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番外編
誕生日の話①10/2甲斐の場合
『なんていうか、それはちょっと違うな。解釈違い?たしかにその……付き合ってるけど、フレイムは推しであって、プライベートとは別っていうか。公私混同は良くないというか。とにかくフレイムに本名呼ばれるっていうのは違うな』
『でも47話で呼んでたよね?公式だよ』
『あれは正体バレるシーンだし、ドシリアスだろ……うーん、だからこそ呼ばれたくないのかも?今からあの脚本に戻るのは無理があるけど、やっぱりあいつを残して死ぬのは嫌だし』
『もう正体バレてるんだから今更では?』
付き合って初めての誕生日。やはり特別なものにしたい。
甲斐の大好きなフレイムの姿でお祝いの言葉を言うのはどうだろうと考えた焔だったが、念の為星野光を使って確認しておいて良かった。フレイムの力を借りるというのもあまり気が進まなかったのでちょうど良かった。
だが、他にいい考えが浮かばないのも事実だ。
甲斐なら何だって喜んでくれるだろうけれど。だからこそ慎重になる。
そうしてやっと選んだのは財布だった。
「……ありがとう」
何故か甲斐はどこかビックリしたような顔で、その財布をじっと見ている。あんまり嬉しそうではない気がする。
「気に入らなかった?」
もっと違うものを用意すればよかった。それか財布にフレイムの写真でも入れておけばよかったのか。でもそれだとちょっと悔しいというか。
「いや、嬉しい。ありがとう…………その、お前なら、指輪とか渡してくると思って……ビックリしただけだ」
甲斐の顔は真っ赤で。左手の薬指を無意識に撫でていて、つまり、そこに指輪をはめられる期待をしていたということでいいのだろうか。きっとそうだろう。
「……本当は指輪をあげたかったんだけど、いきなり重いかと思って」
「今更だろ」
「そっか」
本当はその指に自分のものという印を贈りたくて。寝ている甲斐の指のサイズを測ったり、どんな指輪を贈ろうかと妄想したりもした。
同時にこの独占欲を拒まれたらどうしようとも思って。結局指輪は買えず、せめていつも使って貰えるようにと財布を選んだのだった。
「……お前の誕生日、クリスマスだったよな」
「そうだけど」
「プレゼント、指輪だから。覚悟しとけよ」
そう言った甲斐は耳まで朱に染まっていて、焔はただその愛しい人を抱きしめた。
「甲斐、誕生日おめでとう…………生まれてきてくれて、ありがとう」
プレゼントを渡して、二人でケーキを食べて、他愛のない話をして。
「指輪はまだないけど、代わりに俺をあげるね」
財布のラッピングに使われていたリボンを髪に無理矢理結んでみると、甲斐は耐えられずに笑いだした。
「似合わない…………っ」
そんなに笑わなくても。甲斐はしばらく笑い転げていて、焔はそれをリボンをつけたまま眺めていた。こんなに笑う甲斐は珍しいし、何より可愛い。でも笑われているという状況が何とも悲しいような。
甲斐はしばらく笑っていたが、やっと落ち着いたのか、目尻に流れた涙を拭っている。
「もう、とっくに貰ってる」
今日の甲斐はやたらとカッコイイ。
「……そうだった」
焔はとっくに甲斐のもので、甲斐もまた焔のもので。
「もっと、貰ってくれる?」
小さく「いいよ」と答えた恋人を、いそいそとベッドへ運ぶことにした。
『でも47話で呼んでたよね?公式だよ』
『あれは正体バレるシーンだし、ドシリアスだろ……うーん、だからこそ呼ばれたくないのかも?今からあの脚本に戻るのは無理があるけど、やっぱりあいつを残して死ぬのは嫌だし』
『もう正体バレてるんだから今更では?』
付き合って初めての誕生日。やはり特別なものにしたい。
甲斐の大好きなフレイムの姿でお祝いの言葉を言うのはどうだろうと考えた焔だったが、念の為星野光を使って確認しておいて良かった。フレイムの力を借りるというのもあまり気が進まなかったのでちょうど良かった。
だが、他にいい考えが浮かばないのも事実だ。
甲斐なら何だって喜んでくれるだろうけれど。だからこそ慎重になる。
そうしてやっと選んだのは財布だった。
「……ありがとう」
何故か甲斐はどこかビックリしたような顔で、その財布をじっと見ている。あんまり嬉しそうではない気がする。
「気に入らなかった?」
もっと違うものを用意すればよかった。それか財布にフレイムの写真でも入れておけばよかったのか。でもそれだとちょっと悔しいというか。
「いや、嬉しい。ありがとう…………その、お前なら、指輪とか渡してくると思って……ビックリしただけだ」
甲斐の顔は真っ赤で。左手の薬指を無意識に撫でていて、つまり、そこに指輪をはめられる期待をしていたということでいいのだろうか。きっとそうだろう。
「……本当は指輪をあげたかったんだけど、いきなり重いかと思って」
「今更だろ」
「そっか」
本当はその指に自分のものという印を贈りたくて。寝ている甲斐の指のサイズを測ったり、どんな指輪を贈ろうかと妄想したりもした。
同時にこの独占欲を拒まれたらどうしようとも思って。結局指輪は買えず、せめていつも使って貰えるようにと財布を選んだのだった。
「……お前の誕生日、クリスマスだったよな」
「そうだけど」
「プレゼント、指輪だから。覚悟しとけよ」
そう言った甲斐は耳まで朱に染まっていて、焔はただその愛しい人を抱きしめた。
「甲斐、誕生日おめでとう…………生まれてきてくれて、ありがとう」
プレゼントを渡して、二人でケーキを食べて、他愛のない話をして。
「指輪はまだないけど、代わりに俺をあげるね」
財布のラッピングに使われていたリボンを髪に無理矢理結んでみると、甲斐は耐えられずに笑いだした。
「似合わない…………っ」
そんなに笑わなくても。甲斐はしばらく笑い転げていて、焔はそれをリボンをつけたまま眺めていた。こんなに笑う甲斐は珍しいし、何より可愛い。でも笑われているという状況が何とも悲しいような。
甲斐はしばらく笑っていたが、やっと落ち着いたのか、目尻に流れた涙を拭っている。
「もう、とっくに貰ってる」
今日の甲斐はやたらとカッコイイ。
「……そうだった」
焔はとっくに甲斐のもので、甲斐もまた焔のもので。
「もっと、貰ってくれる?」
小さく「いいよ」と答えた恋人を、いそいそとベッドへ運ぶことにした。
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