僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

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おじさんは何の門番?

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前鬼のボスが役小角(えんのおづの)らしいのだが、武は役小角のことを知らない。
役小角が分からずに話が進んでいくのは屈辱的だ。
なので、武は恥を忍んでお菊さんに聞いた。

「お菊さん、役小角って誰なの?」

「武くん、知らないの? あんなに有名な人なのに?」

「聞いたことないなー。僕の日常生活には出てこない人だよ」

「役行者様は飛鳥時代に有名になったんだ。当時の人は、鬼神を使役できるほどの法力を持っていたと伝えている。でもね、行者様は私と同じなの」

「妖怪ってこと?」

「うーん、説明が難しいな。人間は自分たちが理解できないものに対して特別な呼称を使うのよ。私のことを幽霊と言ったり、妖怪と言ったりするよね?」

「そうだね。じゃあ、妖怪じゃないなら何なの?」

「私たちの世界では普通の人よ」

「あのおじさんも?」
武はそう言うと前鬼を指さした。

「そうよ。私たちは地球とは別の惑星に暮らしている人類なの」

― 地球外生命体きたー

武の頭はSF映画で一杯になった。

「じゃあ、お菊さんはエイリアン(宇宙人)?」

「エイリアンよ。地球外生命体という定義では」

「あのおじさんも?」

「エイリアンよ」

― エイリアン・・・

武は考えを整理することにした。

お菊さんはエイリアン。
前鬼もエイリアン。
役小角もエイリアン。

エイリアンの役小角はエイリアンの前鬼の上司。
前鬼は地球外惑星の会社に働いているサラリーマン。

役小角はその会社の課長? 部長?

疑問に思った武は前鬼に聞いた。

「役小角は課長なの? 部長なの?」

「え? 課長? 部長?」
前鬼は返答に困っている。

前鬼は武の思考を整理しているようだ。

― なぜこの子供は役行者様を部長と思ったのか?

地球人の発想は前鬼には理解しにくい。
しばらく考えても分からなかったから、前鬼は武に聞いた。

「なぜ役行者様を部長だと思った?」

「だって、おじさんは別の惑星のサラリーマンでしょ。役小角はおじさんの上司だから、偉い人かと思ったんだよ。違う?」

「部長ではないな。それに俺はサラリーマンじゃない。国境警備隊だ。そして、行者様は国境警備隊の隊長だ」

「へー、軍隊なのかー」

武は前鬼たちの組織を理解したようだ。
武は改めて今の状況を整理し始めた。

国境警備隊が警備するのは国境。
国境警備隊の前鬼がここにいるということは・・・

― ここに国境がある?

武は前鬼に尋ねた。

「おじさんは国境を警備してるんだよね? ここに国境があるの?」

「ああ、あるぞ。これだ!」

前鬼はそう言うと、自分の後ろにある銅像を傾けた。

“ゴゴゴゴゴゴゴー”

すると、銅像の後ろにあった門が開いた。

米沢市の研究所でも同じようなことがあった。
武には既視感のある光景だ。

「また、ダンジョンが出てきたー」猫は喜んでいる。

「ここで話していると目立つから、中で話してもいいか?」と前鬼は言った。

武はお菊さんの方を見た。お菊さんは「いいよー」の表情をしている。

「いいよ。中に入ろう」と武は言った。

「じゃあ、ついてきな」
そう言うと前鬼は門の中に入っていった。

武、お菊さんと猫は前鬼に続いてゲートをくぐった。
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