僕と猫と米沢牛 ― 勝手に他人の半生を書いてみた

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僕と猫と米沢牛

本当の両親

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(24)本当の両親

自分がクローン人間であることを知ってしまった武は動揺を隠せない。
そんな武をクマさんは心配そうな顔で見ている。

偶然にも自分の出生の秘密を知ってしまった。
冷静に考えると『クローン人間とは何者なのか?』に疑問を持った。

クローン人間は体細胞クローン技術で作られているとクマさんは言っていた。
つまり、優秀な人間の遺伝子を使った子供であって、生物としてのコピーではない。
優秀な両親を持つ子供と同じないのではないか。

じゃあ、クローン人間は他の人間と何が違うのか?


次に、クローン人間だとしても武には自我がある。
武の意思決定に他人が介在しているとは思えないのだが、この認識は正しいだろうか。

つまり、クローン人間の意思には他人の意思が反映されるのか?


クローン人間は優秀な人間の遺伝子を使った子供ならば、武の両親は他にいる可能性がある。

武の本当の両親は誰だ?


クマさんはクローン人間について少なくとも武よりも知っているようだ。
武はクマさんからクローン人間の情報をできるだけ聞いておこうと考えた。

「クマさん、もし知っていたら教えてほしいんだけど。」と武は言った。

「おう、なんだ?」

「僕がクローン人間だとして、両親は僕の本当の両親なのかな?つまり、僕は誰のクローンなんだ?」

「うーん。頭の悪い俺には説明が難しいな。まず、米沢市のクローン人間は2種類いる。」

「2種類?」

「ああ。1つ目は、戦時中に生殖能力を失った男性が子供を希望した場合だ。この男性は自然に子供ができない。だから、自分の遺伝子を妻の子宮へ移植してクローン個体を出産することになる。」とクマさんは言った。

※体細胞クローンは、元となる個体(ドナー)の体細胞から取り出した遺伝子を含む核を、核を抜いた未受精卵に移植し、電気的刺激等により融合させます。すなわち、作製されたクローン個体は、ドナーと同一の遺伝情報を持っています。

「父親の遺伝情報を使って、母親が子供を出産する。不妊治療と似たようなものかな?」と武はクマさんに聞いた。

「80%正解だ。厳密には違うらしいが、俺にはそれが説明できない。」

「別にいいよ。それで、もう1つは?」

「もう1つは、戦闘力の高いクローンを作りたい場合や、知能の高いクローンを作りたい場合だ。戦時中の兵士と同じだな。この場合は、本当の両親が子供を育てる余裕はないからクローン個体は里親に出される。」

「養子みたいな感じか。」

「お前の言う通りだ。里親ではなく養子だな。このケースは本当の両親ではない。俺みたいにな。」とクマさんは言った。

「え?クマさんもクローン人間?」

「そうだ。俺もクローン人間だ。」
そう言うと、クマさんは靴を脱いで足の裏を武に見せた。

「本当だ。僕の印と同じだ。」

「俺は戦闘力の高いクローンとして作られた。知ったのは20歳になった時だ。成人したら養子であることを打明ける決まりがあるらしい。」

「そうなんだ。戦闘用クローン人間って、かっこいいな。」

「まあ、俺の場合は小さい頃から気付いてた。だって、小学4年生で父親よりもデカかったからな。あの両親から俺が生まれる訳がない。」

「へー。クマさんは、クローン人間だと知った時はショックだった?」

「特にショックはなかったな。自分が養子だと分かったのと同じタイミングだったしな。体格差は養子で納得したし、日本国内でも俺よりゴツイ奴がいないからクローン人間も納得だ。」

「意外にあっさりしてるんだね。」

「まあな。俺が特別だった理由が、腑に落ちただけだ。」とクマさんは言った。

「僕はどっちだろう。確かめる方法はないの?」

「お前兄弟いるか?」

「いるよ。うちは4人兄弟だ。」

「一番簡単な方法は、兄弟の足の裏に同じ印があるか確認したらいい。お前の兄弟にも同じ印があったら不妊治療だ。無ければお前は戦闘用クローン人間か、天才型クローン人間だな。」

「でもさ。クローン4人が同じ家に養子に出されたかも知れないよね?」

「確かに・・・。お前頭いいなー。天才型クローン人間じゃないのか?」

「天才型クローン人間か・・・。なかなかいい響きだね。」

「もう一つある!竹村に聞いてみたらいい。」とクマさんは言った。

クローン技術者の竹村か・・・。
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