ヒエラルキーの一番下にいる俺に、魔法という選択肢があったなら

そこの俺、

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一話

十三章 交差して歪む関係

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 中田がいなくなった今、四対五と、戦局が相手側に傾いた。
 
 開始一秒でだ。

 そんな悲劇に、仲間たちの士気が落ちる・・・。と、
 思いきや、そんな想像は悲しく、
「大丈夫、大丈夫。中田弱いから。」
「でも生存点でも稼いで欲しかったね。」
「あれが武君の精一杯頑張った姿なんですから、もっと讃えましょう!」
・・・結構みんな中田に辛いなあ。
 しかし、そんな馬鹿みたいな話は戦場では続かない。
 先程、謎の攻撃を受け、戦闘不能となった中田から、通信が来る。
 因みに、戦闘不能となった者は、仲間に通信でヒントを送ったり、地図で相手の位置は特定できないが、仲間の位置を特定できるので指示を出したりできる。
「俺がさっきやられたのは、おそらく遠距離系の銃だと思う。敵が何もみえんし、発砲音があんまり聞こえなかった。」
 しかし、と加賀は思う。加賀にはしっかりと銃声が聞こえた。しかし、中田には聞こえていない。
 つまり、
「おい!中田!地図見て、北とか南とか方位で示すと、だいたいどっちの方から撃たれたかわかるか?」
「ぇ、っと、ちょいまち?」
 中田は先程、木で囲まれた公園の、ぞうさん滑り台の上に立っていたのを思い出す。そして、前方に見えていたのは、壊れて、煤けたようなコンビニだった。そして、ぞうさん滑り台から真っすぐの方向でコンビニの方を見ると、北。さらに、中田は後ろからコアを撃ち抜かれたため、南側からの攻撃だと判断した。
「俺がいたのがこの木で囲まれた「北凪公園」で、俺は北の方を向いていたから、南側からの攻撃だと思うぞ。」
 成程、と言葉を送る。
 そして、地図を恐る恐る展開し、北凪公園を見る。その後、今自分のいる場所を見た。
「・・・南凪住宅地に今いるのか。」
 他の仲間の青い点を地図で見ても、一番南側にいるのが僕だ
 はっ!と加賀はあることに気づく。
 中田を仕留めた狙撃が本当に南側から飛んでいたとすれば?
 まず、南付近にいる僕に狙いをつけるはず。
 うーん、
 まず遠距離系の武器を使うにあたって、誰もが知っていることは、隠れて撃つ。そして、大体高い所から撃つ。
 隠れて撃つのは勿論バレなければ遠距離武器は無双できる。
 高い所から撃つのは、射線を良くする為。
 ん? 
「木で囲まれている公園をねらうというのは、射線が良くなきゃできないし、近接戦闘に持ちこまれる心配もあるから、高所からの狙撃かなあ。」
 そして、加賀は全体を見渡していた視線を上の方に集中的に向けた。
 すると、真横、加賀の心臓部「コア」狙いの光のような攻撃が飛んできた。
 加賀は、後ろに身を傾け避ける。
 そして、攻撃の発生源を見る。
 そこには、開いた魔導書のようなものを持っている影がいた。

 それは、

「ハッハッハー!今の一撃をかわすとは!かがくんもやるじゃないか!」
「この声は! ーーーーーーーーーー誰だ?」
 影が、ずこっ、と、よろめくが気にした様子はなく、話を続けた。
「しょうがない!ヒントだ!」
 と、影はこちらに迫っくてる。開いていた魔導書のようなものを閉じて、
 姿がはっきりと見える位置にまで来た。あの魔導書は時枝さんと似た回路であろう。
 性別は男。眼鏡をかけているインテリっぽい奴だった。
 そして、目があい、
「さあ?!この僕の名前を言ってみたまえ!!」
 しばらくの間があき、
「ごめん、顔見てもわかんない。名前が出てこないとかじゃなくて、ほんとにわかんない。」
 彼はひどく落胆し、
「酷いよ加賀君!」
 じゃあ、と、
「僕の名前を覚えてもらえるように、いい戦いを始めよう!!」
 と、彼の閉じていた魔導書がひとりでにページがめくれる。
「僕の名前は、「小川 陽星(おがわ ようせい)だあァァっ!!」
 言葉と同時に、名前を叫ぶと同時にビームのような光が直線的に飛んでくる。
「うわぁっ!」
 先程は軌道が甘く避けられたが、今度は避けられない。
 光は加賀の左腕をかすめる。
 しかし、水色の光が傷口から出て、魔力が無駄に放出されていることがわかる。
 すると、小川は額に手を当て、憐れむように、
「うーん、なかなか当たらないもんだねー。特殊な回避でもしてる?」
 そんなことを言っているが彼から出る攻撃の光は止まらない。
「そんなものがあったら最初っから使ってるよ!!」
 そんなことを言っている加賀からはかすり傷が増える一方で、無駄な魔力の光が止まらない。
 しかも、この戦いは痛みはない。そして、傷などができても、魔力がある限り自動で修繕しようとする。だから、怪我をすればするほど魔力を使ってしまい、枯渇に陥り、戦闘不能。と、なるかもしれない。
 そんなこんなで、さっきから防戦一方の加賀は、反撃に出ようとする。
 が、やはりスナイパーライフルで近距離戦闘は厳しい。
 それに気づいた小川は更に攻撃の密度を上げる。
「ハハハ、どうだいどうだい?僕の魔術は?ほら、こんなものはどうだい?」
 すると、魔導書は高速でページがめくれ、また攻撃の光がでる。
 その光は四方八方に飛んでゆき、加賀にめがけてどころか、加賀を避けるように飛んでいった。
「全然制御出来てないんじゃないの?」
 と、軽く笑ってやる。すると、小川は口を歪め、加賀に右手で殴りかかる。素手でだ。
 勿論、素手では相当な威力がなければ相手を戦闘不能に陥れることは難しいだろう。
 それでも加賀はその攻撃をとっさの判断で腕を「バツ」の形にクロスさせる。 
 そして、そのクロスに拳が飛んでくる。
 
 普通に受けた。

 そして、鍔迫り合いのように、小川は押し込み、加賀はそれを受ける。
 すると、小川が再度笑い、
「チェックメイトだ!」
 加賀は見逃さなかった、小川の視線が小川から見て加賀の右上を通っていたのにだ。
 受けながら加賀は、自分から見て左後上を見た。
 すると、そこには
 
 先程、四方八方に飛んでいったはずの光が弧を描き、加賀を狙いにきた。

 加賀はとっさの判断で、鍔迫り合いをむりやりに振りほどき、急いで身体を反転させ、光の回避に移る。
 加賀は弧の曲がり方が、右から内側に曲がっていたのを見て、左へと、この光が向かっていることがわかる。
 だから加賀は、右に身体をスライドさせる。
 その判断は正しく、光は左側に落ちてゆき、やがて地面にぶつかり消滅する。

・・・と、思いきや、その光は地面スレスレでカーブし、加賀めがけて飛んだ。
「追尾!?」
 完全に避けきった、と、思っていた加賀の身体は隙だらけだった。
 もう一回スライドさせる余裕はない。だからせめて急所は避けようと、身を捻ろうとする。
 が、その時、攻撃の光同士がぶつかり合い、爆発した。
 辺りには光が満ちて、白っぽくなる。
 小川は驚き、
「な、なんだ?!」
 と、間抜けな顔になる。
 加賀は、小川が無理な追尾を使ったため、たまたまぶつかって消滅したのではないかと仮定する。しかし、小川もそんな馬鹿ではない。じゃあ、今のは?と答えるように、光の中に新しい影が立ち、新しく声が生まれた。
「大丈夫ですか?河割君?」
 それは、
「時枝さん!!」
 ええ、と、急いだ様子で、
「さっき、地図を展開したら、ここに味方がいたので来てみたら河割君がいて、ピンチそうだったので駆けつけました!」
・・・可愛いし優しい!流石時枝さん!
 そんなことを思っていると、また追尾の効果を持つ光が飛んでくる。
「うわっ!やばぃ!」
「させません!」
 と、時枝さんも光で応戦する。攻撃の光対光だ。
 そして、ふと、時枝さんが助けてくれてひと安心したのか、自分の体を眺める。そこには、先ほどの傷は無く、完治していた。
 ふぅ、と落ち着くと、
「河割君!早くどこかその武器が使えるような場所へ行ってください!ここは私が引き受けます!」
「でも・・・」
 いくら僕でも、女の子を一人戦わせて自分だけ逃げるというのには気が進まない。
 それでも、彼女が道を作ってくれているわけで、ここでその道へ行かなければかえって彼女に悪い。だから、
「ごめん!時枝さん!お言葉に甘えて、行かせてもらうよ!」
 彼女は切羽詰まっていたのか、言葉を返さずただ笑っていた。
 そして、加賀には聞こえぬ声で
「好きな人の為ならこれくらい・・・」

 新しいフラグがたっていた。



 加賀は、時枝から逃げ道をもらい、必死で走り抜け、古びた小学校?に来た。
「とりあえず、屋上まで行ってあたりを見回してみるか」
 言葉通り、屋上へ向かう。

 そして、屋上につき、あたりを見回す。
 しかし、見れば見るほど、崩壊した市街地しか見えない。
 そして、緊張感を持ちつつ、地図を展開する。
 だが、赤い点がひとつもなかったことから、敵は今地図を展開していない。
 すると、加賀から見て左のから音が聞こえる。
 銃声だ。
 すると、小型マイクから、西田の声が聞こえてきた。
「誰かぁ!どっかからスナイプされてるよぉ!助けて!」
「西田。僕だ。」
「加賀?」
「うん、いまいる場所を見て。なんか目印になりそうなのない?」
「南西島公園が近い!」
 すると、青い点が南西、と言っても殆ど南寄りにあった事から、西田と判断する。
「西田!そいつは多分中田を仕留めた奴だ。気をつけろ。」
「言われなくとも!」
「頑張って生きててくれ、助けに行くから!」
「わ、分かった!待ってるよ!」
 加賀は、現在位置を見ると、南東の南寄りにいた。
 ・・・僕の足だと本気で走って五分くらいかかるかもしれないなあ。
 そんなことを思っていてもしょうがなく全速力でかけた。

 加賀は南ら辺のアパートの四階の適当な部屋のベランダに身を潜めた。
 そこから、あたりをうろちょろと見回している西田の姿を見ていた。
 加賀は、ただ見ていたわけではない。
 
 面白がって見ていたのだ。
「加賀ー!まだー?!」
 と、不安げな彼女の足元、には当たらなかったが、数センチ横を銃弾が通る。
「ヒァャァァァ!!!」
 しかし、加賀は面白がって見ているだけではなく、ちゃんと銃の飛んでくる方向を確認していた。
「あっちか!」
 と、加賀は、スナイパーライフルのスコープを覗き込み、飛んできた方向あたりを見てみる。
 いた。
 あそこの住宅の屋根の上にいた。
 加賀は、それをめがけて撃つ。
 
 それからは、木片とビニール片、鉄の棒が、吹き飛んだ。
「ダミー?!」
 すると、今度は加賀の横っ腹を切り裂く球が飛んでくる。
 「くっ!」
 すると、西田がこちらに気付き、
「おおおおい!加賀!あっちだよ!」
「馬鹿!マイクで喋れよ!」
 ともかく、西田のさした方向を見る。すると、
 敵はいた。
 しかし、加賀がライフルを向けても、リロードの時間があったためすぐには撃てない。
 かわせない。
 そして敵は撃つ。
「や、やばい!やられる!」
 と、銃弾が加賀にさらに迫る。加賀は、せめてもの抵抗として、銃を持っていない方の手を前に突き出す。
 直後。加賀の片手は吹き飛んだ。
 しかし、それは貫通して裂けて飛んだわけではない。
 爆発で吹き飛んだのだ。
 それを証明するようにあたりは、煙に満ちた。
 加賀は、爆破弾かと思ったが固有魔術が使えないのだ。そんな事は出来ない
 そして、悩んで三秒後。まだ煙は残る中、その犯人がわかる。
 マイクから、
「ごっめーん!加賀!爆弾を銃弾に当てようとしたら、巻き込んだ・・・みたい・・・。」
「馬鹿野郎!」
 でも、
「西田のお陰でバレずにこの場を逃げられそうだよ。」
 結果的に腕が吹き飛ぶのは覚悟していたわけだ。結果として起こることと、プラス、思わぬ逃げ道とくれば儲けものだろう。
 加賀は急いでアパートを降り、西田のところへ向かおうとする。
 階段を降りていると、
「私、加賀の役に立ったのかな?」
 と、マイクの通信が来る、だからちゃんと答えた。
「ああ、勿論さ。」
「そっか!」
「おい!まだ終わってないぞ!」 
 と、新しい声がマイクから出てくる。
「櫻井!今どこにいるんだ!?」
「今敵に追われているから詳細は言えないんだ、済まない。」
「いや、マイクの通信だったらバレないでしょ。」
「そういう意味ではなく、仮にお前たちに言ったら?集まろうとか、助けろとか、助けに行く。とか、そういうことを言い出すはずだ。」
「いいだろ!助けて欲しいんだったら縋れよ!」
「そんな事より!自分の心配をしろ!中田を仕留めた奴の近くにいるんだろ?だったら中田のためにもかたきを撃てよ!」
 その言葉を最後に通信は切れる。
 そんな事をしていると、先ほどの爆発による煙はおさまっていた。
 加賀は西田のところへつき、二人でどこか違う場所に逃げた。
 あれから、敵は撃ってこないため、煙で見失ったのだろう。

 
しばらく走って逃げ、大体南の方にいた加賀たちは西のボロボロのショッピングモールまでとりあえず逃げた。
「はぁっ、はあっ、こ、ここまで来ればとりあえず何とかなるだろう」
「でも、油断は禁物よ。こっちは四人相手は五人。不利なのには代わりはないんだし、時間も半分は切ったと思うわ」
「何か、何か方法はないのか!?俺達二人だけでできることは!」
 すると、マイクから、通達が来る。
「小川 陽星 さんが戦闘不能になりました。」
「・・・河割君!私、河割君の役に立ちましたか?!一人倒せましたよ!」
「そっか!ありがとう。時枝さん。」
「もう、時枝じゃなくて、あかねと呼んでください。」
「わ、わかったよ、茜。」
「はい!」
「か、河割!」
「へ?」
 いかん、下の名前で呼ばれることはそうそう無かったことなので、動揺し、間抜けな声を上げてしまった。
 そして、「河割!」と言ったのは西田だった。
「どうしたんだよ!西田!」
「私の事も、海美うみってよんでよ」
 なんなんださっきから!
「う、ん。わかった、海美。」
「ふふっ」
「だから、お前ら!そんなことしてる場合じゃねぇだろ!」
「悪い櫻井、忘れてた。」
「イチャイチャしてねぇで、さっさと敵を倒せよ!って、うわぁっ!」
 そして、マイクからまた通信来る。
「櫻井 塔矢とうやさんが戦闘不能になりました。」
「悪い。櫻井!」
「もうおせーよ!」

 そして、戦局は加賀のチームが三。相手チームは四。あまり良い状態ではない。

 先程。時枝と小川。高い建物の屋上にいた。その屋上にはフェンスはない。
「仲間を逃して自分は戦う。素晴らしいねえ、時枝さん!」
 高速で魔導書から出た数本の光は、時枝にしつこく追尾する。
「人としてできることですから。」
 と、低速の細かい光を多く出し撃ち落とす。 
 すると、小川はいやらしい笑みを浮かべ。
「いや、いやぁ。普通の人ならなかなかできない。でも、仮に、君が助けに着た時、加賀君ではなく他の人だったら?君は助けたらすぐ何処かへ行ったかもしれないし、もしくは助けなかったかもしれない。そうだろう?」
 時枝は強く、
「そんなことありません!私は誰に対しても平等です!」
 小川は、舌打ちを時枝に聞こえるようにやり、また笑って、
「そうかい、そうかい。じゃあさ、君にとって加賀君はなんとでもない人なんだね?」
「違います!河割君の事は他の人よりも・・・」  
「ん?平等なんだろ?その理屈はおかしいんじゃないかい?」
 時枝は、ぐっ、と、強く歯を噛みくいしばる
「平等な君だから、僕は君にいいことを教えてあげるよ。」
「良い事?」
 邪悪な笑みで、
「加賀君のことが好きな女子がいるんだ。でも、君が最近加賀君のことをよく見ていたことに、もしかしたら君が加賀君のことが好きという事を考えていたんだけどねえ。平等に興味がないなら、その女子に「時枝さんは加賀君のこと好きでもないみたいだよ」っていって、その女子に加賀くんを譲りたいんだけど。」
「それはダメです!」
「なんでだい?」
「真剣に、その女子と私が河割君に告白をして、私の恋が実らないのなら諦めがつきます。しかし、それでは、私の思いは諦めがつきません。ですから・・・」
「ごちゃごちゃうるさいねぇ。そういう人は嫌いだ。まぁ、でも、チャンスを与えよう。一対一で相手を、勝ち。真剣に恋ごっこをやればいいさ、でも、僕が勝ったらその女子の恋が実るように僕は、設定するよ。」
「はい、私はあなたには負けません。絶対です。」
「ふっ、かかってくればいいさ。」
 彼女の心には灼熱の炎を感じされるほどの熱い想いが感じられた。

「そりゃっ!どうだい?僕の攻撃は。降参すれば、逃がしてあげてもいいよ?」
「逃げるなんて、しません!」
 辺りに、流れる光とぶつかって破裂する光が舞う。
「君、しつこいねえ、僕の追尾みたいだ」
「くっ!負けません!」
 と、激しい戦いの中で、小川の横っ腹に亀裂が入る。
「うわっ!僕に攻撃を当てるなんて、やっぱりやるねぇ。でも、」
 小川は、背中から空中に身を投げた。
「えっ?」
「このまま落ちたら、転落ダメージで僕は戦闘不能になるだろう。しかし、からこの勝負、無効になるね。」
「くっ!それなら!」
 本当は時枝は追尾などで仕留めたいところだが、時枝にはそれ程の技量はない。
 だから、

 自分も彼を追い、飛び降りる。

 ものすごい高さだ、空気抵抗が強く、頭がクラクラしてくる。
・・・それでも勝たなきゃいけない!
「ふっ、馬鹿め、かかったな?」
「え?」
「どうせ死ぬんだったら限界の一歩手前まで魔力を使ってやる!」
 と、彼の本から大量の光が浮き、
 グニャグニャと、しかし、決してぶつからず、飛んでくる。
 時枝は悟った。こんなのは防げない。と。
 それでも、
「勝つんですぅ!」
 こちらも魔力を大量に、枯渇まで二歩手前くらいまで使う。
 すると、魔導書はペラペラとめくれ、
 時枝の頭上から大量の光が滝のように落ちる。
 時枝めがけて飛んだ光はどんどん滝にのみ込まれ塵となる。
「そんな馬鹿な!」
 でも、
「僕も君ももう魔力がない。そして、僕達は生きる。見ろ下を!」
 下にはボロボロながらも水は普通の水深の深そうなプールがあった。
「あそこに一緒に落ちて、時間まで生きのびようじゃないか、そして、今回の話は無かったことに、僕は、その女子の恋を応援する!」
 と、大の字になり、
 笑いが収まらないらしい。
「ハハハハハ!」
 どんどん落ちるスピードは早くなり、あと五秒ほどで着水。
 そして、安心仕切った顔の小川に、時枝は冷酷に告げた。
「あなたはもう攻撃に使える魔力は残ってないかもしれません。しかし私は枯渇する二歩手前です。」
 本から小さい微弱な魔力が出る。
 そして、出たのは一立方センチメートル程の光。
「終わりです。」
 高速で飛んだ光は、油断していた大の字の小川のコアを刺す。
「え?あ、」

 直後。一人だけプールに落ちた。
 小川は、戦闘不能となり、いなくなった。
「良かった。私の勝ちです。河割君!」


 小川が倒れたことを知らせる通信が来た時、一人の女は言った。
「ちっ、小川のやつ使えない。せっかく加賀に近づく奴らを排除するチャンスだったのに。」
 と、辛いことを言っている女は、スナイパーライフルを持ち、また違う場所へと向かっていた。

 加賀と西田は適当に走り、とりあえず姿をくらませられる場所に来ていた。遊園地だった。
「良しいいな?ここで残りの四人を倒す。」
 
 



 
 
 

 







 
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