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続•リップサービス【近下視点】
最高の恋人
しおりを挟む帰り道、俺は宇佐見くんのことで頭がいっぱいになっていた。
(めっちゃ良い子そうなのに、俺ひどいこと言った……)
(俺が勝手に不安になって傷つけちゃったよな……)
(高垣も幻滅してるかも……)
不安になって高垣の様子を横目でチラッと伺った。
(ん……?)
「……なんでそんなご機嫌な顔してるの?」
「えぇ……だってさ……さっきの二人の会話聞いちゃったんだけど……」
「はぁ?!聞くなよ!!」
「俺、近下に愛されてるね。」
俺は顔が熱くなった。
そして高垣の肩を少し殴った。
なのに高垣の顔はゆるゆるのままだった。
俺が不満な表情を浮かべていたら、不意に高垣がその場に立ち止まった。
「高垣?」
「俺は近下が他の人と幸せになりたいって言っても手離せないかも。」
「え……?」
さっきまでの表情とは一変して真剣に俺を見つめてきた。
「前までの俺なら別れを受け入れたけど……近下と離れる淋しさとか、一緒にいられる幸せ知っちゃったから……俺は近下のこと見送れないよ。」
「……俺は高垣がそう言ってくれるのめちゃくちゃ嬉しいよ。」
「俺も近下が言ってくれたこと嬉しかったよ。」
高垣が安心したみたいに笑うから俺の心も穏やかになっていった。
「俺、話したいって言われた時またフラれたらどうしようって不安だった……」
「え、う……その、ごめん。」
「俺の方こそごめん。近下の方が不安だったよね。」
「……」
人がいないこと確認して珍しく俺から抱きしめてみた。
「近下?」
「俺の気持ち伝わってよかった。」
「伝わったよ。俺も近下大好きだよ。」
「じゃあ……あんまりみんなをメロメロにさせたらダメだからな。」
「えぇ?なにそれ?」
「みんな高垣のこと好きなんだから自覚しろ!」
「んーわかった。」
「わかってないだろ。」
「でも、近下が不安になることはしない。」
「本当か?」
「近下元気ないと俺も元気出ないし。」
「ふふっ」
「ふふっ」
俺が笑うと高垣も楽しそうに笑ってくれた。
それだけで心が満たされていくのを感じた。
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