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アーメン・統計学・図鑑

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 アーメン。

 耳馴染みのない言葉だ。知識としては知っているし、なんども文字を読んだこともある。けれど、実際に言葉にしているのを聞くと不思議な感じがする。

 ただの習慣の違い。そのことをどうにかこうにか言うつもりもない。ただたんに不思議な気がするだけだ。

 そもそも言語が違うのだ。何を聞いたって不思議な感じは拭えないのだろう。

 日曜日の教会には思ったより人がたくさんいた。熱心な人たちがたくさんいることにも驚く。そんな習慣は知識の中だけにしかなかったことに多少の罪悪感も抱く。なんでそんな気持ちになるのかは自分でも理解できなかった。

 こんなに真剣なんだもんな。この真剣さを知らなかったと言うことに世界を知らなすぎたと。思いしさられた気分なのだ。

 統計学上であれ、実際の感覚としても、マジョリティな人達なんだ。マイノリティではない。頭では理解しているけどやっぱり目にしたときの感覚は特別だ。

 狭い世界しか見ていなかったのかもしれない。島国。それも特殊な国で生きているのであればある程度仕方がないとは思うが、それにしてもだ。知らないことや興味がないことが多すぎる。マクロな視点で見ればとても重要なことだと言うのに。

 図鑑のような資料があればいいなとちょっとだけ思う。それすらも本屋に行けば見つかるのか。いつもは気にしていないから目に入らないだけで。

 落ち込んでいた自分に声を掛けてくれて、ここへ案内してくれた神父さんには感謝しかない。

 生きる希望を失っていた。職を失い、家族も失った。何も無くなったと思っていたが、新しいなにかを得られるいい機会だったのかもしれないと思う。

 アーメン。口に出すのがちょっと恥ずかしくて。心のなかで密かに祈った。
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