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第7話 やってきたのはカジノ
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「なにここ。ウルサイ」
探偵さんに連れてこられた場所に入るなり両手で耳を塞いだ。あまりにも音楽がうるさかったからだ。
建物の中、全体は暗いのに直線的に伸びる光は眩しいくらいに明るい。それも色とりどりの光。得たとことがない刺激に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっている気すらする。
ここにいる人達の半分くらいは黒服たちと似たような格好をしている。もう半分はボロボロの服を着ている。探偵さんはこちらのグループだ。それにもうひとつ、気になることがある。
「これなに?」
顔の上半分を仮面で覆っている。正直な所、邪魔でしかない。外したいのだけれど、絶対に外すな。というのが探偵さんのここへ入る前の一言だった。それにどうやらほとんどの人が同じような仮面を付けている。
なんでなんだろうか。みんな探偵さんに言われて付けているのか。
「ここでは誰がどこに所属しているとか、何者だとかは、忘れるのがマナーだ。そのための仕掛けなんだよ」
よく分からないけれど。そう言うものなのか。街のことはよく知らないからきっとそれだけのこと。それなりの理由があるのだろう。探偵さんにもここのいるみんなにも。自分には関係ないことだろうけど。
「じゃあ、付けてない人は?」
それも見かける。大勢ではない。隠さなくてもいい人たちってことなのか。
「あれはここの主催側の人間さ。正体を隠す必要がないってこと」
ふうん。やっぱりよく分からない。
「さて、とりあえず何から始めるかな。勝てそうな席はっと」
探偵さんは何やら人だかりが出来ているテーブルに近づいてはなにやら探りを入れている。この場所はテーブル毎に異なる催し物が行なわれているみたいでなんだか集まり方が違う。
なんだかカードを配っているテーブルもあれば、硬貨に似たものを積み上げているテーブルもある。テントの骨だけみたいな置物を回している人もいる。あれは何をやっているのだろう。なににせよ笑っている人が多い。でも……。
「まじかよっ! どうなってるんだここはよぉ!」「あらぁ。そんなかっかするから負けるんじゃないの。大事なのはポーカーフェイスでしょ」「ああっ!? ナメてるのかお前はぁ!」
なにやら別の意味で盛り上がっているテーブルもある。巻き込まれるときっと探偵さんにどやされるからちょっとだけ距離を取る。
少女がそんなことを観察している間に探偵さんは何かを決めたみたいだ。どんどん離れて行ってしまう。それを追いかけるのもめんどくさく思えたので、こちらも勝手に行動することにする。
とは言ってもどうしていいものか。聞き耳を立てながら人と人の間を練り歩く。セントラル。その言葉を聞き逃したくはない。
でも、随分と歩いたけれどセントラルの話なんてしているテーブルなんてどこにもなかった。探偵さんは一体この場所に何を求めているのだろう。理解に苦しむ。大体賑やか過ぎる。声なんてあまり聞こえて来やしない。それに、みんなテーブルで行われている催し物に夢中みたいでそれ以外の会話も極端に少ないのだ。
「ひとりで行こうかな」
探偵さんに頼ったのが間違いだった気もしてくる。だからと言って、自分でどうにかできる手段も見当たらない。
なんで呼ばれたんだろう。
そんな当たり前の疑問が今更ながら浮かんでくる。ありふれた個体である自分なんかに用があるなんて。任務とは違うのだろうか。それも呼んだ主に会ってみないとなにも分かりやしない。
「あら。こんなところにお嬢ちゃん? どうしたのこんなところで一緒に来てる人はいないのかしら」
少女の前に現れて視線までしゃがんでくれた大男は、なんだか他の人とは違う感じに見えた。
「探偵さんが一緒」
少女がそう答えると大男は辺りを見渡す。見えることろにはいない。一通り見渡すと一層顔を近づけてくる。そうして耳元まで近づけると。
「探偵さんって。このカジノでなにか悪いことでもしてる輩《やから》でもいるのかしら?」
大男は何を言っているのだろうか。少女は思わず首をかしげてしまう。
「あら。違うのね。ごめんなさいね。探偵さんがわざわざお嬢ちゃんを連れてくるようなところじゃないので無粋なことを考えてしまったわ。許してね。しっかりしてるからお嬢ちゃんは迷子ってわけでもないわよね? でも、もし不安なら私が案内してあげるのだけれど」
ふむ。その提案は助かる。正直どうしていいのか分からなかったのだ。
「お願いできるかしら」
少女がそう答えると大男は満足したのか笑顔を浮かべる。
「ここで名前を聞くのは無粋なのでお嬢ちゃんでいいかしら? 私のことはお姉さんとでも呼んでちょうだいな」
お姉さんはそう言って右手を差し出してきた。少女はそれに応えるように同じく右手を差し出して。しっかりとその大きな手を握りしめた。
探偵さんに連れてこられた場所に入るなり両手で耳を塞いだ。あまりにも音楽がうるさかったからだ。
建物の中、全体は暗いのに直線的に伸びる光は眩しいくらいに明るい。それも色とりどりの光。得たとことがない刺激に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっている気すらする。
ここにいる人達の半分くらいは黒服たちと似たような格好をしている。もう半分はボロボロの服を着ている。探偵さんはこちらのグループだ。それにもうひとつ、気になることがある。
「これなに?」
顔の上半分を仮面で覆っている。正直な所、邪魔でしかない。外したいのだけれど、絶対に外すな。というのが探偵さんのここへ入る前の一言だった。それにどうやらほとんどの人が同じような仮面を付けている。
なんでなんだろうか。みんな探偵さんに言われて付けているのか。
「ここでは誰がどこに所属しているとか、何者だとかは、忘れるのがマナーだ。そのための仕掛けなんだよ」
よく分からないけれど。そう言うものなのか。街のことはよく知らないからきっとそれだけのこと。それなりの理由があるのだろう。探偵さんにもここのいるみんなにも。自分には関係ないことだろうけど。
「じゃあ、付けてない人は?」
それも見かける。大勢ではない。隠さなくてもいい人たちってことなのか。
「あれはここの主催側の人間さ。正体を隠す必要がないってこと」
ふうん。やっぱりよく分からない。
「さて、とりあえず何から始めるかな。勝てそうな席はっと」
探偵さんは何やら人だかりが出来ているテーブルに近づいてはなにやら探りを入れている。この場所はテーブル毎に異なる催し物が行なわれているみたいでなんだか集まり方が違う。
なんだかカードを配っているテーブルもあれば、硬貨に似たものを積み上げているテーブルもある。テントの骨だけみたいな置物を回している人もいる。あれは何をやっているのだろう。なににせよ笑っている人が多い。でも……。
「まじかよっ! どうなってるんだここはよぉ!」「あらぁ。そんなかっかするから負けるんじゃないの。大事なのはポーカーフェイスでしょ」「ああっ!? ナメてるのかお前はぁ!」
なにやら別の意味で盛り上がっているテーブルもある。巻き込まれるときっと探偵さんにどやされるからちょっとだけ距離を取る。
少女がそんなことを観察している間に探偵さんは何かを決めたみたいだ。どんどん離れて行ってしまう。それを追いかけるのもめんどくさく思えたので、こちらも勝手に行動することにする。
とは言ってもどうしていいものか。聞き耳を立てながら人と人の間を練り歩く。セントラル。その言葉を聞き逃したくはない。
でも、随分と歩いたけれどセントラルの話なんてしているテーブルなんてどこにもなかった。探偵さんは一体この場所に何を求めているのだろう。理解に苦しむ。大体賑やか過ぎる。声なんてあまり聞こえて来やしない。それに、みんなテーブルで行われている催し物に夢中みたいでそれ以外の会話も極端に少ないのだ。
「ひとりで行こうかな」
探偵さんに頼ったのが間違いだった気もしてくる。だからと言って、自分でどうにかできる手段も見当たらない。
なんで呼ばれたんだろう。
そんな当たり前の疑問が今更ながら浮かんでくる。ありふれた個体である自分なんかに用があるなんて。任務とは違うのだろうか。それも呼んだ主に会ってみないとなにも分かりやしない。
「あら。こんなところにお嬢ちゃん? どうしたのこんなところで一緒に来てる人はいないのかしら」
少女の前に現れて視線までしゃがんでくれた大男は、なんだか他の人とは違う感じに見えた。
「探偵さんが一緒」
少女がそう答えると大男は辺りを見渡す。見えることろにはいない。一通り見渡すと一層顔を近づけてくる。そうして耳元まで近づけると。
「探偵さんって。このカジノでなにか悪いことでもしてる輩《やから》でもいるのかしら?」
大男は何を言っているのだろうか。少女は思わず首をかしげてしまう。
「あら。違うのね。ごめんなさいね。探偵さんがわざわざお嬢ちゃんを連れてくるようなところじゃないので無粋なことを考えてしまったわ。許してね。しっかりしてるからお嬢ちゃんは迷子ってわけでもないわよね? でも、もし不安なら私が案内してあげるのだけれど」
ふむ。その提案は助かる。正直どうしていいのか分からなかったのだ。
「お願いできるかしら」
少女がそう答えると大男は満足したのか笑顔を浮かべる。
「ここで名前を聞くのは無粋なのでお嬢ちゃんでいいかしら? 私のことはお姉さんとでも呼んでちょうだいな」
お姉さんはそう言って右手を差し出してきた。少女はそれに応えるように同じく右手を差し出して。しっかりとその大きな手を握りしめた。
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