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デューイ

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アキラが去った後、魔王城謁見の間にて‥‥

「魔王さま‥‥」

 「‥‥」

デューイが魔王に話しかける。
しかし、魔王は王座に座り漫画本を読みふける。

 「あの‥魔王様ー?」

 「なんだデューイよ、私は忙しいんだ」

 魔王はページをめくる手を止めない。

 「魔王様、私との約束忘れてないでしょうか?」

 「‥‥‥約束?」

 魔王は漫画から顔をあけでデューイをみつめる。
 約束?そんなものしたっけ?と顔をしかめる魔王。
それを見てもっと顔をしかめるデューイ。

 「私の娘の件ですよ!!ここにつれてくるって!それに復讐も!」

 静寂がこの部屋におとずれる。

しかしその沈黙を破るは顔を真っ赤に染めた魔王。

 「ふっ、私は魔王だぞ?魔王?わすれるわけなかろう」 

 「なにがふっ、だよ!馬鹿野郎!完全に忘れてただろーが!羞恥で顔まっかだろーが!」

 「貴様っ!魔王にむかってその態度!万死にあたいするぞ!」

 「黙れ!嘘つき!」

 「っ‥‥‥ジ、ジーヤいるかぁー!!」

 「はい、ここに!」

 「今からゴブリン共をかき集めてアキラの元に向かわせろ!そしてデューイの娘と母、その旦那をとらえてゴブリンに送らせるように頼め!」

 「しかしいいのですか?勇者討伐の大役が彼にはあるのでは?」

 「勇者討伐にくらべればこんな任務些末なことよ。」

 「はぁ、わかりましたすぐに手配します」

ジーヤが去るのを見届けて魔王グランドはドヤ顔をデューイに向ける。

 「どうだ?魔族は約束を守る!ましてや私は魔王だしな!安心するがいいデューイ!ハッハッハー」

ジト目で魔王をみるデューイ。

この日から魔王が謝罪するまで魔王を無視し続けるデューイであった。
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