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意外な結果
「なあ。お前が呼び寄せたんだろ。どっから来たんだよ」
最悪だ。しょうがなかったとは言え、みんなに見つかるどころか大人しく捕らえられるなんて考えもしなかった。無抵抗な白銀の彼は何を考えているのか分からないまま押し黙っている。
その態度が周りに圧を与えていた。村のみんながうかつに手を出さないのもそれが理由だろう。
悲鳴を聞きつけたのか、戦いに出向いていた村人から数名が戻ってきて、白銀の彼を捕らえた。助けてくれたのにも関わらず、村のみんなの態度は一貫していた。それは分かりきっていたことだ。
村で起きる悪いことはすべて外から持ち込まれたもの。幼いころからそう教えられてきた。アリアだけではない、村のみんな全員がそうだ。村を存続させるためには必要なこと。それが共通認識だ。
そしていざと言う時には都市から騎士団に助けを求める。その手はずは整っていたので、今回もすでにも誰かが連絡しているはずだ。
「答えろよ!」
「熱くなりすぎだって。村長まってた方がいいんじゃないの」
「そんなこと言ってる場合かよ。こいつが呼び寄せてるだとしたら、早いところ対処しないと手遅れになってから遅いんだぞ」
「彼は村に現れた魔物を退治してくれたんだぞ」
「でもこいつと一緒に魔物が現われたのも事実だ。そうだろアリア?」
アリアは予想だにしていなかった質問に肩を震わす。白銀の彼はどうして大人しくしているのか。ほんとうに魔物を引き連れてきたのか。確かに魔物と白銀の彼は同時に現れた。
「それは……はい」
嘘はつけなかった。これ以上、村を危険にさらすことが出来ないのは確かだからだ。
視線を白銀の彼に送る。怒っているだろうか。表情は一切変わっていない。
「ダメ! わたし助けてもらったもん」
いつの間にか、人の輪をすり抜けてさっき助けて貰っていた娘が白銀の彼と村のみんなの間に立ち塞がる。
「そうだぜ。今だって主戦力は村の外。まだ戻ってきちゃいない。だったら頭を下げてお願いするところだろうよ」
「そうよ。それともあんたが魔物五体を相手してくれるって言うの?」
白銀の彼をかばう声が増えていく。アリアはそれを見守ることしかできない自分を歯がゆく思いつつも見ているだけ。
「おいっ。村長がたちが戻ってきたぞ。何人かケガもしている。手伝ってくれ」
一斉に動き始める。不安が伝播しているが、むしろそのことが大きな原動力となっているのか、だれひとり立ち止まることなく動き続けている。アリアと、子どもたちを除いてだ。
「えっと。あの。ごめんなさい」
白銀の彼を拘束していた縄をほどく。きつく縛られたのか跡が手首に残っている。
「いいのか? ほどいて」
助かったのに安堵する様子もなく、こちらの心配をしてくれている。
「いいんです。あの感じだと解放されていたでしょうから」
そうか。小さくつぶやいて立ち上がる。
「どうしたんですか?」
「外に出て手伝おう。人手は必要だろう?」
囚われていたと言うのに、まだ村を助けてくれるよ言うのか。まるで物語に出てくる騎士団長だ。
「あ、あの。あなたのお名前は?」
「アウレール・リーツだ」
アリアはその名前に聞き覚えがあった。物語に出てくる騎士団長そのものだった。
最悪だ。しょうがなかったとは言え、みんなに見つかるどころか大人しく捕らえられるなんて考えもしなかった。無抵抗な白銀の彼は何を考えているのか分からないまま押し黙っている。
その態度が周りに圧を与えていた。村のみんながうかつに手を出さないのもそれが理由だろう。
悲鳴を聞きつけたのか、戦いに出向いていた村人から数名が戻ってきて、白銀の彼を捕らえた。助けてくれたのにも関わらず、村のみんなの態度は一貫していた。それは分かりきっていたことだ。
村で起きる悪いことはすべて外から持ち込まれたもの。幼いころからそう教えられてきた。アリアだけではない、村のみんな全員がそうだ。村を存続させるためには必要なこと。それが共通認識だ。
そしていざと言う時には都市から騎士団に助けを求める。その手はずは整っていたので、今回もすでにも誰かが連絡しているはずだ。
「答えろよ!」
「熱くなりすぎだって。村長まってた方がいいんじゃないの」
「そんなこと言ってる場合かよ。こいつが呼び寄せてるだとしたら、早いところ対処しないと手遅れになってから遅いんだぞ」
「彼は村に現れた魔物を退治してくれたんだぞ」
「でもこいつと一緒に魔物が現われたのも事実だ。そうだろアリア?」
アリアは予想だにしていなかった質問に肩を震わす。白銀の彼はどうして大人しくしているのか。ほんとうに魔物を引き連れてきたのか。確かに魔物と白銀の彼は同時に現れた。
「それは……はい」
嘘はつけなかった。これ以上、村を危険にさらすことが出来ないのは確かだからだ。
視線を白銀の彼に送る。怒っているだろうか。表情は一切変わっていない。
「ダメ! わたし助けてもらったもん」
いつの間にか、人の輪をすり抜けてさっき助けて貰っていた娘が白銀の彼と村のみんなの間に立ち塞がる。
「そうだぜ。今だって主戦力は村の外。まだ戻ってきちゃいない。だったら頭を下げてお願いするところだろうよ」
「そうよ。それともあんたが魔物五体を相手してくれるって言うの?」
白銀の彼をかばう声が増えていく。アリアはそれを見守ることしかできない自分を歯がゆく思いつつも見ているだけ。
「おいっ。村長がたちが戻ってきたぞ。何人かケガもしている。手伝ってくれ」
一斉に動き始める。不安が伝播しているが、むしろそのことが大きな原動力となっているのか、だれひとり立ち止まることなく動き続けている。アリアと、子どもたちを除いてだ。
「えっと。あの。ごめんなさい」
白銀の彼を拘束していた縄をほどく。きつく縛られたのか跡が手首に残っている。
「いいのか? ほどいて」
助かったのに安堵する様子もなく、こちらの心配をしてくれている。
「いいんです。あの感じだと解放されていたでしょうから」
そうか。小さくつぶやいて立ち上がる。
「どうしたんですか?」
「外に出て手伝おう。人手は必要だろう?」
囚われていたと言うのに、まだ村を助けてくれるよ言うのか。まるで物語に出てくる騎士団長だ。
「あ、あの。あなたのお名前は?」
「アウレール・リーツだ」
アリアはその名前に聞き覚えがあった。物語に出てくる騎士団長そのものだった。
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