ヒエラルキーの一番下にいる俺に、魔法という選択肢があったなら

そこの俺、

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一話

第九章 異国からの侵略者

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 彼女との喧嘩が起こり、またいつもの平穏を取り戻して、約三ヶ月が経ったある日のこと。

  昼の明るさを暗幕が遮り暗い生徒会室に、とある人影が幾体か見えた。
 その中から女の声が一つうまれる。
「済まないな、君たち。急がせてしまったみたいで。」
 と、謝罪の言葉を述べたあと、また言葉が続く。
「君たちに伝えなければならないことは二つある。」
 一つ目は。と
「もうすぐ夏休みだ。学生たちへの生活指導を行なって欲しい。」
 その時、男の声がうまれた。
「会長さん、そんな前置きはええから、さっさと本題に移ってくれませんかねえ。」
 ふっ、と、会長と呼ばれた女は、
「君たちにはユーモアとかジョークとかいうものが理解できないみたいだなあ」
 まあいい、と、ひとつわざとらしく咳をしてから、
「実はな、この夏休み間近の忙しい時期に、我が生徒会室にお手紙が来てだなあ」
 と、制服のポケットから出した手紙を右手の中指と人差し指で挟み、見せつけた。
「この手紙の内容なんだがな、この学園へ異国からはるばる暴れに来る。と、書いてあってだなあ・・・」
 と、また新しい女の声がうまれ、
「ええ?!暴れにって何するんですかあ?!」
「おいおい、みーこ(書記。詳しくは一章)そんなにあわてるなって」
 これもまた新しい男の声だった。
「暴れる。ねぇ。まあ、大体わかるよ、この学園にちょっかいだしに攻撃しますよー。みたいなやつっしょ?」
 これも新しい女の声。
 と、会長が
「ほう。察しがいいな。優秀な後輩がいて助かるなあ。でだ、この手紙の暴れるは攻撃。という意味で捉えてもらって構わない。そして、何故君たちに集まってもらったかというと、もうわかっているだろうか。なあに、これから説明する心配するな。」
 コホン。と
「この学園、及び、学生の防衛だ。そして、異国から攻撃があるという情報を関係学生以外への漏洩を堅く禁ずる。」
 まあ、つまりだ、と、新しい男が
「お前ら生徒会と、俺たちみてぇな強ええやつらで撃退しよう。っちゅう話しだろ?全く、これだから力のある者は損をしている気でならないね。」
 と、察しがいいと言われた女が、
「まあまあ、強い力を持っているんだから、それを人助けに使わないなんて勿体無いっしょ」
 と、長引く会話を会長がまとめる。
「よし、いいか?まとめるとこうなるぞ。異国からの侵略者が来るからそれからの攻撃を学園と学生の防衛を務めつつ相手してくれ。ただし、その異国からの侵略者の情報は我々だけの秘密だ。」
 でも、と、
「人目につかないような場所を狙われたり、たまたま人がいない場所に攻撃が来ることは少ないはず。だから、完全とは言わないが、最低限、守りきれるだけこの情報は学生たちに漏らすな。漏らした場合、一瞬でこの情報は学園内に広がり、パニックの原因になるからな。」
 その言葉に、皆が、否、一人だけを除き、六人が頷いた。
 頷かなかった一人は、ヘッドホンで音楽を聞いている?(流しているかは不明)。
 そいつのヘッドホンに繋がる機器には、画面があり、その画面の中に、まさしく本人が、ヘッドホンをつけた男が敵の放った雷を反射させて相手にぶつけている姿が見えた。否、それは反射なのか彼が撃ったのかはわからなかった。
 そして、その画面を見ていた彼は、ヘッドホンを外し、画面から視線を外し、前を見た。 
 暗い部屋で体育座りをして床に座っている彼は、周囲を見回し、笑った。


 そして、夏休み二週間前。の加賀。
「よし!出来た!」
 と、彼は空調を効かせた涼しい昼の寮部屋で一人、汗を服の袖で拭い、満面の笑みでそこにいた。
「あとは、ここに本を入れて、」
 彼が手にとっていた本はライトノベルであり、これから入れようとしている大量の本は全てライトノベルだった。
 そして、彼は先程ホームセンターから買ってきた文庫本用の本棚を組み立て終わり、現在は本棚に文庫本を入れていた。
 「今まで使ってたカラーボックスだと、奥行きが広い代わりに、横幅が狭いんだよなあ。仕方なく重ねて入れていたけど、これで一冊一冊綺麗に並べられる!」
 と、まるで少年がセミをとりに虫あみを持って出かけたくらい嬉しそうにラノベを入れてゆく。
 
 そして、約半分、百冊ほどが本棚に入った頃、事は起こる。
 ズシーン。と、鈍い音が外から聞こえる。
 音と同時に、振動も伝わってくる。すごい揺れだった。
 すると、僕は、あるお決まりに気づいてしまった、

 揺れ  本棚  その近くにいる僕

 直後。棚から落ちてきた文庫本約百冊が僕めがけて降ってきた。

「イテテテ、もう!なんなんだよお!」
 僕は、落ちてきた文庫本をひとつ手に取り見てみる。
 そこには、本の角がすこし折れているラノベだった。
・・・後でアイロンで伸ばそ。
 と、今はそれよりも、この揺れだ。地震ならば最初の鈍い音の証明ができない。
 そして、僕は音のしたほうを窓から見る。
 するとそこには寮から百メートルほどの所に、直径十メートルほどのクレーターのようなものができていた。
「何なんだあれは!」
 と、その答えを知らせるように、僕の部屋のドアノブが捻られる。そして、入ってきたのは、寮主だった。
「落ち着け、加賀」
「落ち着くって・・・あんなの見て落ち着けって無理があるでしょう!」
「心配するな。今そこは生徒会により封鎖されるし、学生たちの安全が守られるはずだ。」
「でも・・・」
 と、言った直後。クレーターの数メートル上に昼の眩しさに隠れるように、白い軍服を着た女が浮いていた。
 その女は手を上に掲げ、赤い光を集めている。キイィィンと高い音が響く。その女の手をよく見ると、幾何学模様が、否、魔法陣があり、
「魔法?!しかも、あれは学園の人間じゃない?!」
 加賀の目にうつったものは、どう考えても学園では見たことがないような、西洋の顔立ちで、服に負けないくらいの白い肌。白い髪。その白い髪は綺麗に揃えたロングだった。
 と、そんな事を考えていると、
 キイィィンという音はなくなり、静かになる。
 そして、その女のあげていた手の赤い光が、黒くなる。
 女は、あげていない方の手でポケットから出した黄色っぽい紙?のようなものを黒い光の上に乗せる。
 すると、みるみるうちにその紙のようなものは焦げ、否、飲み込まれていくように、光の中に消えた。
 その黒い光はというと、今度は黄色くなる。
 そして、その黄色い光を上に投げる、その投げ方は、アンダースローのように。
 女は投げた光から数メートル後退し、ポケットに両手を突っ込む。
 女の目の前に、空へと続くような光の一線が出来る。
 
 直後。黄色い人影が、クレーターのど真ん中に出てきた。
 
 今度は、ズシーン。と、ではなくバチッ。やビリビリ。バチバチ。と弾けるような音を出した。
 その人影は、全長二メートルほどだろうか。普通の人間より、少し大きいようだ。体格もそこまで大きくはない。中肉と言ったところだろう。
 その二メートルが少し腰を落とすと、影の色と同じ黄色い剣のようなもの、電気の塊のようなものが二メートルの左手に収まる。その剣は刃渡り二メートルほど。持ち手を含めると影の全長より大きい。
 その剣をこちら、寮に向かって構える。
 そして、その剣を真上に持ってゆき、無造作に、しかし、強い力で、地面に叩けつけた。
 その地面からは、電撃のようなものが高速でこちらへ向かってくる。
 100メートル。一般男性が走れば十四秒ほどだが、それは五秒とかからずに寮につく。
 もう後二秒で寮につくといったところで、その電撃のようなものと寮の間に人が入る。 

 その姿はまさしく、ヒーローのように見えたのだ。
 ヒーローは電撃に一秒もたたずにぶつかるという所で、電撃を右手で握りつぶした。
 宙にいた女は、驚きの顔を見せた後。黄色い影に手のひらを向け、直後。何もそこにはなかったかのように、影は消えた。
 そして、女は先ほどと同じようなことをし、今度は青い影、水のようなものを出した。
 しかし、その水に、先ほど間に入ってきた奴が電撃を放っていた。
 普通、水は電気をよく通すと思われがちである。が、純粋な水は電気を通しにくい。理科の実験でやったことはないだろうか、水を電気分解する時に、純粋な水に水酸化ナトリウムを入れたのを。水酸化ナトリウムを入れると電気が流れやすくなるからだ。
 だか、そんなことをお構いなしに、それを凌駕する圧倒的な電撃が水の影を消す。
 そして、水の影を出した張本人は、軍服から煙幕の入った爆弾のようなものを取り出し姿をくらませようとする。しかし、それを含め女は新たな電流を浴びせられ、地面に落ちた。
 すると、先ほど間に入ってきた人。男だ。男は、地面に落ちた女を持ち上げ、否、服の首元を掴み、引きずって何処かへ歩きだした。
 その男はまるで電撃を受けた女から目をそらすように、ヘッドホンから流れる音楽に夢中だった。

 とある地下室で。
 この地下室は薄暗く、あかりは小さい蝋燭のみ。それがなかったら真っ暗だろう。
 そして、いくつもの監禁室があり、檻のような感じだった。
 幾つかある檻の中、いたのは一人、一人の女だった。
 その女は銀色の髪を持ち、ボロボロの軍服を着ていた。とても、上品な顔立ちだった。女は檻の中で体育座りをして顔をうずめていた。
 そこに、複数の、二人だった。男と女が来る。声がかかり、
「やあやあ、おねぇさん、元気かい?元気ださんとこれからヤってイけへんで?」
「うるさいなあ、長濱。」
 長濱と呼ばれた男は、すまんすまんと言い、言葉を続ける。
「おねぇさん、こんなトコロで話すのは何だ、ちょっとついて来てくれへんか?」
「まぁ、君に拒否権はない。ついて来てもらおう。」
 女のほうが鍵を使い檻をあけ、男に銀髪を運ばせる。
 男が、銀髪にさわろうとした瞬間。銀髪は男の鳩尾めがけて肘を入れようとする。
しかし、その肘は男の手で受け止められる。
「おっと、おねぇさん?よくないで?そういうの」
 と、男は、女から受け取った注射器を、銀髪の首元にうつ。
 銀髪は叫んだ。よほど痛かったのだろう。しかし、ここは地下室。叫んでも助けは来ないし、声も徐々に薄れ、銀髪は眠った。
「おー、怖い怖い。こんなん女にうつとかなかなか会長も鬼畜やね?」
 うるさい、とだけ会長と呼ばれた女はいい、男が銀髪を背負ったのを確認して、二人で、否、三人で出口から出た。

 とある部屋。白い部屋。
 そこに、銀の髪が、黒い椅子に腰を掛けていた。否、拘束されていた。
 視界はアイマスクのようなもので奪われ、口はさるぐつわで言葉は勿論声も出せない。出せても、あー、とか、うー、とかだ。
 手は肘掛けに両方縛られ、脚はイスの脚に縛られている。そして、ボロボロの軍服でそこにいた。
 怖い、ただ、何も聞こえないが耳と鼻だけは無事のよう。
 そして、音に敏感になっている身体は足音を感じた。勢い良くドアが開けられる。
「ぐっもーにーん!おねぇさん!元気しとる?」
「お前は相変わらずだなあ、」
 と、男は、はいはい、といい、
「おねぇさん、しばらく動けなくて、暇でしょ?だから今日は特別に、遊んであげるで?」
「遊ぶな。これは事情聴取だ。」
「事情聴取なんて生ぬるいやろ?これからやること、」
「生ぬるくないと思ったならそんな明るい態度はやめろ。こっちだって別にやりたくてやるわけじゃないんだし」
「せやねえ、こんな可愛いおねぇさんやと、ちょっと厳しいかもなあ」
・・・何をするんだろう。
 すると、金属がカンカン、となり響いた。
「あんまり、痛くないようにするからなあ?ワイ的には気持ちええことしたいんやけどな?この女がダメ言うとるけんできへん。やから、済まないけどヤルで」
・・・何をなんだ?!
「拷問や」
 急な静けさに、身体もろとも冷え切った。
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