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ネギ侍!!
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「貴様、小言メガネだな!」
スーパーでの買い物の帰りのこと。
家までの道を歩いている私の前に立ちふさがる妻は言った。
私はメガネを掛けている。だから、「〇〇メガネ」と言われることがある。
さっき妻に小言を言ったから「小言メガネ」と私を呼ぶのだろう。
間違いではない。だから、妻の問いにこう答えた。
「いかにも、吾輩は小言メガネである。お主は?」
妻は手に持った緑色の物体を前に構え、私に対して言い放つ。
「拙者の名は、ネギ侍!」
妻はネギを正面に構え、私をけん制する。イメージはこんな感じである。
※いらすとやさん、ネギを合成してすいません。
スーパーで買った食材が多かったので、エコバックにネギが入らなかった。だから、私は妻にネギを渡した。
そして、この事態が発生したわけだ。
私はスーパーで買った食品が入ったエコバックを両手に抱えており、両手がふさがっている。とても、ネギ侍の攻撃をかわせない。
逃げるべきか……それともネギ侍と戦うべきか。
逃げるとしても、まずはネギ侍の気を逸らす必要がある。
私は口撃で応戦した。
「食べ物で遊ぶなやーー!」
「ネギを切る手間が省けるではないか!」
「そのネギ、農家さんが頑張って育てたんやぞ! 農家に対する侮辱や!」
「農家は食材を大切にしない。食べきれなかったら捨てるわー」
ネギ侍は私を見逃してくれそうにない。
しかたなく、ネギ侍に何度も切られながら私は家に帰るのであった……
***
ネギ侍の話はこれくらいにして、YouTubeの話をしよう。
しつこいようだが、妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。
私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
皆さんは書道動画を見たことがあるだろうか?
普通の動画は前・横に撮影する対象物があるのだが、書道動画は撮影する角度が根本的に違う。すなわち、書道の映像は半紙の真上から書いている動作を撮影しないといけないのだ。
通常の動画(例えば、メイクアップ動画)は撮影する対象の正面にカメラスタンドを置いて、そこにカメラを設置して撮影する。スマートフォンで撮影する場合は、スマホスタンドを買って前に置けばいい。
でも、書道動画は上からだ。スマホスタンドを使った撮影方法はできない。
だから、スマートフォンを半紙の上に持っていって撮影していた。実にシュールな光景だ。
私はこの撮影方法(手で上に持っていく方法)に限界を感じていた。
手振れがあるし、長時間の撮影は手がプルプルする。ブレブレの動画しか撮影できないのだ。
実際、YouTubeを探しても上から撮影している動画は少ない。専用の機材(オーバーヘッドマウントなど)を使えば上から撮影できるらしいが、高さを確保するためにはそれなりに高価な機材が必要だ。
私はお金を掛けない上からの撮影方法を考えることにした。
まず、私が思いついたのはクッキング動画を真似ることだ。
調理動画はキッチンの上にカメラを設置する場所があり、そのカメラで撮影している。これと同じ設備を用意する、または、この設備を借りることができれば、ガスレンジの上に板と半紙を置いて撮影できるはずだ。
我が家の近くにお料理レシピを掲載している会社があったことを思い出した。
お料理レシピの会社には知り合いも在籍している。だから、ゴリ押しすればクッキング動画の撮影場所を使わせてくれるかもしれない。
私は期待を胸に、会社のホームページを検索した。
そのまま社名を検索するとお料理レシピのサイトがでてきてしまうから、「株式会社」を付けてコーポレートサイトを検索する。会社概要からアクセスをクリックし、会社の所在地を確認する。
「本社、移転しとるやんけーーーー!」
不覚にも声が出た。誰かが私の方を見ている。
お料理レシピの会社は、残念ながら、みなとみらい(横浜)に行ってしまったようだ。
妻と二人、習字セットを持って電車でみなとみらいに行く姿を想像してみる。
妻は悲しそうに私に言う。
「墨、キッチンに飛ばしたら怒られるかな?」
「拭いたら取れるやろ」
「隣で料理している人が見てこーへんかな?」
「見るかもしらんけど、気にせんかったらええ」
「ヘタクソ、って笑われたらどーしよ?」
「大丈夫やって、料理している人は料理に集中してる」
これは、お料理スタジオに入るまでに時間が掛かるパターンだ。
――これはないわー
しかたなく私は、自力でなんとかすることにした。
半紙を上から撮影する場合、60センチの高さが必要だ。安いオーバーヘッドマウントだと高さが足りない。安いスマホスタンドを探してみたが、残念ながら半紙の上まで伸ばせるスマホスタンドは売っていなかった。
そして、なんやかんやで最終的に落ち着いたのがこの形だ。
ヨガマット、植物、絵とかが写り込んでいるが気にしないでほしい。
60センチの高さを確保するためには、60センチよりも高いところからカメラを出さないといけない。スマホホルダーやアーム式スタンドだと高さが足りないから、椅子に可動式のスマホホルダーを設置する。
私の発想力ではこれが限界だったので、現在はこれ(椅子+スマホホルダー)を机の上に載せて撮影をしている。
それにしても……みんなはどうやって上から動画を撮影しているのだろう。
やはり、高価なオーバーヘッドマウントを使っているのだろうか?
いいアイデアがあったら教えてください!
<続く>
スーパーでの買い物の帰りのこと。
家までの道を歩いている私の前に立ちふさがる妻は言った。
私はメガネを掛けている。だから、「〇〇メガネ」と言われることがある。
さっき妻に小言を言ったから「小言メガネ」と私を呼ぶのだろう。
間違いではない。だから、妻の問いにこう答えた。
「いかにも、吾輩は小言メガネである。お主は?」
妻は手に持った緑色の物体を前に構え、私に対して言い放つ。
「拙者の名は、ネギ侍!」
妻はネギを正面に構え、私をけん制する。イメージはこんな感じである。
※いらすとやさん、ネギを合成してすいません。
スーパーで買った食材が多かったので、エコバックにネギが入らなかった。だから、私は妻にネギを渡した。
そして、この事態が発生したわけだ。
私はスーパーで買った食品が入ったエコバックを両手に抱えており、両手がふさがっている。とても、ネギ侍の攻撃をかわせない。
逃げるべきか……それともネギ侍と戦うべきか。
逃げるとしても、まずはネギ侍の気を逸らす必要がある。
私は口撃で応戦した。
「食べ物で遊ぶなやーー!」
「ネギを切る手間が省けるではないか!」
「そのネギ、農家さんが頑張って育てたんやぞ! 農家に対する侮辱や!」
「農家は食材を大切にしない。食べきれなかったら捨てるわー」
ネギ侍は私を見逃してくれそうにない。
しかたなく、ネギ侍に何度も切られながら私は家に帰るのであった……
***
ネギ侍の話はこれくらいにして、YouTubeの話をしよう。
しつこいようだが、妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。
私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
皆さんは書道動画を見たことがあるだろうか?
普通の動画は前・横に撮影する対象物があるのだが、書道動画は撮影する角度が根本的に違う。すなわち、書道の映像は半紙の真上から書いている動作を撮影しないといけないのだ。
通常の動画(例えば、メイクアップ動画)は撮影する対象の正面にカメラスタンドを置いて、そこにカメラを設置して撮影する。スマートフォンで撮影する場合は、スマホスタンドを買って前に置けばいい。
でも、書道動画は上からだ。スマホスタンドを使った撮影方法はできない。
だから、スマートフォンを半紙の上に持っていって撮影していた。実にシュールな光景だ。
私はこの撮影方法(手で上に持っていく方法)に限界を感じていた。
手振れがあるし、長時間の撮影は手がプルプルする。ブレブレの動画しか撮影できないのだ。
実際、YouTubeを探しても上から撮影している動画は少ない。専用の機材(オーバーヘッドマウントなど)を使えば上から撮影できるらしいが、高さを確保するためにはそれなりに高価な機材が必要だ。
私はお金を掛けない上からの撮影方法を考えることにした。
まず、私が思いついたのはクッキング動画を真似ることだ。
調理動画はキッチンの上にカメラを設置する場所があり、そのカメラで撮影している。これと同じ設備を用意する、または、この設備を借りることができれば、ガスレンジの上に板と半紙を置いて撮影できるはずだ。
我が家の近くにお料理レシピを掲載している会社があったことを思い出した。
お料理レシピの会社には知り合いも在籍している。だから、ゴリ押しすればクッキング動画の撮影場所を使わせてくれるかもしれない。
私は期待を胸に、会社のホームページを検索した。
そのまま社名を検索するとお料理レシピのサイトがでてきてしまうから、「株式会社」を付けてコーポレートサイトを検索する。会社概要からアクセスをクリックし、会社の所在地を確認する。
「本社、移転しとるやんけーーーー!」
不覚にも声が出た。誰かが私の方を見ている。
お料理レシピの会社は、残念ながら、みなとみらい(横浜)に行ってしまったようだ。
妻と二人、習字セットを持って電車でみなとみらいに行く姿を想像してみる。
妻は悲しそうに私に言う。
「墨、キッチンに飛ばしたら怒られるかな?」
「拭いたら取れるやろ」
「隣で料理している人が見てこーへんかな?」
「見るかもしらんけど、気にせんかったらええ」
「ヘタクソ、って笑われたらどーしよ?」
「大丈夫やって、料理している人は料理に集中してる」
これは、お料理スタジオに入るまでに時間が掛かるパターンだ。
――これはないわー
しかたなく私は、自力でなんとかすることにした。
半紙を上から撮影する場合、60センチの高さが必要だ。安いオーバーヘッドマウントだと高さが足りない。安いスマホスタンドを探してみたが、残念ながら半紙の上まで伸ばせるスマホスタンドは売っていなかった。
そして、なんやかんやで最終的に落ち着いたのがこの形だ。
ヨガマット、植物、絵とかが写り込んでいるが気にしないでほしい。
60センチの高さを確保するためには、60センチよりも高いところからカメラを出さないといけない。スマホホルダーやアーム式スタンドだと高さが足りないから、椅子に可動式のスマホホルダーを設置する。
私の発想力ではこれが限界だったので、現在はこれ(椅子+スマホホルダー)を机の上に載せて撮影をしている。
それにしても……みんなはどうやって上から動画を撮影しているのだろう。
やはり、高価なオーバーヘッドマウントを使っているのだろうか?
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<続く>
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