ノースポールが咲く場所で…

mitokami

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ノースポールが咲く場所で…

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 季節の良い時期には、丘一面に広がる花畑だった場所。今は新雪が薄っすら降り積もり、世界を白く染めている。

 周囲は次第に段々と暗く成り、風に転がる粉雪が今現在の、その場所の寒さを物語っていた。

 それなのに、そんな場所に2人の子供が暖かそうな恰好をさせられて馬車から降り、雪で白く染まった野原に走り出て来た。

 暫くすると、1人が「ダメになったのしかない!」と理不尽に怒り、「はなばたけのくせに!」と地団駄を踏みはじめる。もう1人は、相手の扱いに困った様子ながら「わたし、さがしてみます!」と俯きながら他にも花が咲いていないか?と、季節外れの花畑を歩き回りはじめた。

 こんな寒い季節に花を残しているのは…、他の花より背が高くて寒さに強い…白くて小さなキク科の花だけ……。この場所で残っていたのは、ノースポールと言う中心が黄色い、3㎝程の白い小菊だけだった。でも、残念な事に、今はその花も冷たい夜風に吹かれ、花弁を幾らか散らし、枯れ掛けている。

 それでも、「さがしてみます!」と宣言した方の子は、スカートの裾が濡れてしまうのも構わず、立ったりしゃがんだりして必死に花を捜し求めていた。

 夜の野原に突風が吹き、花畑に残された白い小さな小さな花弁がまた舞い散った。夜風に乗って白い景色を撫でるかの如く、粉雪と共に白い花弁が舞い上がる。

 その夜空に散った花弁に手を伸ばしたのは、まだ諦めずに花を捜し求めていた少女。
濡らしたくなくて真っ白い毛糸のミトンを外した白く穢れを知らない幼い手が、風に運ばれて行く花弁を追う。けれど、真っ白い花弁は夜風に乗って、その掌をすり抜け何処かへと運ばれて行ってしまった。
そして、その幼い少女の視線は、花弁を追って薄曇りの夜空へと向けられる。

 夜空に浮かぶのは、明るく大きな満月。
花弁を追って満月を発見した少女が、フワフワの毛皮が付いたフード付きの上着の裾と暖かそうで上等な布地のスカートの裾を翻して、花が咲いていない事を嘆く少年の方に振り返り、少年の名を呼び「そらをみあげてみてください!」と声を掛けた。

 花を見付けられずに不貞腐れていた少年は、自分の名を呼んだ少女の方に目を向け、月明かりを浴びて少女のシルエットに驚く、それがとても綺麗だと思って驚いたのだ。そして、少年には月の色に染まった少女が自分に微笑み掛けているかのように見えていた。


 突然だが、これは、とある平民出身の少女ヒロインが、物語の回想シーンの一つである。勿論、少年とは、平民出身の少女ヒロインが攻略すべき王子様の事だと言う事は語らずとも分かるかと思う。

 だがしかし、少し考えれば、服装から見てが平民出身の少女ヒロインでは無い事に気付けただろうに、オバカな攻略対象の王子様は、が、平民出身の少女ヒロインだと信じて疑わなかった。
憶測に成るが、平民出身の少女ヒロインも否定しなかったのだろう。

 物語の舞台である学園に平民出身の少女ヒロインが入学して暫くすると、彼女は攻略対象な王子様の初恋の相手として、その攻略対象である王子の隣を陣取って腕を絡ませ微笑んでいた。

 幾度もループした時間枠の中で、王子の幼馴染で婚約者でもあった漆黒の髪と黒い瞳を持つ侯爵令嬢は、ウンザリした御様子でオバカな王子と平民出身の少女ヒロインの仲睦まじい光景を見詰めて、悪役を押し付けられている立場が故に、重苦しい溜息を吐いた。

 平民出身の少女ヒロインと攻略対象の王子様2人が出会い。ノースポールの花が咲く頃に成ると、何時も、その2人は、悪役令嬢を断罪して自分達を幸せにするのだ。
この時、悪役令嬢の罪が冤罪であっても無罪には成らず。平民出身の少女ヒロインの幸せを願う者達の尽力で100%の有罪として処理され、平民出身の少女ヒロインの幸せを願う者達の手によって悪役令嬢は断罪さる。断罪された後は、悪役令嬢側の人間からの報復や仕返しを恐れ、悪役令嬢を含む一族諸共皆殺しにされてしまう事が物語の中で確定していた。
この世界では、悪役令嬢が誠実であろうが高潔であろうが関係無いのが当たり前だった。

 だけど、だからこそ悪役にされた侯爵令嬢は、ループに気付いてから何度も何度も無駄な抵抗をし、その度に、醜悪に成って行く少女ヒロインの巧妙な罠に掛けられ、馬鹿に拍車が掛って行く王子様には、煮え湯を飲まされ続けてきた。

 そして、とうとう、また、何時もの通り、悪役にされ続けてきた侯爵令嬢は毎度の事ながら断罪を受ける事と成る。でも今回は、今までとは少しだけ違う。次回のループからは、何の得にもならないプライドや後半から使いモノに成らなく成る体裁などは、最初からかなぐり捨ててしまう決意を固めたのである。

 そんな訳で、何時もの断罪と何時もの処刑が全て終わり、振出しに戻る。

 雪が降る程寒く成った時期の出来事。その出来事の後に…、御当人である王子様は高熱を出して詳細の殆どを忘れてしまうと言うのに…、そんな王子の我が儘で、野草の花を摘みに行くのへ…拒否権無しで無理矢理に侯爵令嬢が付き合わされた…とある寒い日の夜の出来事……。

 侯爵令嬢は枯れ掛けのノースポールを手折り、ループの開始位置に辿り着いて振り返って、ノースポールを握り締め、握り潰し、王子を見て静かに笑う。
この恨み、今回こそは晴らす!もう、取り置きはしない。絶対に復讐してやる!と決意を新たに王子の名を呼び「そらをみあげてみてください」と決められた台詞を口にする。彼女はこの時、侯爵令嬢自身の艶やかな黒髪や漆黒の瞳を白く輝く様に照らし出す月に「絶対に運命を変えやる」と、固く固く誓ったのだ。

 翌日、侯爵令嬢が決意を誓った場所には…、その日に侯爵令嬢が着ていた衣服と片方失くした白い毛糸のミトン、その上に侯爵令嬢が繰り返しに気付く前に持っていた幼い恋心が故…自分の為に作らせた…王子と自分の姿が並んで描かれた肖像画入りのロケットペンダントを叩き付ける様に投げ入れた…小型の石の棺を深く深くとっても深く埋め…、それを掘り返されぬように、その上に無地の大きな石碑付きの墓を御小遣いの全て使って作って貰って…自らの決意を形に残した……。

 そこからは、侯爵令嬢が今までしていなかった子供らしい力業を投入する。
風邪をひいて熱を出した王子の御見舞の序に、「王子が銀髪の少女と私を比べるから」と言う名目を基に、国王と王妃の前で恥も外聞も無く「もう、耐えられない!」「王子の婚約者でいるのは嫌だ!!」と王子を真似て泣いて地団駄踏んで、床に転がって喚いてまた泣いて婚約の破棄を願い出てやったのだ。
家では、父親に殴られようと母親に命令で食事を抜かれようと「嫌だ!嫌だ!」と逆らい続け、程良く肌や髪質が傷んだのを見計らい痣と傷を自分で付けて家出を決行。侯爵令嬢は「助けて下さい!」と教会に逃げ込んで出家を目論んだ。

 結果、王子もどうせなら[月夜に出会った銀髪の少女]とやらを婚約者にしたいと言った為、侯爵令嬢は婚約者から婚約者候補へと立場を下げる事に成功した。

 その後、暴れ泣き喚いて行儀見習い扱いで教会に居残り、シスターに成る為の準備を着々と進めていたのだが、物語の強制力と言うヤツなのだろうか?それとも、侯爵令嬢が嫌がりが過ぎてしまったからなのだろうか?王子の他の婚約者候補達も「婚約者候補の中に、自分が好きになれる者は居ない」「自分には思い人がいる」と宣言する王子との婚約を嫌がり、続々と辞退してしまって、一番最初に辞退した侯爵令嬢が王子の婚約者に戻され、物語の舞台である学園に強制的に入学させられる事に成ってしまった。

 侯爵令嬢は切れ気味に、公衆の面前で「あ~もう、アナタの婚約者だなんてホント、冗談でも笑えませんわ!」と仁王立ちで婚約者である王子の前に立ちはだかり「どの様な子でも構いません!さっさと自分自身で婚約者候補を捕まえて私を御役御免にして下さいまし!」と宣言する。その上で「嫌いな相手に嫁がされるくらいなら、神に嫁ぎたい」「シスターに成りたい」と公言し続けていた。

 そうこうしている内に、銀髪で満月の様な色合いの瞳を持つ平民出身の男爵令嬢ヒロインが学園に入学して来た。
入学前から男爵令嬢ヒロインの噂を耳にしていた王子は早速、彼女ヒロインを目で追い、男爵令嬢ヒロインも王子を気にしている御様子な事は毎度の事。
今回も案の定、今までと同じく王子と男爵令嬢ヒロインに距離を縮め、一緒に下校して行った。

 数日後、王子と男爵令嬢ヒロインの仲が[運命に引き離されていた恋人同士である]と噂され始めた頃。
侯爵令嬢は「相手も決まった事ですし、婚約破棄して下さいませ!」と、王子に言う為、目撃証言の人数と目撃者を明確にする目的で、一番多くの生徒が講義を受けている授業の時間に婚約者である王子の元を直撃した。

 今回の侯爵令嬢は、婚約破棄を絶対に諦めない。
婚約破棄を了承したと確信が持てる言葉が出るまで「婚約破棄して下さいませ!」「直ぐに婚約破棄して下さいませ!」「取り敢えず婚約破棄して下さいませ!」「今直ぐ婚約破棄して下さいませ!」と言い続け、王子の「分かった…オマエの気持ちは分かったから……」で「分かってくれましたか?婚約破棄を了承して下さいましてありがとうございますぅ~」と走り去り、学園長に[婚約破棄]を報告。両親と国王にその旨をしたためた手紙を出して学園を抜け出し、早速、学園の近所で売れるモノは全部売り払い。その金を元手に旅支度を整え、乗合馬車で隣国の神殿を目指して旅立つのであった。

 ここまですれば、冤罪は免れるだろう。と、侯爵令嬢は思っていたのだけど、世の中、そうは上手く行かないらしい。
乗り換えの町で乗り換えの馬車を待っていたら、冤罪を掛けられた時と同様に、王子が侯爵令嬢を追って来ていた。冗談でも笑えない状況だ。

 捕まったら終わる。そう思った侯爵令嬢は待っていた馬車を諦め、追手を警戒して馬を借りるのも、歩きやすい街道を歩くのも諦めて、徒歩で森の中を進んだ。
そして、何処かで道を間違えたのか?子供の頃、無理矢理連れて行かれた花畑に辿り着いてしまっていた。強いて言えば、迷子に成ってしまっていたのである。

 嘗て、月を見上げた少し小高い丘の様になった場所には…、今では、侯爵令嬢が立てた墓の石碑が…無い?何故に?如何して……。
不思議に思った侯爵令嬢は小高い丘を登り、随分前に丘から転げ落ちたのであろう石碑と、最近に掘り返されたであろうからに成った深い深いとっても深い墓穴を発見する。

 今回の平民出身の男爵令嬢ヒロインは、教会に寄付された古着を手に入れるでも、教会への寄付を禁止して使用人に下げ渡した古着を使用人から買い取るでも、作り変えられたから、焼き捨てられたから似た物を偽造してしまうのでもなく、今回は自分が月夜に出会った銀髪の少女であると言う証拠を手に入れたのだろう。と、侯爵令嬢は思った。だから侯爵令嬢は、決意を新たに本気で逃げた。

 こうして逃げて逃げて逃げた先。一度逃げ切って隠れた侯爵令嬢の逃亡先は、何の因果か?あの花畑より沢山のノースポールが咲き誇る花畑の近く、山中の粗末な山小屋であった。

 そんな場所へ隠れ住んで数か月。
最近では、薄っすら積もる新雪の御蔭で他の花は無く、中心が黄色い3㎝程の白い小菊が枯れ掛けで残っている程度だ。

 侯爵令嬢は出家を目論んで逃げ込んだ教会の御蔭で粗食に成れ、野草を積んで食べる事にも成れていたから今までやって来られたが、そろそろ、そんな生活にも限界が訪れていた。そろそろ、山を下りて人里に行かねば餓死や凍死の危機が迫って来ている。
その為、明日に向けて、移住する為に必要な下山の支度をしていると、何者かが山小屋の戸を叩く音が聞こえて来た。この山小屋を管理する猟師の人であろうか?

 侯爵令嬢が手を止め、山小屋の扉を開けてみると、そこには王子とプレートアーマーをフル装備した御供の数人が立っていた。
それは侯爵令嬢が絶望して、その場に崩れ落ちるに足りる衝撃的な出来事であった。

 だけどここで倒れる訳にはイカナイ。侯爵令嬢はすんでの所で踏み止まり、王子を睨み付け、王子が怯んだ所で、自らを支えた扉を勢いよく閉め、表の扉の戸締りをし、下山用の荷物を引っ掴み裏口へ行ったのだが、そこには伏兵が立ちはだかっていた。侯爵令嬢が万事休す。と思っていたら「御令嬢、無理矢理に捕まえて連れて行ったりしませんから、話だけでも聞いてやってくれませんか?」と言われ、後ろを向かされ、背中を押され、さっきまで居た扉の前まで連れて行かれた。

 今回は、侯爵令嬢を断罪する為に迎えに来たのでは無いのかもしれない。
扉の向こう側から、王子が何故か侯爵令嬢に対して何やら謝罪の言葉を並べている。それは最初、ハッキリした言葉だったが、次第に啜り泣きが入り混じり、鼻声に成り、最後の方は聞き取り不能の嗚咽交じりの言葉に成って行った。

 何事だろうか?困惑した侯爵令嬢は扉を開け、話を聞く事にする。但し、王子が普通に話せるまで少々時間が必要で、潺で顔を洗わせ落ち着かせをしている間に、気付けば夕方に成ってしまっていた。

 ここで、では、また明日。とは言えないのが山中の山小屋。
侯爵令嬢は下山できなくなった彼等に対して大きな溜息を吐きながら「野草しかありませんよ?」と、ナケナシノ食材と言う名のそこらへんで発見した芋の蔓を干したモノやら、食べられる根っこを干したヤツ、食べられる野草の葉っぱ等を適当に放り込んで煮ただけの薄い塩味のスープを提供。侯爵令嬢自ら食べて安全性を証明して、それだけで夕食を済ませた。

 因みに…、騎士だから…武器を持っているから…と言って…、王子の御供の彼等に…動物を狩る術は無く…、若しかしたら、それを食べられるように処理する能力も無いかも知れない…と言う残念な現実に直面…、当たり前か?の如くに王子も何の役にも立たない現実にウンザリ……。然も彼等は無防備にも、馬に乗ってとは言え、山を登ると言うのに水も食料も無く、山小屋まで来ていたのだ。

 侯爵令嬢は仕方無しに積極的に働く、馬の食料も自分達で準備できない騎士達の代わりに、寝床用の干し草を馬に食べさせ、騎士達に指示して洗濯用の桶に馬の飲み水を準備させるのであった。

 そんな残念な騎士と残念過ぎる王子と馬達の面倒を見て疲れた侯爵令嬢に対して、残念騎士と残念王子が、山小屋での侯爵令嬢の生活環境に同情して来たので侯爵令嬢は余計に疲れてしまう。疲れはしたが、王子の話を聞いてやらなければ、話は終わらない。

 奇しくも今夜は満月。今年も雪が降り始め、ノースポールが咲く花畑にも新雪が薄っすら降り積もり、世界を白く染めはじめている。
2人きりで話をする為に花畑に王子を連れ出した侯爵令嬢は、12年前の光景を思い出して苦笑しながら振り返った。

 そこで、王子は12年分大人に成った本物の[月夜に出会った銀髪の少女思い人]と再会を果たし、また泣いて、侯爵令嬢に謝罪しながら泣き崩れてしまう。物語のヒロインならば、こんな時、全てを許すのだろうけど彼女悪役令嬢には無理な相談だった。
侯爵令嬢は王子の受け入れたけど、受け入れる事は到底できようが無かったのである。

 繰り返し繰り返されるループの中で王子への愛は摩耗して擦り減り、残骸も欠片すらも消えて無くなってしまっていたから仕方が無い。今回の繰り返しと今の情けない姿を見て、憤りも憎しみも消え、何も無く成ってしまったので、ドウシヨウモナイ。
だから、侯爵令嬢からの答えは「許しますので帰って貰って良いですか?寧ろ、夜明と共に御帰り下さい」だった。

 翌朝、翌朝まで起きて必死で寝ている侯爵令嬢の背中に向かってに「一緒に帰って欲しい」と一人で話掛け続けていた王子は寝落ちし、侯爵令嬢は王子が寝た頃に目を覚ます。
彼女は身支度を整え、騎士達に挨拶して下山するのだが、そこに侯爵令嬢を引き留め「話だけでも聞いてやってくれませんか?」と申し出た騎士が一人で付き添った。

 その騎士は、その山小屋のある地域の貧しい領主の末っ子で、冬越しの場所を提供する代わりに、侯爵令嬢が料理に使った食材の事を聞きたがり、侯爵令嬢を実家に引き留める事に成功。その後、騎士はずっと侯爵令嬢と行動を共にし、春には侯爵令嬢が料理に使った食材を一緒に畑で育て、一緒に野草を野菜として広め、ノースポールが咲く月夜に、何時の間にかループから抜け出していた侯爵令嬢との幸せを手に入れていた。

 その代わりに、侯爵令嬢の知らぬ所で、侯爵令嬢の立場を手に入れた平民出身の少女ヒロインは、王子が持ち帰った証拠により、証拠が偽物であると発覚して王子の心を逃し、王子の嫁と言う立場だけ手に入れ不幸に成る。
王子も本物の初恋の相手が葬った品を宝物にして、幸せにはなれなかったらしい。

 余談。
侯爵令嬢と騎士の間に生まれた娘が、ノースポールが咲く花畑で王子と出会い「王子様でもオジサンはちょっと…」と振られ、初恋の相手に普通に気持ち悪がられるまで、後、何年残っているだろうか?と言う状態だったりしたりするのは、また、別の御話。
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