僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

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国境警備隊長 役小角

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武たちに助けられた前鬼は、倒れているピーチ・ボーイズの2人を連れて警察官のところへ向かった。
警察官は、何もしていないのにピーチ・ボーイズが次々と倒された状況を不思議に思っていたのだろう。前鬼に救出された経緯を尋ねた。

「何があったんですか?」

「あの2人に助けてもらったんです」
前鬼はそう言うと武とお菊さんを指さした。

「あの女性と少年ですか?」警察官は前鬼に言った。

「そうです。ピーチ・ボーイズを倒したのは少年の方で、女性は保護者のようなものです」

「小さいのに凄いですね。話を伺っても大丈夫そうですか?」警察官は呑気に言った。

「大丈夫だと思います。ただ、変な言葉遣いを使わないように気を付けて下さい。あの二人は科学者です」
前鬼は2回殺されかけた経験から警察官に助言した。

「なるほど。科学者ですか・・・。言葉遣いには気を付けます」

警察官が武とお菊さんのところにやってきた。
ピーチ・ボーイズは逮捕したからこの事件は解決済みだ。
警察官は形式的に状況を確認しようとしている。

「ピーチ・ボーイズ逮捕のご協力、ありがとうございました」と警察官は武とお菊さんに言った。

「いえいえ。前鬼が捕まっていたのをテレビで見て、この子が助けに行くと言い出しまして・・・。家も近くでしたから」とお菊さんは答えた。

「そうでしたか。幸い犠牲者も出ませんでしたし、良かったです」

「ところで、5人の中にピーチ・ボーイズのリーダーはいたの?」とお菊さんは尋ねた。

「それが・・・、残念ながらリーダーのダグラス・ピーチはいませんでした」

「そうなの。じゃあ、根本的な解決にはならないわね」

「でも希望はあります。ピーチ・ボーイズのメンバー5人を逮捕できましたから、奴らのアジトや組織が明らかになると思います」と警察官は言った。

「そうなれば良いわね」

その後、お菊さんが警察官に連絡先を伝えて状況確認は終了した。
武とお菊さんが実家に帰ろうとすると前鬼が呼び止めた。

「ちょっと待って下さい!」

「どうしたの?」お菊さんは前鬼に聞く。

「今回の件はありがとうございました。それで、もしお時間があれば一緒に来てほしいところがあるんです」と前鬼は言った。

「まあ、デートの誘いかしら?」

「違います。それに私は妻帯者ですから・・・」

「冗談よ。それで、どこなの?」

「国境警備隊の隊長を紹介できないかと思いまして」

「行者様?」

「そうです。地球との関係もありますから、一度会ってもらえませんか?」

「私はいいわよ。武くんはどうする?」お菊さんは武に聞いた。

「別にいいよ。暇だし」と武は答えた。

***

武とお菊さんは、前鬼が運転する飛行車に乗って大きなビルにやってきた。
古いが大きなビルだ。正確な階数は分からないが、100階以上はあるだろう。

武がビルを見上げているとお菊さんが「大きいでしょ?」と言った。
武は「大きいね」とお菊さんに答えたが、頭の中は耐震構造のことで一杯だ。

「このビルの耐震構造はどうなってるのかな?」

「ビルの大きさよりも耐震構造の方が気になるんだ。武くんらしいね」お菊さんは笑いながら言った。

武たちはエレベーターでビルの最上階に上った。
廊下を歩いて突き当りの部屋に着くと、前鬼はドアをノックした。
「入りたまえ」と声が聞こえると前鬼は武たちを部屋の中に案内した。

部屋の中にはスーツ姿の初老の男性が立っていた。
黒縁メガネをかけてネクタイをしている。
見た目は会社の管理職のおじさんだ。

武たちが部屋に入ると、初老の男性はソファーに座るように勧めた。
全員がソファーに座ると、初老の男性はスーツの内ポケットから名刺を取り出し、武とお菊さんに渡した。

“国境警備隊長 役小角”

役小角は管理職のおじさん。
浮世絵に出てくる修行僧の雰囲気はなかった。
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