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第2回活動報告:カルテルを潰せ

<閑話>ルイーズの解説:第2回活動報告

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※ここでは、本章で登場した用語についての解説をしています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばして、次に進んでください。



私の名前はルイーズ。ジャービス王国の総務省で働いている。大学の同級生のダニエルに誘われて、総務省に入省してそれなりの年数が経つ。年齢が分かるから、入省何年目かは聞かないでほしい。

第2回活動報告では、先物(さきもの)という専門用語が出てきたから少し説明しておこうと思う。

まず、先物取引とは、『将来の一定の時点における取引(価格・数量)を、現時点で契約すること』を言うの。

日常生活に例えると、『1カ月後の海外旅行を今日予約する』が先物取引かな。
実際に海外旅行に行くのは1カ月後だから、1カ月前に予約しなくても海外旅行はできる。
でも、1カ月の間に円安になるかもしれないし、燃料サーチャージが上がるかもしれない。

例えば、図表2-11のように、今日予約すると10万JDで海外旅行に行ける場合がある。1カ月後にはJDが現地通貨と比べて高くなったり、安くなったりしているはずだから、今日の価格と同じとは限らない。JDが安くなって12万JDになる場合、特に変わらない場合(旅行代金が10万JD)、JDが高くなって8万JDになる場合もある。

【図表2-11:旅行代金の変化】




※本書では、1JD(ジャービス・ドル)=1円としています。

1カ月後の旅行代金は、今日の旅行代金よりも高くなる場合や安くなる場合があるから、今のうちに予約しておきたいというニーズがある。これが先物取引。

今回の事例では、1カ月~6カ月後に購入する銅を、現時点で買う契約をしていた(先物取引)。
現在の銅価格が1,500JD/kgだけれど、1カ月後に銅価格が上昇して2,000JD/kgになったら、今日買うよりも500JD/kg余計に払わないといけない(500JD/kg損する)。
当然、逆の場合もあるから、得する場合もあるけど。

事業のおいて急激な価格変動は障害になるから、将来の価格変動リスクをヘッジ(回避)するために先物取引は利用されている。だから、非常に有効なリスクヘッジのツールだと思う。

先物取引は、外国為替の売買(為替予約)、金利先物、国債先物、株式指数先物などいろんな取引に活用されている。今回の商社のように銅価格の変動をヘッジする場合に先物取引を使用する場合があるから、取引参加者は純粋な投資家だけじゃないのが特徴だと思う。

ちなみに、先物取引と似た契約に『先渡(さきわたし)取引』がある。
先物取引(future contract)は、取引所において、将来のある時点で決められた価格で商品の売買を行う取引。
一方、先渡取引(forward contract)は取引所ではなく、店頭(すなわち、特定の取引相手)において、将来のある時点で決められた価格で商品の売買を行う取引。

取引所で取引するかどうかだけだから、あまりこの2つの違いは気にしなくてもいいけど。

私からの説明はこれで終わり。
もっと詳しく知りたい人は、ネットで検索するか、この本を参考にしてみて。

図解 為替デリバティブのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502434914/

以上、ルイーズでした。

<終わり>
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