好きな人がいまして

幸輝

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図書室

イケメンの利用者

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 とある高校の図書室に、茶髪を短く刈ったスポーティーな風貌の俺・ホシは、一人でパソコンをいじっていた。
 その姿で、高校生ではないと分かるだろうが、俺はこの図書室で司書として働いている。
 今日は金曜日。五時限目を知らせるチャイムがなる。昼休みはあまり生徒の出入りがなかったので、蔵書の整理もスムーズに出来た。
 後は放課後に少し生徒が来るくらいで、残りの勤務はゆっくりできそうだ。
 一応、俺の勤務している高校の図書室は、一般開放もしているが、中々一般客は入ってこない。
 俺はパソコンから目を離し、一度大きく伸びをする。
 それと同時に、図書室の扉がガラリと開いた。
「失礼します……」
「おっと……」俺は伸びを止めパソコンに手を戻す「はーい、ごゆっくりどうぞー」
 中々一般客は入ってこないと言ったが、この子はここ最近毎日昼すぎに来る青年である。
 ピアスをつけていて、私服なのを見ると、教師や生徒ではないことは分かる。
 髪は明るい茶髪で、肩まで伸びたセミロング。ただ伸びた髪な訳ではなく、ストレートで綺麗に仕上がっている。
 ヒゲも生えていなく、逆にうっすら化粧しているかのような清潔感がある顔立ち。
 どこからどう見ても、イケメン青年である。
 見た限り、俺とあまり変わらなそうな年頃で、浪人生にしては身なりがよすぎていた。
 青年は前回借りていた本を返却口に返すと、新しい本を手にとり、近くの席に着くと、本を読み始める。その本を読む姿も様になっている。
「……うん?」
 俺の視線を感じてか、本越しに俺をなら見つける青年。
 俺は慌てて苦笑いをして視線をパソコンへと移した。
 今の俺は暇である。そして彼が気になる。
 俺は彼の借りた本の履歴を暇潰しに調べることにした。
 図書室ナンバーで一般人項目の貸し出し履歴で、すぐに彼のことがわかった。
 そして、彼の最近借りている本の一覧を見て、俺は目を丸くする。
『モテる男になるには』『必見! オトすテクニック!』『片想いの君に必要なこと』
 こ、これは……、と、俺は一つの結論にたどり着いた。
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