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一話
十五章 友情の証
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入学してから思えばたくさんのことがあり、ついに大イベント「夏休み」が来た。
寮の部屋で一人、灰色の部屋着で椅子に腰かけた加賀 河割は悩んでいた。
そして何に悩んでいたかというと。
「暇だ。(宿題は知らない。)」
何か楽しいことでもないかなぁ。と携帯を取り出し適当にニュースを見てみる。
しかしそこには、
・とあるプールでウォータースライダーが壊れて、本物のスリル味わう。
・高速道路で鶏が逃げ出し、車とのレース始まる。
・○○デパートの屋上で開催された子供用イベントが開催され、特撮のヒーローが来るも、転び、怪獣に助けてもらっている。
・・・っどれもこれもつまらないことばかりだなぁ。
と、無意識に画面をスクロールしていると、広告があり、それに目を向けた。
それは新作のゲームの広告だった。
男性のみなさん、女の子になってみたいと思いませんか?
加賀はその広告に少しばかり考え止まる。
「どうやればできるんだよ。どうせ程度の低い女装だろ。」
そして、加賀は呆れたように椅子から立ち上がり、目を覚まそうと顔を洗いにゆく。
やはり、顔を洗うとさっぱりするなあ。
と、タオルでごしごしと顔を拭き、目の前にある鏡で自分の顔を見た。
「うーん、相変わらず、パッとしない顔だ。きっと女装なんてしたところで気持ちの悪いオカマみたいなのができて終わりだろう。」
そして加賀は前の魔法の授業の模擬戦を思い出す。
・・・あれは、固有魔術が使えたら面白い戦いになっただろうなあ。
どうもねぇ、と自分にため息をつき、再度部屋に戻ろうとする。
しかし、加賀は立ち止まった。
意図的にではない、本能的にだ。
固有魔術?暇な日々?女装?
そうだ!
と、加賀は吹っ切れたように、部屋に戻る。
どうやら、退屈しのぎが見つかったようだ。
そして、部屋に戻り、立ち鏡の前で加賀はにやにやと気持ち悪い笑みを浮かべ、こういった。
女装がなんだ!似合わないなら、姿を変えればいいじゃないか!
そして、うきうきとテンションを上げながら、どんな姿がいいか、想像する。
「いきなり芸能人とかだとなんか罪悪感がするなあ。そうだ、とりあえず結衣ちゃんにしよう!」
と、魔術を発動させた。
立ち鏡には、にこにことかわいらしい笑みを浮かべ、灰色の部屋着を着ている、穂刈 結衣が、否、穂刈 結衣の姿をしている加賀の姿が映っていた。
「ひゃっはあああああぁぁぁぁ!」
相変わらず自分でもこの魔術には驚く。
なぜかというと、他人から見て自分が誰かに見えるというものではなく、触っても、いくら加賀が触っても、貧相だった体は、きれいなどこからどう見ても穂刈 結衣にしか見えないからだ。
ちなみにとあの大きな胸をもんでみた。
・・・間違いない。結衣ちゃんのものだ(触ったことはない。)
そして、ここまで完成度が高いともっと探りたくなる、いわゆる探究心が抑えきれなくなっていた。
「じゃあ、全部脱ぐか。」
と、口調は男だが、声は穂刈そのものであるため、大変滑稽であった。
「うおぉぉぉぉ!あと一枚!あと一枚!(盛り上がっていても一人でやっています。)」
そして、最後の一枚を脱ごうとすると、しずかに部屋の扉があく。
しかし、テンションが上がりすぎて扉があくことに加賀は気づかなかった。
「かーくん!折り入ってお話がありまし・・・て。」
加賀の部屋には何とも不思議な光景が、
だって二人の穂刈 結衣がいて片方は全裸なのだから
そして、服を着ている穂刈 結衣が全裸の方の顔面をぶん殴って、
「かーくん?何してるんですか?」
とても優しい顔で優しい声で言っているが目が笑っていない。
このあとめちゃめちゃ怒られました。
そして、一時間ほど立ち、
「という事で、かーくん?こういう事はいけないんですよ?ですが、かーくんも男の子です。抑え切れなくなったらまず私に相談してください。」
「はい」
「次やったら、酷いですよ?」
「はい。」
まあ、と、
「お説教はこれくらいにして、本題に移ります。」
「本題?」
ええ、と、
「かーくんに会いにきただけではありません。あのことについて話に来たのです。」
「あのこと?」
しばらく悩み、
「友達の事かな?」
「ええ、そうです。」
と、真剣な眼差しで
「前に言いましたね?私の友達は先輩たちによるいじめで自殺したと。そして、私が独自で調べまくり、ついに敵の居場所がわかったのです。「体育倉庫」に集団で集まっているらしいです。そして、そこに私達二人で攻め込み、落とします。」
言葉を加賀は挟む。
「疑問があるんだ。落とします。っていうのはどの程度だい?殺める所まで?」
「いえ、どちらでも。あの人たちに苦痛さえ与え、私の友達に謝罪を行えばいいでしょう。しかし、あちらがこちらの命を狙うようであるなら・・・覚悟はしておいたほうがいいです。」
そして、加賀は覚悟という言葉に初めて人を殺めるかもしれないという意味が含まれている事を悟った。
「そして、今回私がかーくんに渡しておきたいものがあるのです。」
「渡しておきたいもの?」
「ええ、」
と、彼女は服のポケットから赤い、否、赤黒い球体を出した。
手のひらを上に向け、そこに球体を乗せると、横一線に丸は伸びる。
「そ、それは武器かい?」
「はい」
結衣はなぜか震え、両の手のひらの上に赤黒い一つの長剣が置かれていた。
それを加賀に渡すと
「重っ!」
「はい、大変重いのです。」
「で?なんでこんなものを渡すの?」
すると、彼女は少しためらったように、
「これは私の友達が自殺したさいに、残していったものです。」
「魔術回路か」
「おそらく。で、私はそれを縮小した状態でいつもポケットに入れ、お守りとしていました。しかし、それが剣だと気付いた時、「彼女と共に戦えるのではないか」と考えたのですが、とても重く、私には使い物になりませんでした。なのでこれは、かーくんが持っていてください。今の私には意味がありません。」
一気に言われ少し混乱した加賀だったが、
「わ、わかったよ。」
と、言葉を返した。
そして、彼女は身につけていた腕時計を見て、こういった、
「現在 十二時三十九分です。なので・・・そうですね、三時間後。十五時三十九分にここへまた来ます。なので準備をしておいてください。」
「準備って・・・今日行くの?!」
「はい。それではやることがあるので、その剣はよろしく頼みましたよ。」
「え、あっ、ちょっと!?」
聞く耳を持たず彼女はさっさと部屋を出ていった。
しかし、彼女の友達への思いは相当強いものなんだなあ、と感心した加賀は球体に縮小した剣を服の胸ポケットに入れた。
十五時三十九分。
僕は結衣ちゃんから受け取った「赤黒い球体」をちゃんとポケットに入れ、部屋の前で待っていた。
すると、静かに扉が開き。
「お待たせしました。それでは行きましょう。」
「うん」
僕達二人は早歩きで体育倉庫を目指した。
体育倉庫に向かう途中。僕は結衣ちゃんに会話をかける。
「敵の人数とか、魔術回路とか固有魔術とかわかっているの?」
すると、彼の女は小さく首を縦に振り、
「相手は四人の男達。一人脅されているのは治癒系の固有魔術。残りの三人は、いまいち分かっていないけど、主犯の男が物凄い強いとしか・・・。いっぱい調べたんだけど、全然情報が集まらないの。まあ、私には友達がいませんからね。」
・・・気まずい。
そして、しばらく歩き、体育倉庫前につく。
「いいですか?心の準備。今回は模擬戦のように「死なない」何てことはありませんよ?」
「ああ、とうにできているよ。」
「そうですか、では。」
そう言うと彼女はゆっくりと、静かに扉を開ける。
正直、開けた瞬間爆発とか、殴りが飛んでくるとかあると思ったが、何もなく、普通に入れた。
しかし、中も普通で、不良の集まりのような想像とはちがく、本当にただの体育倉庫だった。
僕は小声で結衣に話しかける。
「ねぇ、本当にここで合っているの?」
「調べた情報ではここなのですが・・・。」
それでも、何かないかとあちこちを見ると、跳び箱の後ろに小さい、一メートルの幅で一メートルの高さの、抜け道があった。
「ここは怪しい」と、僕たちはアイコンタクトで察し、加賀が率先して先へ進んだ。
その中は、土中を掘ったようで、素人がほったのか、抜け道は狭かったり広かったり、くぼみができていたりと、色々とすごかった。
そして、しばらく屈みながら歩き、数十秒後。
何だここは!?
僕の前に広がっていたのは、だだっ広い地下空間だった。床は固まった土でできている。
そして、その静かな地下空間に響く音があった。
男の野太い声だった。
「おい、お前ら。今日中に可愛い女連れてきてくれるんだろうなあ、おい?」
「はい、もちろんです!」
「今回のターゲットは穂刈 結衣です。ああ、これ写真ですどうぞ。」
「おお、おお。なかなか可愛いじゃねぇか。よし、じゃあ三人でまた強姦するか。」
「「ありがとうございます!兄貴!」」
「いいってことよ。おい、加藤。今回も回復頼むわ。その代わりお前にもやらせてやるよ。」
「え、いや、でも」
「長い付き合いじゃねぇか。前に俺達が原因とか言って自殺した奴いたから、そいつで後味ワリィのか?」
「・・・」
「ちっ。まあいい。じゃあお前ら、女を頼む。」
「「はい!」」
「やばいよ!結衣ちゃん!こっち来るみたい!」
すると、彼女は上下左右を見渡し、ちょうど隠れられるようなくぼみを見つける。
「ここです!」
そこに見を重ね、隠し通す。
「結衣ちゃん先行って!」
「分かりました。」
とても狭く、相手の吐息がよく伝わり聞こえる。
屈めている僕の頭は彼女の胸にあたり、とくん、とくん、と鼓動の音が鮮明に聞こえてきた。
そして、二人の男たちがここを通り過ぎていったことを確認し再度進む。
今度は先程よりも、男達二人がいつ帰ってくるのかが気になるために、速めに屈んだ身体で走った。
そして、僕達は地下空間にまた来た。
「それじゃあ、僕が先に行くよ。」
「はい。」
何十メートルか歩くとついに今回の目標が見えた。
がっちりした男と細身の男がいた。
すると、がっちりした男のほうが僕に気づく。細身の男は後ろのほうへ逃げた。
「なんだお前は。こんな所にのこのこ来る・・・って事はまあ、俺にようだよなあ。で、なんのようだ?ああと名前もいえねぇのか?」
「僕は加賀 河割。敵をうちに来た。」
「俺は金剛 颯。敵?敵をうたれるようなことをしたか?俺」
と、結衣が出てきて、
「とぼけないでください!」
「あ?なんだてめぇ・・・って、穂刈とか言う奴じゃねぇか!」
驚き、また、言葉を続ける。
「まあ、いいや。で?なんなんだ?てめぇら。俺に敵をうつってなんだよ」
「あなたが私の友達の佐波逸美を自殺に追い込んだ時の敵です!」
男は、ああ、と興味無さそうに
「あいつかあ。あれだろ?めっちゃ強い力持ってた奴。しかしなあ、自殺っつうんだからあれは自分で死んだんだ。俺達は悪くない。」
「逸美が自殺するきっかけを作ったのがあなたでしょう!そして、私はあなたが逸美にした行為を絶対に許しません!」
そして、抑え切れなくなった彼女は魔術回路を展開。剣をだす。
レイピアとまではいかないがずいぶんと細身の剣である。
すると金剛も対抗し素槍を取り出した。両手で持ち、三十センチほどの穂先を持っている一般的な日本の槍である。
穂刈は右手で細身の剣を持ち、後ろにおもいっきり下げ突きの構えで真正面から突っ込む。
少々大胆かもしれない。しかし、彼女には一人の相手の考えていることが読めるのだ。
・・・このまままっすぐ突っ込むと、金剛は上に剣をはじいてから、素槍を回し、石突きの部分で私を振り払おうとする。と読めた。
だから
穂刈はそのまままっすぐ進み、あと三十センチで金剛の腹部にあたろうとする剣を振り上げ、耳を狙う。
急な攻撃に、金剛の思惑とは外れた攻撃は、穂刈にとって必ずと言っていいほど自信があった。
当たる。耳を切り落とそうとする剣は、鋭く弧を描く。
しかし
「甘いんだよぉっ!」
「!?」
金剛は両手で持っていた槍を右手だけで持ち、後ろに体を倒した。耳にあたる剣をすれすれで回避し、何も持っていない左手と左脚で倒れようとする体を支え、左手と左脚を身体の軸として、右の脚で左にスライドさせる。その先にいた穂刈はスライドさせてきた右脚に蹴り飛ばされる。
「あぁっ!」
蹴り飛ばされたはずみで穂刈の身体は回転する。そして固い土の地面にたたきつけられ、着ていた衣服がやや切れた。そして、止まるときに強く頭をうち、気を失った。
すると、ゆっくりと立ち上がる金剛は
「おいおい、連れの加賀とかいう男がいねぇなあ。逃げたんじゃねぇの?」
確かに、この広い空間に加賀はいない。
しかし、先ほど金剛のことを「兄貴」と呼んでいた男一人だけ姿を見せる。
「兄貴、穂刈とかいう女見つかりません。」
と、金剛の横、五十センチくらいの幅を開けて近づいてきた。
するとにやっと金剛は笑みを浮かべ、近くに寄っている男に、
「おお、陸奥羅か。穂刈なら、そこに転がってる土だらけの女だ。」
「まじっすか!?」
「ああ。それで連れの男がいたんだが、途中で逃げやがったぜ。」
「へぇ。」
すると、陸奥羅の口がぐにゃり、と笑う。
「どうしたんだよ、気持ちわりぃなぁ。」
「いや、兄貴のきたねぇ顔をぶん殴りたくなってなぁ!」
「は!?何言ってんだ陸奥羅・・・っぐあぁっ!」
陸奥羅は金剛の右頬を全力でぶん殴った。
急な殴りに、反応できなかった。調子に乗りすぎていたのだ。
それでも、ぶん殴られるときに金剛は顔を、殴りの進行方向に傾けたことで、少しダメージは減少した。
しかし、金剛の顔にはあざができ、口を切ったのか、唇には血が垂れていた。
そしてうまく重心を保つことができずに倒れている。
「陸奥羅、どうしたんだよ!」
「陸奥羅じゃない!加賀河割だ!」
そういうと陸奥羅の姿は光にまとわれ加賀河割になる
「てめぇ、さっきの!」
金剛は知った事実に怒りを隠しきれず、ゆっくりと立ち上がる
「くそっ。なかなか効いたぜ。てめぇの殴り。だからよぉ、ハンデをくれてやる。」
と、持っていた素槍を縮小し、ズボンの後ろポケットに入れた。
「そこにいる女をかけて、殴り合いで勝負だ。回路ありだと俺が圧勝しちまう。俺が勝ったらその女は俺たちの好きにさせてもらう。それじゃあお前が勝ったら?」
加賀は迷わずいった
「結衣の友達に謝ってもらう。」
「ほう、逃げないんだな馬鹿野郎。いいだろう。そんじゃいくぜ?」
一対一の真剣勝負が始まる。
「うおおおっ!」
二人の男は一人の女をかけて戦っていた。一人は見るからに強いとわかるがっちりとした男。もう一人は低身長で細身の男。どう考えても互角には戦えないことは承知で細身の男は戦っている。
「これでどうっ、だ!」
加賀は左手を思いっきり下げ、体をひねるようにして拳を突き出す。
しかし、そんなのは効果がない、と、言わんばかりに金剛はすべてかわす。
「あーもう、飽きてきたわ。もう終わりにしよう。これ使いたくなかったよな。」
「え? あっ、なんだこれ!?」
加賀の脚が急に重くなる。
「俺の固有魔術だ。俺の体重や、持っているものの重さを、対象にキロ単位で分け与えることができる。もちろん分け与える場所も決められる。」
つまり、と
「俺の体重は八十キロほどで、今八十キロ中の三十キロをお前の脚に荷重としてかけている。最大自分の体重が一キロになるまで分け与えられるんだ。つまり七十九キロまで分けられる。」
「魔術を使うなんてずるいぞ!」
「ああ?魔術を最初から使っても良かったのに、俺は優しいから今頃使い始めたことに感謝して欲しいねぇ?あと、魔術を使ってはいけないなんて言ってないぞ?回路を使うな。と、言っただけだ。」
と、動けない加賀の足元らへんを狙い、蹴る。そのとき当たる瞬間だけ加賀にかかる荷重を消し、バランスを崩したところで今度は上半身に荷重をかけた。
当然。というように、加賀は背中から倒れ、仰向けになる。
そして、さっきより強い荷重が四肢を襲う。
「うああぁ!」
そして、男は果物ナイフを着ていた服の内ポケットからだし、加賀の左胸ポケットの上、五センチにナイフを構える。
「問題でぇす。いま君に六十キロの荷重をかけていまーす。普段その貧弱な身体を起こすときに使う筋肉の力では、体重+六十キロの重さを立ち上げることは出来ません。そして、一瞬だけ君にかかる荷重を消し、この果物ナイフに、七十九キロの重さを荷重させたら、凄い速度で落ちるね。でもナイフと君の身体までの距離はわずか五センチ。はたして加賀くんはこの攻撃を避けられるでしょうか。」
にやり、と金剛は笑い、ナイフから手を離した。
直後。加賀の身体にはかかっていた荷重は抜け、自由を得る。が、もう遅い、ナイフは七十九キロの重さを持って、僕の胸ポケットに突き刺さる。
ああ、もうダメだ。死ぬのか。色々あったなあ。中学時代のいじめで僕は、死のうとしたんだよなあ。でも怖くてとてもじゃないけど死ねなかった。いじめっていうのは本当に良くない。だって、人を直接殺さなくても、間接的に自殺という形で殺めることができる。そして、結衣ちゃんに最後くらいカッコイイところ、見せたかったなあ。
走馬灯のようなものが加賀の頭に走る中。ふと、一人の少女の顔が浮かんだ。
・・・誰なんだ?
そして、その少女はこの学園の制服を着ていて、もう一人、友達だろうか?友達のような人と歩いていた。音のない世界だった。
二人共、知らない女子だ。と、思っていたら、気付いた。一人、友だちの方。それは今の僕の知っている彼女よりも、はるかに美しい笑みで元気よく笑い、最初に出てきた少女に話しかけている。
そして、その友だちはノートを持っており、そこに書いてある名前で僕は確信した。
結衣ちゃん!
じゃあ、隣を歩いているのが結衣ちゃんの言っていた、自殺した友だちの佐波 逸美か!
そして、最初に出てきた少女の名が佐波 逸美だとわかると、場面が急に変わる。
そこは、薄暗い夕方。場所はどこかわからないが、そこには涙を流し、何かを語っている佐波とそれを真剣に聞く結衣の姿があった。
すると、音のない世界で、佐波が何かを泣きながら語っているのとは裏腹に、とても小さな声で、加賀にしか聴こえない声が聞こえた。
助けて。
と、その言葉を聞いた瞬間。結衣が前に自殺した。と言っていた時、僕は、心の中で「すべてが嫌になって、この世界に居たくない」から自殺したのかと思ったが
しかし、彼女は表には出さなかったけれど、心の中では
「助けて欲しい。」
と、言っていたのだ。
それに気づかなかった結衣に苛つき。しかし、僕が結衣だったとしても気付いてあげられないという自分の無力さに嘆き。そして、信頼している結衣にさえ素直に「助けて。」と言えなかった、おそらく好きだった結衣に、迷惑を掛けたくなかった馬鹿な佐波。自殺に陥るまでの過程に気づけなかった学園側にも腹がたった。
すると、佐波はすべてを話し終わったようで、自らの魔術で死んだ。
まてよ?と、加賀は何かに引っかかる。
何故、相手の心を読めるはずの結衣がこのことに気づかなかったんだ?
すると、加賀にすうっと、嫌な風が背筋に通る。
ま、まあ、嘘だよな。
すると、場面がまた入れ替わる。
それは、加賀が四月に入ったことのある「開発室」だった。
そこには、今とは随分とまた違う、元気な顔立ちの一年生の結衣がいた。
そして、結衣はエンジニアのところへ行き、魔術を創っていた。
彼女はさっき持っていた細身の剣を回路とし、初めて魔術が使えるようになってテンションが上がっているのか、魔術を使ってみた。
直後。剣を彼女が振ると何も起こらなかった。
と、思っていると、遠くにあったテレビが真っ二つにわれる。
「は?」と僕は思うと、時間は巻戻り、結衣が、魔術を創るところに戻る。
そして、エンジニアは言った。しかしそれは結衣には聞こえていなく、その声は音のない世界で僕だけに聞こえた。結衣の固有魔術が
「破壊する波動を繰り出せる」ものだと。
直後、僕は苛ついていた。
彼女は相手の考えていることは読めない。
ただ、誰かに騙されて相手の考えていることが読める。と、そう教えられていたからだ。
しかし、なぜ彼女はわからなかったかというと、たくさんの本を読み、相手を忖度する能力がついていて、それを本当の能力だと思い信じてきたからか。
魔術の授業は?
だが、つい先日の授業を思い出す。
「固有魔術は使用禁止」だと、
じゃあ、結衣は三年間学園に騙され続けていたってのか?
じゃあ、さっき結衣が金剛に攻撃した時、普通にやられていたのは、本当は相手の考えていることは読めないからなのか?
そんな事はどうでもいいんだ。やっぱり結衣は、馬鹿なんだな。と思い、しかし、その純粋さに呆れる。
仮に学園が結衣を騙していたのなら、佐波の自殺が大事にならなかったことは学園側の隠蔽。と収まりがつく。
色々なことに対しての怒りに、僕は覚醒した。
目を覚ますと、そこには、結衣が未だに倒れていて、僕が仰向けで倒れていて、治癒の魔術の人と金剛は倒れていた。隣には大きな岩がある。
ナイフは僕の顔横の地面に突き刺さっており、僕にはナイフの傷はどこにもなかった。
そして、あるものが浮いていた。
それは結衣からもらった赤黒い球体だった。
その球体は空中で剣の形に変化し、僕のポケットを刺す。
「え?」
ポケットを刺した時にぱきっと嫌な音がした。
急いで僕は確認する。
魔術回路だった。
「おい!何してんだよこの剣」!
すると、急に瞼が重くなる。
そのまま寝てしまった。
そして、目が覚めた。
ズボンに突き刺さっていた剣を手に取り、勢いよく僕は立ち上がると、とりあえず結衣の姿になってみようと確認する。
すると、
姿は何も変化しなかった。
そのかわり、隣にあった大岩に赤い光が降ってきて岩の中に光は取り込まれた。
直後、岩は爆発し、粉々に砂のようになる。その砂のようなものはあたりに降っている。
「なんなんだ!?なんで姿が変わらないんだ?!なんで岩が爆発するんだ?!」
その答えを教えてくれる者がいた。
加賀の魔術回路を破壊した、赤黒い剣だった。
その剣は宙に浮き、
「あなたの魔術回路は私が破壊したため使えなくなりました。なのでその剣と「破壊の力」を今後お使いしてください。」
「まて!なんでそうなる!?全然話が読めないぞ!」
そうですねえ、と、
「簡単に言うと、あなたの怒りが剣の前使用者の想いを受け継いでくれそうだからです。普通、他人の魔術が使えるようになるなんてありえませんが。しかし、あの件に未練が残り、強い想いだけこの剣に宿っているのだと思います。それをおそらくあなたがぶち壊しに行くはずです。」
「あの件?」
「はい。実は、今倒した金剛という男。学園側に頼まれて前使用者を自殺に追い込んだそうです。」
「学園側が?!」
「そうです。詳細は不明ですが、学園は何か大きなことをそのうち実行するでしょう。それの準備が進められているときに、前使用者はその話を聞いてしまいました。それがばれ、学園側から手を汚すのではなく、あくまで自殺という形で殺させたのです。その自殺をさせる過程を作ったのが金剛です。」
「そんな、じゃあ事の発端はやはり学園の仕業!?」
「そういうことです。そして、前使用者はこのことを言おうか言うまいか悩み、結局言わずに自害したのです。」
だから、と前置きし、剣は
「学園側の裏の顔を、真実を切り開いてほしいと、前使用者は言っているのです。」
僕はしばらく考え
「ようは、この力を使って、学園側から情報を聞き出して来いと?」
「ええ、おそらくその過程で激しい戦いが起こります。しかし、その戦いも乗り切れるほどにこの魔術は力を持っています。」
「成程。」と僕は呆れながら言う。
どうやらこの夏休み中はとても忙しくなりそうだ。
「あ、あと」と剣は補足する。
「もう姿、変えられませんから。」
「え?」
「当然でしょう?魔術回路が破壊されたんですからその魔術はセットです。なくなるに決まっているじゃないですか」
「そ、そんな。まだやりたいことがたくさんあったのに。」
僕は腹が立ち、宙に浮いている剣を手に取り、倒れ伏している金剛の目の前に立つ。
「試運転だ。剣頼むぞ。」
握るととても強い力が全身を駆け巡る。剣を上に向け
「金剛を壊せ。」
直後、金剛の着ていた服はすべて破け、全身の毛が切れ、無残にもつるつるになった。
その姿を見て心の中で馬鹿にし、表では平然とし、言った、
「僕は優しいんでね。人を殺めたりはしない。まあ馬鹿野郎は寛容でなくてはならないからね。」
内ポケットに入れていたスマホを取出し全裸の金剛の写真を取り、僕は結衣のところへと歩いた。
「ちゃんと金剛に佐波さんのこと謝ってもらわなきゃな。」
寮の部屋で一人、灰色の部屋着で椅子に腰かけた加賀 河割は悩んでいた。
そして何に悩んでいたかというと。
「暇だ。(宿題は知らない。)」
何か楽しいことでもないかなぁ。と携帯を取り出し適当にニュースを見てみる。
しかしそこには、
・とあるプールでウォータースライダーが壊れて、本物のスリル味わう。
・高速道路で鶏が逃げ出し、車とのレース始まる。
・○○デパートの屋上で開催された子供用イベントが開催され、特撮のヒーローが来るも、転び、怪獣に助けてもらっている。
・・・っどれもこれもつまらないことばかりだなぁ。
と、無意識に画面をスクロールしていると、広告があり、それに目を向けた。
それは新作のゲームの広告だった。
男性のみなさん、女の子になってみたいと思いませんか?
加賀はその広告に少しばかり考え止まる。
「どうやればできるんだよ。どうせ程度の低い女装だろ。」
そして、加賀は呆れたように椅子から立ち上がり、目を覚まそうと顔を洗いにゆく。
やはり、顔を洗うとさっぱりするなあ。
と、タオルでごしごしと顔を拭き、目の前にある鏡で自分の顔を見た。
「うーん、相変わらず、パッとしない顔だ。きっと女装なんてしたところで気持ちの悪いオカマみたいなのができて終わりだろう。」
そして加賀は前の魔法の授業の模擬戦を思い出す。
・・・あれは、固有魔術が使えたら面白い戦いになっただろうなあ。
どうもねぇ、と自分にため息をつき、再度部屋に戻ろうとする。
しかし、加賀は立ち止まった。
意図的にではない、本能的にだ。
固有魔術?暇な日々?女装?
そうだ!
と、加賀は吹っ切れたように、部屋に戻る。
どうやら、退屈しのぎが見つかったようだ。
そして、部屋に戻り、立ち鏡の前で加賀はにやにやと気持ち悪い笑みを浮かべ、こういった。
女装がなんだ!似合わないなら、姿を変えればいいじゃないか!
そして、うきうきとテンションを上げながら、どんな姿がいいか、想像する。
「いきなり芸能人とかだとなんか罪悪感がするなあ。そうだ、とりあえず結衣ちゃんにしよう!」
と、魔術を発動させた。
立ち鏡には、にこにことかわいらしい笑みを浮かべ、灰色の部屋着を着ている、穂刈 結衣が、否、穂刈 結衣の姿をしている加賀の姿が映っていた。
「ひゃっはあああああぁぁぁぁ!」
相変わらず自分でもこの魔術には驚く。
なぜかというと、他人から見て自分が誰かに見えるというものではなく、触っても、いくら加賀が触っても、貧相だった体は、きれいなどこからどう見ても穂刈 結衣にしか見えないからだ。
ちなみにとあの大きな胸をもんでみた。
・・・間違いない。結衣ちゃんのものだ(触ったことはない。)
そして、ここまで完成度が高いともっと探りたくなる、いわゆる探究心が抑えきれなくなっていた。
「じゃあ、全部脱ぐか。」
と、口調は男だが、声は穂刈そのものであるため、大変滑稽であった。
「うおぉぉぉぉ!あと一枚!あと一枚!(盛り上がっていても一人でやっています。)」
そして、最後の一枚を脱ごうとすると、しずかに部屋の扉があく。
しかし、テンションが上がりすぎて扉があくことに加賀は気づかなかった。
「かーくん!折り入ってお話がありまし・・・て。」
加賀の部屋には何とも不思議な光景が、
だって二人の穂刈 結衣がいて片方は全裸なのだから
そして、服を着ている穂刈 結衣が全裸の方の顔面をぶん殴って、
「かーくん?何してるんですか?」
とても優しい顔で優しい声で言っているが目が笑っていない。
このあとめちゃめちゃ怒られました。
そして、一時間ほど立ち、
「という事で、かーくん?こういう事はいけないんですよ?ですが、かーくんも男の子です。抑え切れなくなったらまず私に相談してください。」
「はい」
「次やったら、酷いですよ?」
「はい。」
まあ、と、
「お説教はこれくらいにして、本題に移ります。」
「本題?」
ええ、と、
「かーくんに会いにきただけではありません。あのことについて話に来たのです。」
「あのこと?」
しばらく悩み、
「友達の事かな?」
「ええ、そうです。」
と、真剣な眼差しで
「前に言いましたね?私の友達は先輩たちによるいじめで自殺したと。そして、私が独自で調べまくり、ついに敵の居場所がわかったのです。「体育倉庫」に集団で集まっているらしいです。そして、そこに私達二人で攻め込み、落とします。」
言葉を加賀は挟む。
「疑問があるんだ。落とします。っていうのはどの程度だい?殺める所まで?」
「いえ、どちらでも。あの人たちに苦痛さえ与え、私の友達に謝罪を行えばいいでしょう。しかし、あちらがこちらの命を狙うようであるなら・・・覚悟はしておいたほうがいいです。」
そして、加賀は覚悟という言葉に初めて人を殺めるかもしれないという意味が含まれている事を悟った。
「そして、今回私がかーくんに渡しておきたいものがあるのです。」
「渡しておきたいもの?」
「ええ、」
と、彼女は服のポケットから赤い、否、赤黒い球体を出した。
手のひらを上に向け、そこに球体を乗せると、横一線に丸は伸びる。
「そ、それは武器かい?」
「はい」
結衣はなぜか震え、両の手のひらの上に赤黒い一つの長剣が置かれていた。
それを加賀に渡すと
「重っ!」
「はい、大変重いのです。」
「で?なんでこんなものを渡すの?」
すると、彼女は少しためらったように、
「これは私の友達が自殺したさいに、残していったものです。」
「魔術回路か」
「おそらく。で、私はそれを縮小した状態でいつもポケットに入れ、お守りとしていました。しかし、それが剣だと気付いた時、「彼女と共に戦えるのではないか」と考えたのですが、とても重く、私には使い物になりませんでした。なのでこれは、かーくんが持っていてください。今の私には意味がありません。」
一気に言われ少し混乱した加賀だったが、
「わ、わかったよ。」
と、言葉を返した。
そして、彼女は身につけていた腕時計を見て、こういった、
「現在 十二時三十九分です。なので・・・そうですね、三時間後。十五時三十九分にここへまた来ます。なので準備をしておいてください。」
「準備って・・・今日行くの?!」
「はい。それではやることがあるので、その剣はよろしく頼みましたよ。」
「え、あっ、ちょっと!?」
聞く耳を持たず彼女はさっさと部屋を出ていった。
しかし、彼女の友達への思いは相当強いものなんだなあ、と感心した加賀は球体に縮小した剣を服の胸ポケットに入れた。
十五時三十九分。
僕は結衣ちゃんから受け取った「赤黒い球体」をちゃんとポケットに入れ、部屋の前で待っていた。
すると、静かに扉が開き。
「お待たせしました。それでは行きましょう。」
「うん」
僕達二人は早歩きで体育倉庫を目指した。
体育倉庫に向かう途中。僕は結衣ちゃんに会話をかける。
「敵の人数とか、魔術回路とか固有魔術とかわかっているの?」
すると、彼の女は小さく首を縦に振り、
「相手は四人の男達。一人脅されているのは治癒系の固有魔術。残りの三人は、いまいち分かっていないけど、主犯の男が物凄い強いとしか・・・。いっぱい調べたんだけど、全然情報が集まらないの。まあ、私には友達がいませんからね。」
・・・気まずい。
そして、しばらく歩き、体育倉庫前につく。
「いいですか?心の準備。今回は模擬戦のように「死なない」何てことはありませんよ?」
「ああ、とうにできているよ。」
「そうですか、では。」
そう言うと彼女はゆっくりと、静かに扉を開ける。
正直、開けた瞬間爆発とか、殴りが飛んでくるとかあると思ったが、何もなく、普通に入れた。
しかし、中も普通で、不良の集まりのような想像とはちがく、本当にただの体育倉庫だった。
僕は小声で結衣に話しかける。
「ねぇ、本当にここで合っているの?」
「調べた情報ではここなのですが・・・。」
それでも、何かないかとあちこちを見ると、跳び箱の後ろに小さい、一メートルの幅で一メートルの高さの、抜け道があった。
「ここは怪しい」と、僕たちはアイコンタクトで察し、加賀が率先して先へ進んだ。
その中は、土中を掘ったようで、素人がほったのか、抜け道は狭かったり広かったり、くぼみができていたりと、色々とすごかった。
そして、しばらく屈みながら歩き、数十秒後。
何だここは!?
僕の前に広がっていたのは、だだっ広い地下空間だった。床は固まった土でできている。
そして、その静かな地下空間に響く音があった。
男の野太い声だった。
「おい、お前ら。今日中に可愛い女連れてきてくれるんだろうなあ、おい?」
「はい、もちろんです!」
「今回のターゲットは穂刈 結衣です。ああ、これ写真ですどうぞ。」
「おお、おお。なかなか可愛いじゃねぇか。よし、じゃあ三人でまた強姦するか。」
「「ありがとうございます!兄貴!」」
「いいってことよ。おい、加藤。今回も回復頼むわ。その代わりお前にもやらせてやるよ。」
「え、いや、でも」
「長い付き合いじゃねぇか。前に俺達が原因とか言って自殺した奴いたから、そいつで後味ワリィのか?」
「・・・」
「ちっ。まあいい。じゃあお前ら、女を頼む。」
「「はい!」」
「やばいよ!結衣ちゃん!こっち来るみたい!」
すると、彼女は上下左右を見渡し、ちょうど隠れられるようなくぼみを見つける。
「ここです!」
そこに見を重ね、隠し通す。
「結衣ちゃん先行って!」
「分かりました。」
とても狭く、相手の吐息がよく伝わり聞こえる。
屈めている僕の頭は彼女の胸にあたり、とくん、とくん、と鼓動の音が鮮明に聞こえてきた。
そして、二人の男たちがここを通り過ぎていったことを確認し再度進む。
今度は先程よりも、男達二人がいつ帰ってくるのかが気になるために、速めに屈んだ身体で走った。
そして、僕達は地下空間にまた来た。
「それじゃあ、僕が先に行くよ。」
「はい。」
何十メートルか歩くとついに今回の目標が見えた。
がっちりした男と細身の男がいた。
すると、がっちりした男のほうが僕に気づく。細身の男は後ろのほうへ逃げた。
「なんだお前は。こんな所にのこのこ来る・・・って事はまあ、俺にようだよなあ。で、なんのようだ?ああと名前もいえねぇのか?」
「僕は加賀 河割。敵をうちに来た。」
「俺は金剛 颯。敵?敵をうたれるようなことをしたか?俺」
と、結衣が出てきて、
「とぼけないでください!」
「あ?なんだてめぇ・・・って、穂刈とか言う奴じゃねぇか!」
驚き、また、言葉を続ける。
「まあ、いいや。で?なんなんだ?てめぇら。俺に敵をうつってなんだよ」
「あなたが私の友達の佐波逸美を自殺に追い込んだ時の敵です!」
男は、ああ、と興味無さそうに
「あいつかあ。あれだろ?めっちゃ強い力持ってた奴。しかしなあ、自殺っつうんだからあれは自分で死んだんだ。俺達は悪くない。」
「逸美が自殺するきっかけを作ったのがあなたでしょう!そして、私はあなたが逸美にした行為を絶対に許しません!」
そして、抑え切れなくなった彼女は魔術回路を展開。剣をだす。
レイピアとまではいかないがずいぶんと細身の剣である。
すると金剛も対抗し素槍を取り出した。両手で持ち、三十センチほどの穂先を持っている一般的な日本の槍である。
穂刈は右手で細身の剣を持ち、後ろにおもいっきり下げ突きの構えで真正面から突っ込む。
少々大胆かもしれない。しかし、彼女には一人の相手の考えていることが読めるのだ。
・・・このまままっすぐ突っ込むと、金剛は上に剣をはじいてから、素槍を回し、石突きの部分で私を振り払おうとする。と読めた。
だから
穂刈はそのまままっすぐ進み、あと三十センチで金剛の腹部にあたろうとする剣を振り上げ、耳を狙う。
急な攻撃に、金剛の思惑とは外れた攻撃は、穂刈にとって必ずと言っていいほど自信があった。
当たる。耳を切り落とそうとする剣は、鋭く弧を描く。
しかし
「甘いんだよぉっ!」
「!?」
金剛は両手で持っていた槍を右手だけで持ち、後ろに体を倒した。耳にあたる剣をすれすれで回避し、何も持っていない左手と左脚で倒れようとする体を支え、左手と左脚を身体の軸として、右の脚で左にスライドさせる。その先にいた穂刈はスライドさせてきた右脚に蹴り飛ばされる。
「あぁっ!」
蹴り飛ばされたはずみで穂刈の身体は回転する。そして固い土の地面にたたきつけられ、着ていた衣服がやや切れた。そして、止まるときに強く頭をうち、気を失った。
すると、ゆっくりと立ち上がる金剛は
「おいおい、連れの加賀とかいう男がいねぇなあ。逃げたんじゃねぇの?」
確かに、この広い空間に加賀はいない。
しかし、先ほど金剛のことを「兄貴」と呼んでいた男一人だけ姿を見せる。
「兄貴、穂刈とかいう女見つかりません。」
と、金剛の横、五十センチくらいの幅を開けて近づいてきた。
するとにやっと金剛は笑みを浮かべ、近くに寄っている男に、
「おお、陸奥羅か。穂刈なら、そこに転がってる土だらけの女だ。」
「まじっすか!?」
「ああ。それで連れの男がいたんだが、途中で逃げやがったぜ。」
「へぇ。」
すると、陸奥羅の口がぐにゃり、と笑う。
「どうしたんだよ、気持ちわりぃなぁ。」
「いや、兄貴のきたねぇ顔をぶん殴りたくなってなぁ!」
「は!?何言ってんだ陸奥羅・・・っぐあぁっ!」
陸奥羅は金剛の右頬を全力でぶん殴った。
急な殴りに、反応できなかった。調子に乗りすぎていたのだ。
それでも、ぶん殴られるときに金剛は顔を、殴りの進行方向に傾けたことで、少しダメージは減少した。
しかし、金剛の顔にはあざができ、口を切ったのか、唇には血が垂れていた。
そしてうまく重心を保つことができずに倒れている。
「陸奥羅、どうしたんだよ!」
「陸奥羅じゃない!加賀河割だ!」
そういうと陸奥羅の姿は光にまとわれ加賀河割になる
「てめぇ、さっきの!」
金剛は知った事実に怒りを隠しきれず、ゆっくりと立ち上がる
「くそっ。なかなか効いたぜ。てめぇの殴り。だからよぉ、ハンデをくれてやる。」
と、持っていた素槍を縮小し、ズボンの後ろポケットに入れた。
「そこにいる女をかけて、殴り合いで勝負だ。回路ありだと俺が圧勝しちまう。俺が勝ったらその女は俺たちの好きにさせてもらう。それじゃあお前が勝ったら?」
加賀は迷わずいった
「結衣の友達に謝ってもらう。」
「ほう、逃げないんだな馬鹿野郎。いいだろう。そんじゃいくぜ?」
一対一の真剣勝負が始まる。
「うおおおっ!」
二人の男は一人の女をかけて戦っていた。一人は見るからに強いとわかるがっちりとした男。もう一人は低身長で細身の男。どう考えても互角には戦えないことは承知で細身の男は戦っている。
「これでどうっ、だ!」
加賀は左手を思いっきり下げ、体をひねるようにして拳を突き出す。
しかし、そんなのは効果がない、と、言わんばかりに金剛はすべてかわす。
「あーもう、飽きてきたわ。もう終わりにしよう。これ使いたくなかったよな。」
「え? あっ、なんだこれ!?」
加賀の脚が急に重くなる。
「俺の固有魔術だ。俺の体重や、持っているものの重さを、対象にキロ単位で分け与えることができる。もちろん分け与える場所も決められる。」
つまり、と
「俺の体重は八十キロほどで、今八十キロ中の三十キロをお前の脚に荷重としてかけている。最大自分の体重が一キロになるまで分け与えられるんだ。つまり七十九キロまで分けられる。」
「魔術を使うなんてずるいぞ!」
「ああ?魔術を最初から使っても良かったのに、俺は優しいから今頃使い始めたことに感謝して欲しいねぇ?あと、魔術を使ってはいけないなんて言ってないぞ?回路を使うな。と、言っただけだ。」
と、動けない加賀の足元らへんを狙い、蹴る。そのとき当たる瞬間だけ加賀にかかる荷重を消し、バランスを崩したところで今度は上半身に荷重をかけた。
当然。というように、加賀は背中から倒れ、仰向けになる。
そして、さっきより強い荷重が四肢を襲う。
「うああぁ!」
そして、男は果物ナイフを着ていた服の内ポケットからだし、加賀の左胸ポケットの上、五センチにナイフを構える。
「問題でぇす。いま君に六十キロの荷重をかけていまーす。普段その貧弱な身体を起こすときに使う筋肉の力では、体重+六十キロの重さを立ち上げることは出来ません。そして、一瞬だけ君にかかる荷重を消し、この果物ナイフに、七十九キロの重さを荷重させたら、凄い速度で落ちるね。でもナイフと君の身体までの距離はわずか五センチ。はたして加賀くんはこの攻撃を避けられるでしょうか。」
にやり、と金剛は笑い、ナイフから手を離した。
直後。加賀の身体にはかかっていた荷重は抜け、自由を得る。が、もう遅い、ナイフは七十九キロの重さを持って、僕の胸ポケットに突き刺さる。
ああ、もうダメだ。死ぬのか。色々あったなあ。中学時代のいじめで僕は、死のうとしたんだよなあ。でも怖くてとてもじゃないけど死ねなかった。いじめっていうのは本当に良くない。だって、人を直接殺さなくても、間接的に自殺という形で殺めることができる。そして、結衣ちゃんに最後くらいカッコイイところ、見せたかったなあ。
走馬灯のようなものが加賀の頭に走る中。ふと、一人の少女の顔が浮かんだ。
・・・誰なんだ?
そして、その少女はこの学園の制服を着ていて、もう一人、友達だろうか?友達のような人と歩いていた。音のない世界だった。
二人共、知らない女子だ。と、思っていたら、気付いた。一人、友だちの方。それは今の僕の知っている彼女よりも、はるかに美しい笑みで元気よく笑い、最初に出てきた少女に話しかけている。
そして、その友だちはノートを持っており、そこに書いてある名前で僕は確信した。
結衣ちゃん!
じゃあ、隣を歩いているのが結衣ちゃんの言っていた、自殺した友だちの佐波 逸美か!
そして、最初に出てきた少女の名が佐波 逸美だとわかると、場面が急に変わる。
そこは、薄暗い夕方。場所はどこかわからないが、そこには涙を流し、何かを語っている佐波とそれを真剣に聞く結衣の姿があった。
すると、音のない世界で、佐波が何かを泣きながら語っているのとは裏腹に、とても小さな声で、加賀にしか聴こえない声が聞こえた。
助けて。
と、その言葉を聞いた瞬間。結衣が前に自殺した。と言っていた時、僕は、心の中で「すべてが嫌になって、この世界に居たくない」から自殺したのかと思ったが
しかし、彼女は表には出さなかったけれど、心の中では
「助けて欲しい。」
と、言っていたのだ。
それに気づかなかった結衣に苛つき。しかし、僕が結衣だったとしても気付いてあげられないという自分の無力さに嘆き。そして、信頼している結衣にさえ素直に「助けて。」と言えなかった、おそらく好きだった結衣に、迷惑を掛けたくなかった馬鹿な佐波。自殺に陥るまでの過程に気づけなかった学園側にも腹がたった。
すると、佐波はすべてを話し終わったようで、自らの魔術で死んだ。
まてよ?と、加賀は何かに引っかかる。
何故、相手の心を読めるはずの結衣がこのことに気づかなかったんだ?
すると、加賀にすうっと、嫌な風が背筋に通る。
ま、まあ、嘘だよな。
すると、場面がまた入れ替わる。
それは、加賀が四月に入ったことのある「開発室」だった。
そこには、今とは随分とまた違う、元気な顔立ちの一年生の結衣がいた。
そして、結衣はエンジニアのところへ行き、魔術を創っていた。
彼女はさっき持っていた細身の剣を回路とし、初めて魔術が使えるようになってテンションが上がっているのか、魔術を使ってみた。
直後。剣を彼女が振ると何も起こらなかった。
と、思っていると、遠くにあったテレビが真っ二つにわれる。
「は?」と僕は思うと、時間は巻戻り、結衣が、魔術を創るところに戻る。
そして、エンジニアは言った。しかしそれは結衣には聞こえていなく、その声は音のない世界で僕だけに聞こえた。結衣の固有魔術が
「破壊する波動を繰り出せる」ものだと。
直後、僕は苛ついていた。
彼女は相手の考えていることは読めない。
ただ、誰かに騙されて相手の考えていることが読める。と、そう教えられていたからだ。
しかし、なぜ彼女はわからなかったかというと、たくさんの本を読み、相手を忖度する能力がついていて、それを本当の能力だと思い信じてきたからか。
魔術の授業は?
だが、つい先日の授業を思い出す。
「固有魔術は使用禁止」だと、
じゃあ、結衣は三年間学園に騙され続けていたってのか?
じゃあ、さっき結衣が金剛に攻撃した時、普通にやられていたのは、本当は相手の考えていることは読めないからなのか?
そんな事はどうでもいいんだ。やっぱり結衣は、馬鹿なんだな。と思い、しかし、その純粋さに呆れる。
仮に学園が結衣を騙していたのなら、佐波の自殺が大事にならなかったことは学園側の隠蔽。と収まりがつく。
色々なことに対しての怒りに、僕は覚醒した。
目を覚ますと、そこには、結衣が未だに倒れていて、僕が仰向けで倒れていて、治癒の魔術の人と金剛は倒れていた。隣には大きな岩がある。
ナイフは僕の顔横の地面に突き刺さっており、僕にはナイフの傷はどこにもなかった。
そして、あるものが浮いていた。
それは結衣からもらった赤黒い球体だった。
その球体は空中で剣の形に変化し、僕のポケットを刺す。
「え?」
ポケットを刺した時にぱきっと嫌な音がした。
急いで僕は確認する。
魔術回路だった。
「おい!何してんだよこの剣」!
すると、急に瞼が重くなる。
そのまま寝てしまった。
そして、目が覚めた。
ズボンに突き刺さっていた剣を手に取り、勢いよく僕は立ち上がると、とりあえず結衣の姿になってみようと確認する。
すると、
姿は何も変化しなかった。
そのかわり、隣にあった大岩に赤い光が降ってきて岩の中に光は取り込まれた。
直後、岩は爆発し、粉々に砂のようになる。その砂のようなものはあたりに降っている。
「なんなんだ!?なんで姿が変わらないんだ?!なんで岩が爆発するんだ?!」
その答えを教えてくれる者がいた。
加賀の魔術回路を破壊した、赤黒い剣だった。
その剣は宙に浮き、
「あなたの魔術回路は私が破壊したため使えなくなりました。なのでその剣と「破壊の力」を今後お使いしてください。」
「まて!なんでそうなる!?全然話が読めないぞ!」
そうですねえ、と、
「簡単に言うと、あなたの怒りが剣の前使用者の想いを受け継いでくれそうだからです。普通、他人の魔術が使えるようになるなんてありえませんが。しかし、あの件に未練が残り、強い想いだけこの剣に宿っているのだと思います。それをおそらくあなたがぶち壊しに行くはずです。」
「あの件?」
「はい。実は、今倒した金剛という男。学園側に頼まれて前使用者を自殺に追い込んだそうです。」
「学園側が?!」
「そうです。詳細は不明ですが、学園は何か大きなことをそのうち実行するでしょう。それの準備が進められているときに、前使用者はその話を聞いてしまいました。それがばれ、学園側から手を汚すのではなく、あくまで自殺という形で殺させたのです。その自殺をさせる過程を作ったのが金剛です。」
「そんな、じゃあ事の発端はやはり学園の仕業!?」
「そういうことです。そして、前使用者はこのことを言おうか言うまいか悩み、結局言わずに自害したのです。」
だから、と前置きし、剣は
「学園側の裏の顔を、真実を切り開いてほしいと、前使用者は言っているのです。」
僕はしばらく考え
「ようは、この力を使って、学園側から情報を聞き出して来いと?」
「ええ、おそらくその過程で激しい戦いが起こります。しかし、その戦いも乗り切れるほどにこの魔術は力を持っています。」
「成程。」と僕は呆れながら言う。
どうやらこの夏休み中はとても忙しくなりそうだ。
「あ、あと」と剣は補足する。
「もう姿、変えられませんから。」
「え?」
「当然でしょう?魔術回路が破壊されたんですからその魔術はセットです。なくなるに決まっているじゃないですか」
「そ、そんな。まだやりたいことがたくさんあったのに。」
僕は腹が立ち、宙に浮いている剣を手に取り、倒れ伏している金剛の目の前に立つ。
「試運転だ。剣頼むぞ。」
握るととても強い力が全身を駆け巡る。剣を上に向け
「金剛を壊せ。」
直後、金剛の着ていた服はすべて破け、全身の毛が切れ、無残にもつるつるになった。
その姿を見て心の中で馬鹿にし、表では平然とし、言った、
「僕は優しいんでね。人を殺めたりはしない。まあ馬鹿野郎は寛容でなくてはならないからね。」
内ポケットに入れていたスマホを取出し全裸の金剛の写真を取り、僕は結衣のところへと歩いた。
「ちゃんと金剛に佐波さんのこと謝ってもらわなきゃな。」
0
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