19 / 34
19.藁の中の針(アロイスside)
しおりを挟む
『まさか人探しなんて理由で、隣国まで来ることになるとは思わなかったナ!』
『旅行じゃないんだから、はしゃがない』
『仕事か、令嬢の相手か、リリをこっそり盗み見るくらいのつまんない日々しかなかったのナ! はしゃぎたくもなるナ!』
『それはそれは悪かったねー』
この悪魔、人の生活をつまんない呼ばわりである。
しかしまぁ、俺の日々は確かにほぼつまらない。
リリがいない限り全てがつまらないので、つまり今は100%つまらない状態である。
こんなことなら無理矢理にでも縛り付けておけばよかった。
不自由な暮らしを続けていたであろうリリに、人間らしい自由は与えてやりたいと思っていた。
だから『働きたい』という申し出も許可したし、ささやかだが使用人の域を脱しない範疇で一人部屋も与えていた。
その結果、勝手にいなくなった。
『リリに魔法が効けば、魅了でも何でも掛けられたのになぁ』
『オイ、犯罪者予備軍。ボクあの出店が気になるナ』
耳飾りが不自然的に揺れて、鬱陶しい主張をする。
だから旅行じゃないんだって。
隣国は海に面した盛んな貿易国で、我が国に次いで、第二都市とも呼ばれるほどの賑わいがある。
大通りは人が多く、波を避けながら歩くのが億劫だ。
隣国行きの荷馬車に乗ったという情報を得て来たはいいが、ここから探すのは骨が折れそうだ。
『アロイス! 出店!』
「あーはいはい、わかったよ」
「いいの!?」
『『──え?』』
斜め後ろから聞こえた甲高い第三者の声にギョッとしながら目をやれば、若い女が並び立つように大股で踏み出してきた。
馴れ馴れしく腕に絡みつかれ、表情にはもちろん出さないが、日頃の癖がなければ口元を引き攣らせていたと思う。
「お勧めのお店が近くにあるの」
俺は考え事に、ナーチは出店に、必死になり過ぎていたようで、全く気がついていなかった。
熱を孕んだ瞳、媚びるような高い声。
どうやら面倒なのに捕まってしまったらしい。
「お誘いに応えてくれて嬉しいわ」
応えたつもりなどさらさら無いが、不運にもナーチへの回答が勘違いされてしまったらしい。
耳飾りの中で食べ物の催促をしていた悪魔に返事をしただけ、なんて誰も信じないだろう。
制止の言葉は耳に届かないようで、ぐいぐいと腕を引かれて大衆的な酒場へと連れ込まれた。
あれよあれよとテーブルへと着かされる。
腰を落ち着けたところで、はたと気づく。自分がこんな女一人に簡単に捕まってしまうほど、うつけてしまっているらしいことに。
睡眠も食事も上手く取れないのを魔法で適当に誤魔化していたが、そういえば体の半分ばかりを家に置いてきているのだ。長旅の疲労も溜まっているのかもしれない。
情けない。失態だ。
「ここ、お料理も美味しいのよ」
ごく一般的な町娘の装いだが、胸元を強調するようにシャツのボタンをギリギリまで留めないでいる。
はしたないなぁと心の中で思いながらも、名前を聞かれてファーストネームだけを答えた。
娘はオリヴィアというらしい。凄まじくどうでもいいが、最近聞いたような名前のおかげで何とか頭に残った。
同時にこれからはこの名前の人間には気を付けて生きようと思った。
『隣国に来てまで女の相手とは、オマエも難儀ナァ』
『うるさいよ』
「ねぇどこからいらしたの? 貴方みたいな顔も身なりも良い人、私はじめて会ったわ」
「少し遠くからですよ」
「あら、秘密なの? いいわよ。ミステリアスな男も私、好きだから」
言葉を返す気にもなれなくて、笑顔で誤魔化した。
疲労を一度自覚してしまうと押し寄せるように体が疲れを訴え始めて、俺は目の前の女との会話に微笑み返すだけの機械人形と化した。
『アロイス様、お疲れではないですか?』
幼い頃。そんな言葉を掛けられた日、胸がすくような心地になったが、強がって首を横に振った。
翌日珍しく体調を崩してしまい、ベッドに沈む傍らリリがずっとそばにいてくれた。
子どもらしい付き合いをしなくなってからも、いくら酷い言葉を掛けた後でも、リリは癖のように俺を気に掛けてくれた。
それが酷く心地よくて──。
『アロイス、飲み過ぎじゃナいか?』
「ふふ、良い飲みっぷり。可愛い顔して、飲み慣れてるのね」
「……ああ、」
ぼんやりとしたまま、注がれる酒を手持ち無沙汰に煽り続けていた。
空になったグラスを見つめ、もう何杯目になるかわからないなと思った。
とはいえ、
『酔わないよ。これくらいじゃ』
『そういえばオマエの酔ったところなんか見たことないナ…』
「ねぇ、この後も、いいわよね?」
女が上目遣いにこちらを見つめる。
ねっとりと重ねられた手を眺め、心の中で嘆息した。
俺は何をやっているんだろう。
今頃リリはどうしているんだろうか。
『勘違いとはいえ一度了承してしまった手前、それなりに付き合ったけど、もう十分だよね?』
『アロイスは本当、妙なところで律儀ナァ』
まさか。律儀なんてとんでもない。
事なかれ主義が発展してできた放棄癖ゆえだ。
ただどうでもいいだけ。あの子以外の何もかもが。
「さて、オリヴィア嬢」
名前を呼べば、彼女は目尻を倒して瞳を虚に染めた。
内側を覗き込むように見つめる。
「この辺りで銀髪の少女は見かけなかった?」
「──んん?」
「髪も、瞳の色も珍しい小柄な女の子だよ。見掛けたら目に留まるくらいには、余所者の雰囲気が出ていたんじゃないかな」
「──んー…」
記憶を起こすことだけに集中出来るようにしてあげたせいで、開けっぱなしの口元からたらりと唾が落ちた。
間抜けヅラを頬杖を付いて眺めながら、ただ回答を待つ。
少しの時間を有してから、
「──たしか町商会の行商人が、不思議な女の子を途中まで乗せたとか、話してて……たまたま銀の髪の間から覗いた瞳が、特徴的で、」
思い掛けない発言に思わずパチリと瞬きした。
まさか一発目で当たりを引くとは。
彼女の雰囲気を見て、この辺りに精通してそうだとは感じた。だからリリを知らなくとも、他に情報通の人間を紹介してもらえればと思っていたのだが。
「売れるネタかもしれないからって、詳しくは教えてくれなかった、けど」
「………。ありがとう。じゃあ、支払いは済ませておくから、君も落ち着いたら真っ直ぐ家に帰りなね」
「──…はい」
かくりと力なく頷いたのを横目に見ながら立ち上がる。
催眠状態の女性を一人酒場に残していくのは気が引けないこともないが、どうせ彼女はこの土地に不慣れなものを捕まえて、アレコレとくすねていくタチの悪い人種だ。
お咎めなしなだけマシだと思ってもらわなければ。
『これからどうするナ?』
『商会で情報集め』
自然とガツガツと靴の底を慣らしながら歩いてしまう。
フラストレーションは溜まる一方だ。
「はぁ……」
やっと吐き出せた溜め息は、誰に拾われることもなく街の喧騒に溶けていった。
『旅行じゃないんだから、はしゃがない』
『仕事か、令嬢の相手か、リリをこっそり盗み見るくらいのつまんない日々しかなかったのナ! はしゃぎたくもなるナ!』
『それはそれは悪かったねー』
この悪魔、人の生活をつまんない呼ばわりである。
しかしまぁ、俺の日々は確かにほぼつまらない。
リリがいない限り全てがつまらないので、つまり今は100%つまらない状態である。
こんなことなら無理矢理にでも縛り付けておけばよかった。
不自由な暮らしを続けていたであろうリリに、人間らしい自由は与えてやりたいと思っていた。
だから『働きたい』という申し出も許可したし、ささやかだが使用人の域を脱しない範疇で一人部屋も与えていた。
その結果、勝手にいなくなった。
『リリに魔法が効けば、魅了でも何でも掛けられたのになぁ』
『オイ、犯罪者予備軍。ボクあの出店が気になるナ』
耳飾りが不自然的に揺れて、鬱陶しい主張をする。
だから旅行じゃないんだって。
隣国は海に面した盛んな貿易国で、我が国に次いで、第二都市とも呼ばれるほどの賑わいがある。
大通りは人が多く、波を避けながら歩くのが億劫だ。
隣国行きの荷馬車に乗ったという情報を得て来たはいいが、ここから探すのは骨が折れそうだ。
『アロイス! 出店!』
「あーはいはい、わかったよ」
「いいの!?」
『『──え?』』
斜め後ろから聞こえた甲高い第三者の声にギョッとしながら目をやれば、若い女が並び立つように大股で踏み出してきた。
馴れ馴れしく腕に絡みつかれ、表情にはもちろん出さないが、日頃の癖がなければ口元を引き攣らせていたと思う。
「お勧めのお店が近くにあるの」
俺は考え事に、ナーチは出店に、必死になり過ぎていたようで、全く気がついていなかった。
熱を孕んだ瞳、媚びるような高い声。
どうやら面倒なのに捕まってしまったらしい。
「お誘いに応えてくれて嬉しいわ」
応えたつもりなどさらさら無いが、不運にもナーチへの回答が勘違いされてしまったらしい。
耳飾りの中で食べ物の催促をしていた悪魔に返事をしただけ、なんて誰も信じないだろう。
制止の言葉は耳に届かないようで、ぐいぐいと腕を引かれて大衆的な酒場へと連れ込まれた。
あれよあれよとテーブルへと着かされる。
腰を落ち着けたところで、はたと気づく。自分がこんな女一人に簡単に捕まってしまうほど、うつけてしまっているらしいことに。
睡眠も食事も上手く取れないのを魔法で適当に誤魔化していたが、そういえば体の半分ばかりを家に置いてきているのだ。長旅の疲労も溜まっているのかもしれない。
情けない。失態だ。
「ここ、お料理も美味しいのよ」
ごく一般的な町娘の装いだが、胸元を強調するようにシャツのボタンをギリギリまで留めないでいる。
はしたないなぁと心の中で思いながらも、名前を聞かれてファーストネームだけを答えた。
娘はオリヴィアというらしい。凄まじくどうでもいいが、最近聞いたような名前のおかげで何とか頭に残った。
同時にこれからはこの名前の人間には気を付けて生きようと思った。
『隣国に来てまで女の相手とは、オマエも難儀ナァ』
『うるさいよ』
「ねぇどこからいらしたの? 貴方みたいな顔も身なりも良い人、私はじめて会ったわ」
「少し遠くからですよ」
「あら、秘密なの? いいわよ。ミステリアスな男も私、好きだから」
言葉を返す気にもなれなくて、笑顔で誤魔化した。
疲労を一度自覚してしまうと押し寄せるように体が疲れを訴え始めて、俺は目の前の女との会話に微笑み返すだけの機械人形と化した。
『アロイス様、お疲れではないですか?』
幼い頃。そんな言葉を掛けられた日、胸がすくような心地になったが、強がって首を横に振った。
翌日珍しく体調を崩してしまい、ベッドに沈む傍らリリがずっとそばにいてくれた。
子どもらしい付き合いをしなくなってからも、いくら酷い言葉を掛けた後でも、リリは癖のように俺を気に掛けてくれた。
それが酷く心地よくて──。
『アロイス、飲み過ぎじゃナいか?』
「ふふ、良い飲みっぷり。可愛い顔して、飲み慣れてるのね」
「……ああ、」
ぼんやりとしたまま、注がれる酒を手持ち無沙汰に煽り続けていた。
空になったグラスを見つめ、もう何杯目になるかわからないなと思った。
とはいえ、
『酔わないよ。これくらいじゃ』
『そういえばオマエの酔ったところなんか見たことないナ…』
「ねぇ、この後も、いいわよね?」
女が上目遣いにこちらを見つめる。
ねっとりと重ねられた手を眺め、心の中で嘆息した。
俺は何をやっているんだろう。
今頃リリはどうしているんだろうか。
『勘違いとはいえ一度了承してしまった手前、それなりに付き合ったけど、もう十分だよね?』
『アロイスは本当、妙なところで律儀ナァ』
まさか。律儀なんてとんでもない。
事なかれ主義が発展してできた放棄癖ゆえだ。
ただどうでもいいだけ。あの子以外の何もかもが。
「さて、オリヴィア嬢」
名前を呼べば、彼女は目尻を倒して瞳を虚に染めた。
内側を覗き込むように見つめる。
「この辺りで銀髪の少女は見かけなかった?」
「──んん?」
「髪も、瞳の色も珍しい小柄な女の子だよ。見掛けたら目に留まるくらいには、余所者の雰囲気が出ていたんじゃないかな」
「──んー…」
記憶を起こすことだけに集中出来るようにしてあげたせいで、開けっぱなしの口元からたらりと唾が落ちた。
間抜けヅラを頬杖を付いて眺めながら、ただ回答を待つ。
少しの時間を有してから、
「──たしか町商会の行商人が、不思議な女の子を途中まで乗せたとか、話してて……たまたま銀の髪の間から覗いた瞳が、特徴的で、」
思い掛けない発言に思わずパチリと瞬きした。
まさか一発目で当たりを引くとは。
彼女の雰囲気を見て、この辺りに精通してそうだとは感じた。だからリリを知らなくとも、他に情報通の人間を紹介してもらえればと思っていたのだが。
「売れるネタかもしれないからって、詳しくは教えてくれなかった、けど」
「………。ありがとう。じゃあ、支払いは済ませておくから、君も落ち着いたら真っ直ぐ家に帰りなね」
「──…はい」
かくりと力なく頷いたのを横目に見ながら立ち上がる。
催眠状態の女性を一人酒場に残していくのは気が引けないこともないが、どうせ彼女はこの土地に不慣れなものを捕まえて、アレコレとくすねていくタチの悪い人種だ。
お咎めなしなだけマシだと思ってもらわなければ。
『これからどうするナ?』
『商会で情報集め』
自然とガツガツと靴の底を慣らしながら歩いてしまう。
フラストレーションは溜まる一方だ。
「はぁ……」
やっと吐き出せた溜め息は、誰に拾われることもなく街の喧騒に溶けていった。
1,021
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
月夜に散る白百合は、君を想う
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢であるアメリアは、王太子殿下の護衛騎士を務める若き公爵、レオンハルトとの政略結婚により、幸せな結婚生活を送っていた。
彼は無口で家を空けることも多かったが、共に過ごす時間はアメリアにとってかけがえのないものだった。
しかし、ある日突然、夫に愛人がいるという噂が彼女の耳に入る。偶然街で目にした、夫と親しげに寄り添う女性の姿に、アメリアは絶望する。信じていた愛が偽りだったと思い込み、彼女は家を飛び出すことを決意する。
一方、レオンハルトには、アメリアに言えない秘密があった。彼の不自然な行動には、王国の未来を左右する重大な使命が関わっていたのだ。妻を守るため、愛する者を危険に晒さないため、彼は自らの心を偽り、冷徹な仮面を被り続けていた。
家出したアメリアは、身分を隠してとある街の孤児院で働き始める。そこでの新たな出会いと生活は、彼女の心を少しずつ癒していく。
しかし、運命は二人を再び引き合わせる。アメリアを探し、奔走するレオンハルト。誤解とすれ違いの中で、二人の愛の真実が試される。
偽りの愛人、王宮の陰謀、そして明かされる公爵の秘密。果たして二人は再び心を通わせ、真実の愛を取り戻すことができるのだろうか。
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる