もどこかの街道をのんきに歩いていく。再び世界が平和になったかどうかなんて、あまり興味がない。自分が楽しく自由に過ごせれば、それで十分……。

そして、いつかどこかでナナとの邂逅がまた訪れる予感を残しながら、この物語はそっと幕を閉じるのだった。  
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