転生したら悪の組織の幹部だったけど、大好きなヒーローに会えて大満足だった俺の話

多崎リクト

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焔⑥変身を解いた甲斐の顔が青ざめている

 
「…………ブリザード様の前で何てことを」

 変身を解いた甲斐の顔が青ざめている。
 甲斐の上司の登場に思わずイラついてしまい、上司の前で甲斐をさらってしまった。
 焔は微塵も後悔していないのだが、甲斐の方は後悔しているらしい。だったら焔の手なんて取らなければよかったというのに。

 焔の方はというと、機嫌がいい。甲斐が上司の前で自分を選んでくれたからだ。

「別にいいじゃん、ブリザードなんて。甲斐には俺がいるだろ?」

「全然良くない。このままだと俺はクビだ…………フレイムと戦えなくなる」

 フレイムと、という言葉に引っ掛かる。最近気がついたのだが、甲斐は焔よりフレイムの方が好きなんじゃないだろうか。


「甲斐はさ、俺とフレイムどっちが大事なの」

 だから、そんな、仕事と私どっちが大事なの、みたいな質問をしてしまった。
 いや、仕事とは違うか。アイドルと私、とかだろうか。
 そんな焔の嫉妬には気づかず、甲斐は相変わらず落ち込んでいた。


「……フレイムも正岡も、どっちもお前だろ…………はあ、ブラックナイトのポジションを誰かに譲るなんて、絶対やだ」

「甲斐、それ、告白してるみたいなものだけど」

「――は!?」

 だって大好きなフレイムと焔を別の存在にせず、同じものとして扱ったら、焔のことも大好きだと言っているようなものだ。
 指摘すると甲斐の顔が真っ赤に染まる。

「いや、でも、…………フレイムは好きだけど、でも正岡も同じだし……」
「もしかして俺のこと好きだから突き放せないんだ?」
「……そりゃ、好きだけど、お前みたいに恋愛とかじゃない」
「じゃあ甲斐は好きでもない男に足を開いて気持ち良くなっちゃう淫乱なんだ」
「ちがっ」

 このまま押せばいける気がしたのでぐいぐいと迫る。甲斐の顔は可哀想なくらい真っ赤になって涙ぐんでいる。だからもっと苛めたくなってしまったというのもある。

「もしも、俺が、甲斐じゃない誰かと戦って、負けたらどう思う?」
「…………悔しい」
「だからブラックナイトを辞めたくないんだ?」
「……うん」
「じゃあ俺が、甲斐じゃない誰かと付き合ったらどう思う?」
「――ムカつく」
「何で?」
「俺のことを振り回しておいて、捨てるのかと思ったらムカつく」
「そんなこと絶対ないから、泣かないで」
「泣いてない」

 瞳を潤ませながら怒る甲斐を、可愛いなあと思う。
 嫉妬して、自分以外にこの大事なポジションを譲る気がなくて、そんなの恋愛だと思うのだけど。気持ちいいからってだけで足を開くような淫乱じゃないってことは焔がよくわかっている。

 もしかしたら、フレイムへの憧れを、恋愛と間違えているだけなのかもしれないけど。それでもいい。これからうまく勘違いさせよう。

「……ブラックナイトがクビになることはないと思う」
「絶対無理だ」
「大丈夫、ブラックナイトは、フレイムの弱点なんだから」

 いつでも辞めていいと思っていたフレイムだけど、こうして甲斐が独占欲を発揮してくれるのなら、もう少し続けてもいいかなと思えた。
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