ヒエラルキーの一番下にいる俺に、魔法という選択肢があったなら

そこの俺、

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一話

第十一章 負け犬の奥の手

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 拷問?のようなものが一応終わって二日後の午前。
 長濱と手を縛られている銀髪が地下の牢屋の中にいた。
「ねぇちゃんよぉ。さっさとホントのこと言えやぁ」
「・・・」
「じゃないと、本気で拷問するで?」
「・・・まだ・・・ていない・・」
「あ?」
「私「達」はまだ終わっていない!」
「・・・「達」だと?!」
「私が捕まってからもう三、四日経っている。上も異変に気づくだろう。」
「つまり、追加であんたのお仲間がノコノコやってくるわけ、か。」
「ふふふっ、そうやって馬鹿にしていればいいわ。直にこの学園も終焉を迎える筈よ。」
「問題ないなあ。うちの学園、結構強者揃いやで?」
「で?」と、彼女が言葉を言った。
 直後。
 地面、否、地下室であるこの空間自体がぐらり、と一度下に沈むように揺れる。
「な、なんや!?」
「私「達」よ。」
 すると、女の前に立っていた男の右頬を白く鋭いものが通り、赤の一線ができる。
「痛!」
 右頬から血が垂れる。
「くっ!」
 今度は、左肩を白いものが通る。服をざっくりと切り、服に血が滲む。
「こんのやろぉ!」
 男の身体に炎が纏わりつく。しかし、彼の服は燃えない。炎が出ても服は燃えないという都合いい設定のようだ。
 直後。部屋にあった鉄パイプのようなものや、椅子、机などが勢い良く燃え上がる。鉄パイプは溶け、椅子は消し炭となり、机も燃える。
「あっつ!」
 と、女は言う。
 そして、また男に白いものが高速でこちらへ向かってくる。
 が、それはどうも紙だったようだ。今、一瞬で焦げ、消えた。
 辺りには紙の燃えた匂いが広がる。
 すると、先ほどと同じものが飛んでくる。
「おんなじかよ!燃やしてやるでぇ!」
 自信を持って紙を迎撃、否、待機して燃やす。
 が、

 直後。男の周囲一メートル程の小さい規模で、強烈な閃光と激しい燃焼で起こる熱が彼を襲う。
「?!」
 爆薬か?!いや、違う。爆薬だったらこんな光は生まない。ではなんだ?
 また来た。今度こそと自分に当たる前に、紙に火のこをつける。
 すると、また強烈な光と熱。しかし、先程、近すぎて見えていなかったものが今になって見えた。黒い粉だ。
 この鉄臭い匂いと激しい燃焼からみて、「マグネシウム」が入っている。と踏んだ。
 そして、黒い粉は酸化したマグネシウム、酸化マグネシウムだろう。
 マグネシウムを燃焼させる実験をやったことはあるだろうか。光を出しながら、激しい燃焼起こす。つまり、先ほどの攻撃は紙にマグネシウムの粉でも入れておいたものを投げたのだろう。
・・・くそっ!俺の魔術じゃ不利だ!
 すると、壁の隅に熱さから逃れる様に居た銀髪は叫んだ。
「ラヴァル!」

 刹那、地下の密室のような空間に爆発が起こった。
「ぐぁっっ!!」
 男は吹っ飛ぶ。頭をうち、一時戦闘不能状態となったようだ。
 さて、吹っ飛んだ男のいる空間に女がひとりいました。女はどうなったでしょう。
 正解は、
「ありがとー、ラヴァル。」
「ほんとにレイビートも困ったヤツだね~。」
 ラヴァルと、呼ばれた女は、銀髪のショートカットだった。
 そして、ラヴァルは先ほどの爆発をレイビートを右腕で抱きかかえて、左手を前に突き出して、大型の白い物体、幾枚も重ねた紙で守っていた。
 すると、その幾枚もの紙は小さくなり、手帳サイズである千枚ほどの紙に変わる。
 その千枚は、宙に浮いており、彼女が手のひらを上に向けると、そこめがけて紙は走る。
 規則正しく並んだ紙は、重なり積み上がる。それは、数秒経つと、どんどん手のひらの一枚に沈んでゆき、やがて一枚の紙となった。その一枚は意思でもあるかのように、自分で宙に浮き、レイビートの手の拘束を破壊する。
「さて、とりあえず外にでよっか。」
 と、一つとなった紙は、千枚にバラけて長方形になる。これはまるで絨毯の様だった。
「私お手製の空飛ぶ絨毯よー。ほら、乗って乗って、」
 手を引かれ、絨毯に乗せられたレイビートはラヴァルと共に、出口をでる・・・
「まって!出口は!」
「さっきの爆発でつくっといた」
 穴の空いた壁に絨毯にのりながら入り、逃走した。


・・・ま!・・・濱!・・・が濱!
「長濱!」
「はっ!」
と、目を開ける。横にはデジタル時計があり、正午ジャストを示す。
 ん?何か、横にいる。
 そこには涙が流れている純恋の姿があった。
「会長さん・・・?」
「馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿ぁ!!」
 長濱は呆れたように、
「いきなり馬鹿とは、会長さんもなかなかヒドイなぁ」
「うるさい!うるさい!うるさーい!」
 涙を服の袖で拭い、涙で張り付いた髪をどかし、
「お前は副会長だろ!副会長は会長をもっと頼れよ!」
「心配してくれとるんすか?」
「当たり前だろ!」
「きゅん♡」
「冗談言っている場合か!」
・・・いつも通り、かな。
「と言うかここ何処?保健室?」
「ああ、榊(書記)に送ってもらった。本当は私が運ぼうとしたのだが、あまり動かしてはいけないと思ってな。」
「成程。で、あの女二人は?」
「ああ、今外で交戦中だ。まあ、学園二位「波天 左場斗(ばてん さばと)」、またの名を「盗みスティール」が迎撃に向かっているから何とかなるだろう。」
「あいつかー、あの泥棒野郎。「相手の魔術をコピーして、威力を最大、倍にして返す」とかチートすぎんだろ、」
「現に君も盗まれたからなあ。まあ、でもチートっつっても使い切りだからね、一度使ったらまた盗まないとだし、」
「でも、迂闊に使えないだろ。あれ?これ魔術使わないほうが勝ちじゃね?」
「波天はたしか、回路が短剣だったっけなあ、逆手持ちで。体術も普通にやばかったはずよ、」
「うーん、勝てる気がしないで。」
 すると、外からバゴーンと、低い音がなる。
「なんや!?爆発?!さっきのやつか!」


 玄関前の校庭、午後十二時程。
 その砂の上に、三人、否、四つの人影がある。
 一つは銀髪のロングヘアーのレイビート。
 一つは氷でできた、長剣をもつ人型の物体。
 一つは銀髪のショートカットのラヴァル。
 そして、もうひとつは、
 白髪でヘッドホンをつけた波天の姿だった。

「あの時は良くも!良くもやってくれたわね!だけど残念、流石にあなたでも二人の敵を相手にするのは無理があるでしょうね!」
 と、レイビートが叫ぶと同時、氷の人型から鉛筆サイズの氷、五百本を波天めがけ高速で飛ぶ。
 しかし、それは彼に当たる前に彼の一メートル手前ら辺で消える。砕けず、ぶつからず、そこに何もそこにはなかったかのように消えた。
 直後。男は鉛筆サイズの氷、千本を氷の人型と、レイビート、ラヴァルへと三百三十三本ずつに分け、投じる。
 レイビートは氷の人型を身代わりにし、助かる。
 氷の人型は無残に散る。
 しかし、三百ほどで消えたので残り約三十本がレイビートの肩や腕にかすった。
 かすったが、助かった。血が少し出ているが気にしない。
 ラヴァルはレイビートがレイビート自身を守れると思い彼女のガードはしなかった。
 当のラヴァルは紙の盾で防いだが、一本だけ脚を刺され、痛みで動けない。
・・・何故?ちゃんと三百三十三本破壊したはずなのに。
 すると、男がラヴァルに
「俺はお前らに均等にいくよう三百三十三本ずつ、計九百九十九本うったわけ、つまり、もう一本あったのよ、この氷。」
 すると、今度はレイビートに!
「てめぇさぁ、つまんねぇ。マジつまんねぇ。だいたいもうわかってるだろ?てめぇの魔術が「盗むスティール」されてんの。だからよぉ、俺に魔術は効かねぇんだよ、じゃあどうする?わかるよなぁ?」
 ニタリと笑う彼は続けた
「近接格闘で勝負だろ?」
 と、言った瞬間、彼は太ももあたりに下げていたダガーを右手で逆手に持ち、丸腰のレイビートに飛びかかる。
 彼は逆手持ちだか、この持ち方で内側に斬りかかりうとしても、一発で仕留めるには難しい。
 そうレイビートは考えながら、内側に斬るようにしたダガーを上体を反らし、スレスレで回避する。
 しかし、
・・・今のは攻撃として軽すぎる。彼についてはよく知らないけど、多分一発で仕留めるようなやつだ。
 では何故だ?と思っていると、予想通り一筋縄ではいかなかった。
 彼は右で軽く振り抜いた逆手のダガーを左手で受け止め、隙を無くし、両手で、上体を反らして隙だらけの彼女の首を狩ろうとする。
 絶対絶命だ。
 ムリだとわかっていても抵抗を見せようと、更に重心を下に向ける。具体的に、自ら転んで間合いを作る。
 すると、予想外だったのか、彼は驚きの表情を見せ、外したーーー
 否!ダガーを外したのはわかる。そうじゃない、
 彼は、転んでいる途中の彼女が、「自分の膝すこし上にいた」ことを見逃さなかった。
 つまり、簡単だ。

 身を縮めるようにし、膝で彼女の顔を蹴ったのだ。

 彼女は吹っ飛ぶ。相当の威力だったのか、飛んでからも数メートル転がる。
 彼女の身体は校庭の砂で汚れ、地下でラヴァルからもらった服は少し切れている。
 しかし、
 彼女の顔は、砂で汚れているだけで、あざや出血はない。
 でも、あたった場所が悪く、脳震盪でも起こしたのか気を失っている。
 そんな彼女を直接的なダメージから救ったのが、
「大丈夫?!レイビート!」
 ラヴァルだった。
 歩けなくても紙は飛ばせる。彼女は何枚にも厚く重ねた紙をレイビートの頬あたりに飛ばしていて盾としていた。
 しかし、彼女の紙は、ただの紙を魔力で動かしたりしているだけだった。
 だから、彼女の紙を飛ばす魔術は盗まれても、彼に動かす紙がない。
・・・何とかなるかもしれないわ!
 と、安堵して、油断が生まれた時、
 ラヴァルの、男に蹴られた時に散らばった紙は、衝撃で散乱したまま。
 それに気づかず、勝ち誇っていた彼女の前によく知っているものが現れる。
 それは、
 
 散乱していた紙がラヴァルの意思に関係なく浮いているのだ。
「おー、こりゃおもしれぇ。今まで盗んできた魔術の中でも相当だぜ。あ、でも俺の「威力を最大、倍に」と言うのはどうなんだ?」
 と、魔力を最大限練る。
 すると、そこには長方形だった紙ではなく、紙でできた手裏剣が浮いていた。
「うそ・・・でしょ?・・・はは、はははっ」
 ただの紙の手裏剣ならば問題ない。しかし、魔術で動き、魔術で補強され、何枚も紙が重なっているのだ。
「形が変えられるんだなあ、おい、これはいてぇぜぇ?」
 高速で回転しながらラヴァルに向かう。
 高速で迫ってくる手裏剣はまさにジェットコースターのように、恐怖へと進む。
 手裏剣は彼女の髪を切り、服を切り、肌を裂き、被害を残して飛んだ。
 今回も命は助かるようだった。
「あー、てめぇらめんどくせぇ。とりあえずここにいろ。」
 と、彼が何かの魔術を展開すると、彼女たち二人の足元に亀裂が入り、二人は落ちた。
「いやー、榊の魔術使えんじゃねぇか、後でまた盗も。」
 と、笑いながらひとりごとを言い、その場を去った。
 彼女たち二人は闇に閉じ込められたまま、事態は収束した。
 
 

 これらを某所から見ていた加賀は
「あのロングの子可愛いー!後であの姿になってみよう!」
「ガシュッ!」←結衣が加賀の肩をつかむ音。
「へ? あ、 うあぁぁぁ!!」
 


 暗い部屋に、五人の男女は居た。
 すると、一人の女が
「ラヴァルとレイビートがやられたようですね。どうしますか、隊長。」
 隊長は
「仕方のないこと、実力もなく、連携もできない雑魚どもにはここでおさらばだ。置いていけ。」
 だって、
「我々の目的は「カガカワル」を攫うことだからな、当初の目的を忘れてはならぬ」
「「「「はい」」」」
 
 

 



 
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