上 下
8 / 12

双子は寂しがり

しおりを挟む
最近、双子の兄、コムギは悩みがあった。それは、弟のコユリがこのところずっとアオイと寝ている事だ。
実はコムギはコユリが大好きで、夜同じ布団で寝るのが幸せだった。なのに、いつもアオイとレンの寝室へ行ってしまう。それがコムギの悩みだった。しかし、甘えるのは苦手。そのため、毎晩どうすれば兄と寝られるか考えていた。
「ねぇ、コユリ・・・」
「なに~?」
「・・・・何でもないや」
「そっかぁ」
今日もダメだった。何度これを繰り返しただろう。気づけば、涙が落ちていた。勇気を出して、声を絞り出す。
「・・・コ・・・ッユリ!」
「ん・・・って、どうしたの?大丈夫!?」
「・・・・いで・・・」
困惑するコユリに、コムギは申し訳なくなった。だが、今日を逃したらずっと一緒に寝られない気がする。
「行かないで」
声を振り絞ってそう口にした。
「・・・・コムギ」
コユリは、コムギを抱きしめた。そのまま軽くキスをする。
「毎日寂しくてっ!一緒に居たくてっ」
コムギは泣きじゃくる。金色の髪を、コユリはそっと撫でた。しばらくそうしていると、コムギが落ち着いた。
「もう、そうならそうと言ってよね。一緒に居てあげるから」
いつもは元気いっぱいでコムギを振り回すコユリが、今はコムギを慰めている。コムギは、このいつもとの違いが大好きだった。いつも、泣いてしまった時は、こうして抱きしめてくれた。
「大好きだよ。コムギ」
「・・・・僕も」
2人はお互いを抱きしめ、布団に寝っ転がった。手は繋いだまま、キスを繰り返す。2人は、寂しくない夜を過ごしたのだった。




翌日。
「あれ・・・」
朝一番に起きたアオイは異変に気付いた。双子2人が、裸で寝ていた。アオイは騒がずに察した。
(そういう関係だったのかぁ・・・ふーん)
アオイはにやにやと笑い、朝食の準備をした。
しおりを挟む

処理中です...