好きな人がいまして

幸輝

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衝撃

彼女

「ごめん、ショウタ……」
 おじさんの返答もまた、静かな図書室に響く。
 終わった……俺は悟った。これは、ごめんなさい、のやつだ、と。
「う……っくふぅ……」
 彼の感情が溢れ出す。目を細めて、ぼろぼろと大粒の涙を流し始めた。
「だぁーもー、泣くなってー!」
 おじさんは、乱暴に撫で回していた手を今度は優しく彼の頭を撫でてやった。
「素直に好意を持ってくれたことは嬉しいし、これからもショウタと仲良くしていきたいよ。でも……」
 おじさんは頭を撫でることを止め、今度はおじさんの方が真剣な眼差しで彼を見つめる。
「俺にも、大切な人ができちゃったからさ……彼女が」
「え!?」
「えぇ!?」
「え?」
 三人の「え」が図書室に響いた。
 最初の彼が発したのは、素直に彼女ができていたことを知らなかったそれ。
 次にほぼ同時に発した俺のは、こんな人に彼女できるの!?、の驚きのそれ。
 最後のおじさんの発したのは、俺の「えぇ!?」に対する、何?、のそれである。
 慌てて声を出してしまった俺は、取り繕うように咳払いをした。
「ほ、ほら、ヒロトさんの声が大きいから……」
「あ、そっか、ごめんごめん」
 彼のナイスアシストによって、俺は難を逃れた。
「でも、いつの間に彼女が……」
「実は昨日! 付き合い始めたラブラブ中でーす」
 人の気持ちがわからないのか、そういうキャラクターなのか、イエーイ、と言わんばかりのテンションである。この行動に、逆に俺がひいた。
 だが、彼はその行動に和んだのか、感情を表に出したからか、少し落ち着きを取り戻した。
「そうだったんですね……わかりました」
 一度大きく彼は息を吐く。
 それは溜め息ではない、深呼吸であった。
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