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第23話「二人の時間」
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翌日、私は優秀なコンサルタントさんを訪ねました。
一応、家庭教師の第一回目は無事に終わったことや、開拓地北部の最新の様子などを伝えます。
「お茶を入れるわね。それとおやつ買ってきたから」
「今日はいろいろ連絡があるけど、その前に一息つくか」
エドの机には書類が山積みです。忙しいのにごめんなさい。
私は安いけど美味しく入れたお茶と、シュークリームをテーブルに並べました。心のこもったティータイムです。
「貧乏街のは、甘ったるいから食べ過ぎると太るぞ」
「大丈夫。順調に痩せています! 一生懸命運動してるしね」
これは嘘や見栄ではなくて、少しずつですが私の体型は元に戻りつつあります。やはり運動は大切ですよね。
「水車の図面ができたので持っていってくれるか。それと見積もりも。アルヴォ様に見せてくれ」
「へえ。結構立派なものを作るのね」
開拓地の中を流れる水路に印があり、水車小屋の図面には寸法が書かれていて大きさがわかります。
「小屋は水車二基用だ。とりあえず一基を稼働させる」
私はシュークリームにぱくつきながら見積もり用紙を確認します。かなりお行儀が悪いんですが許してくださいね。
「費用が安いのだけれど……」
「中古だよ。建て替えられる解体水車の使える資材を寄せ集めた。大丈夫。耐久性のある部品を再利用する」
「貧乏貴族向きねえ」
「石臼も中古だしな。で、ここの街にいる修理屋が消耗品を新造して組み立てるんだ。だから安い」
「ふーん。感心するわ」
「一部の領地が、製粉する代わりに保証金を預けてくれる。それが集まってから、足りない分の融資を頼む」
「面白いことを考えるわよねえ」
当初からそのような相談を受けていました。
つまり我が家の水車で製粉する代金を先にいただいて保証金とするのです。そのかわり決められた量は優先的に作業しなければなりません。
「魔獣もうまく押さえ込んでいるし、収穫量も期待できる。早どりからどんどん収穫して売り捌こう」
「残り一個ね。早く食べないとなくなっちゃうわよ」
「まっ、太らないように協力するよ」
エドは最後のシュークリームを平らげました。
「お茶のお代わりを入れるわね」
「ああ」
ポットのお湯を沸かしつつ、お茶っ葉を取り替えてシュークリームの皿をパパッと洗います。
空になったエドと私のカップにお茶を注ぎました。
「リュスターのおじいちゃんに美味いって褒められたのよ」
「お世話なんて、言わない御仁だ。本当にうまかったんだろう」
「うん」
会話が途切れました。エドは何かを言おうと考えているようです。待ちましょう……。
静かにお茶のカップに口をつけます。
「まだ話があるの?」
何を話すかと思い、緊張してきました。
「そうだな。隠す話じゃないんだが……」
一応、家庭教師の第一回目は無事に終わったことや、開拓地北部の最新の様子などを伝えます。
「お茶を入れるわね。それとおやつ買ってきたから」
「今日はいろいろ連絡があるけど、その前に一息つくか」
エドの机には書類が山積みです。忙しいのにごめんなさい。
私は安いけど美味しく入れたお茶と、シュークリームをテーブルに並べました。心のこもったティータイムです。
「貧乏街のは、甘ったるいから食べ過ぎると太るぞ」
「大丈夫。順調に痩せています! 一生懸命運動してるしね」
これは嘘や見栄ではなくて、少しずつですが私の体型は元に戻りつつあります。やはり運動は大切ですよね。
「水車の図面ができたので持っていってくれるか。それと見積もりも。アルヴォ様に見せてくれ」
「へえ。結構立派なものを作るのね」
開拓地の中を流れる水路に印があり、水車小屋の図面には寸法が書かれていて大きさがわかります。
「小屋は水車二基用だ。とりあえず一基を稼働させる」
私はシュークリームにぱくつきながら見積もり用紙を確認します。かなりお行儀が悪いんですが許してくださいね。
「費用が安いのだけれど……」
「中古だよ。建て替えられる解体水車の使える資材を寄せ集めた。大丈夫。耐久性のある部品を再利用する」
「貧乏貴族向きねえ」
「石臼も中古だしな。で、ここの街にいる修理屋が消耗品を新造して組み立てるんだ。だから安い」
「ふーん。感心するわ」
「一部の領地が、製粉する代わりに保証金を預けてくれる。それが集まってから、足りない分の融資を頼む」
「面白いことを考えるわよねえ」
当初からそのような相談を受けていました。
つまり我が家の水車で製粉する代金を先にいただいて保証金とするのです。そのかわり決められた量は優先的に作業しなければなりません。
「魔獣もうまく押さえ込んでいるし、収穫量も期待できる。早どりからどんどん収穫して売り捌こう」
「残り一個ね。早く食べないとなくなっちゃうわよ」
「まっ、太らないように協力するよ」
エドは最後のシュークリームを平らげました。
「お茶のお代わりを入れるわね」
「ああ」
ポットのお湯を沸かしつつ、お茶っ葉を取り替えてシュークリームの皿をパパッと洗います。
空になったエドと私のカップにお茶を注ぎました。
「リュスターのおじいちゃんに美味いって褒められたのよ」
「お世話なんて、言わない御仁だ。本当にうまかったんだろう」
「うん」
会話が途切れました。エドは何かを言おうと考えているようです。待ちましょう……。
静かにお茶のカップに口をつけます。
「まだ話があるの?」
何を話すかと思い、緊張してきました。
「そうだな。隠す話じゃないんだが……」
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