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第13話 兵器と少女
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ガシャン。その機械音が近づいてくるにつれ、それに覚えがあることに気が付く。それと同時に、昔の記憶が呼び起されて少女は少しほっとしたように目をつむった。
ちゃんと整備された場所を歩いている音を初めて聞いたので気が付かなかったが荒野でなら何度も対峙したことがある存在だろう。
対アンドロイド兵器。探偵さんを三人分積み重ねた長方形の胴体を支えるのは規則的に生えている六本の脚。逆関節についたそれを自在に動かして上下左右に動き回るそれは昆虫とやらに似ているらしい。
さらに、胴体からは手の役割をするものが数本、伸びその手には様々な武器が装備されている。それは状況によって変化し、少女たちを苦しめたのだけれど、ここに配備されたものが何を装備しているのか。ちょっと分からない。
ここは戦場でもない。通路は曲がりくねっているため、射線はどうしたって短くなる。なので基本的には近距離戦闘を想定しているのだと思うが、何丁か銃を装備していてもおかしくはない。それくらいの容量があるのだ。大体、銃は多くて困ることはないだろう。
ガシャン。ガシャン。カーブを描いている通路の先から着実に迫っている兵器が徐々に姿を現す。それで探偵さんが何に気が付いたのかがようやく分かった。
回転しながら通路を掃除しているブラシが付いていたのだ。それで汚れを掃きだしていたのだろう、さらには掃きだしたものを胴体へ吸い込む機構もあるようだ。しかし、今はそれらが停止している。おそらく侵入者を排除するモードへと切り替わっているからだろう。当然のように銃をいくつも装備しているし、目立つのは回転する鋸刃。それが正面に飛び出し少女の方に向いた。
掃除屋。そう呼ぶのにふさわしい見た目をしていた。
この兵器はこの通路を循環しながら侵入者は排除し、それ以外の時はひたすらに掃除して回っているのだ。お姉さんたちの仲間が帰ってこなかったのはコイツが原因。お姉さんも出会っていれば無事では済まなかったであろうことを考えると運がよかったのだと言える。
ただ、戦場では何度も相手をしたことがある。なんとかなるとは思う。ちょっとだけ自信がないのはひとりであると言う点と、狭い空間と言うこと。兵器がアームを伸ばせば通路をふさぐことができる大きさだ。故に回り込むことが難しく、左右に翻弄もできない。一斉に射撃されれば逃げ場を失って体中に痛手を負うことも間違いないだろう。
しかし。先手必勝。前に倒れこむように少女は駆け出す。当然のように銃口がその動きを捉えてくる。それは想定済み。左へ移動。そのまま、地面を蹴ると壁に向かって跳ぶ。同時に先ほどまで少女がいたとこに弾が撃ち込まれる。次は壁を蹴って天井へ。兵器はそれに付いてくるように銃を動かし続けている。
兵器は相変わらず器用に動くが、それは素直すぎる動きだ。単純に後を追われるだけならこのまま通路をぐるぐると回り続ければ距離を詰められる。なにせ、金属で覆われたあの体を打ち抜くことは今の装備では不可能。可能性があるとすれば手持ちのナイフで関節部分を突くしかない。
できれば弾切れを起こして欲しいのだけれど。それだと少しばかり都合のいいことに事が転がり過ぎ。最悪を想定しなければ戦場では生き残れない。少女はそれを知っているから動きを止めることなくぐるぐるとまるで空を駆けるかのように近づいていく。
胸の前にナイフを構え脇を締めて肘をを固定。最終的には回転する鋸刃を潜り抜けて胴体と脚の接続部を狙って貫かなくてはならない。そう考えている間にも兵器は動きを止めない。もちろん少女も。
ようやく手が届きそう。もう四回ほど跳べば兵器の下へ滑り込める。近づいていくにつれ兵器の動きも正確になっていく。徐々に弾みをつけてさらに加速。身体がきしみ始めるのが分かる。構わずもっと力を込めて壁を蹴る。銃声がうるさいと思えるほど近くなった時、体を地面に押し付けるように縮こめると回転する鋸刃すれすれを滑り込むことに成功する。
あとはこのまま、胴体と脚の接続部を貫くだけ。でも、想定外の衝撃でナイフが突き刺す前に手から吹き飛ばされた。そのまま、勢いよく兵器の後ろ側へと回る。
なんで失敗した?
慌てて後ろを振り向く。兵器の下ではブラシが高速で回転している。あれはこの通路を掃除するための武器でなく道具。それによって少女の一撃は阻まれたのだ。
まったく想定していなかった用途。少女も見たことがない動きにしてやられた。兵器は方向転換を器用にこなすと再び銃口を少女へと向ける。
しまった。兵器のほうが立て直しが早い。少女が立ち上がろうとしたその時、足がきしんで体勢がブレた。ほんの一瞬のブレ。そのブレが少女の初動を遅らせた。それが致命的であることが少女には分かる。
こんなところで、終わるなんて思いもしなかった。セントラルまでもう一歩。お姉さんの依頼もなにも果たしていない。探偵さんにも申し訳ないことをした。こんなところまで連れてきて、危険だけを残してしまう。
せめて無事に逃げ切ってほしい。
通路全体に銃声が響いた。
ちゃんと整備された場所を歩いている音を初めて聞いたので気が付かなかったが荒野でなら何度も対峙したことがある存在だろう。
対アンドロイド兵器。探偵さんを三人分積み重ねた長方形の胴体を支えるのは規則的に生えている六本の脚。逆関節についたそれを自在に動かして上下左右に動き回るそれは昆虫とやらに似ているらしい。
さらに、胴体からは手の役割をするものが数本、伸びその手には様々な武器が装備されている。それは状況によって変化し、少女たちを苦しめたのだけれど、ここに配備されたものが何を装備しているのか。ちょっと分からない。
ここは戦場でもない。通路は曲がりくねっているため、射線はどうしたって短くなる。なので基本的には近距離戦闘を想定しているのだと思うが、何丁か銃を装備していてもおかしくはない。それくらいの容量があるのだ。大体、銃は多くて困ることはないだろう。
ガシャン。ガシャン。カーブを描いている通路の先から着実に迫っている兵器が徐々に姿を現す。それで探偵さんが何に気が付いたのかがようやく分かった。
回転しながら通路を掃除しているブラシが付いていたのだ。それで汚れを掃きだしていたのだろう、さらには掃きだしたものを胴体へ吸い込む機構もあるようだ。しかし、今はそれらが停止している。おそらく侵入者を排除するモードへと切り替わっているからだろう。当然のように銃をいくつも装備しているし、目立つのは回転する鋸刃。それが正面に飛び出し少女の方に向いた。
掃除屋。そう呼ぶのにふさわしい見た目をしていた。
この兵器はこの通路を循環しながら侵入者は排除し、それ以外の時はひたすらに掃除して回っているのだ。お姉さんたちの仲間が帰ってこなかったのはコイツが原因。お姉さんも出会っていれば無事では済まなかったであろうことを考えると運がよかったのだと言える。
ただ、戦場では何度も相手をしたことがある。なんとかなるとは思う。ちょっとだけ自信がないのはひとりであると言う点と、狭い空間と言うこと。兵器がアームを伸ばせば通路をふさぐことができる大きさだ。故に回り込むことが難しく、左右に翻弄もできない。一斉に射撃されれば逃げ場を失って体中に痛手を負うことも間違いないだろう。
しかし。先手必勝。前に倒れこむように少女は駆け出す。当然のように銃口がその動きを捉えてくる。それは想定済み。左へ移動。そのまま、地面を蹴ると壁に向かって跳ぶ。同時に先ほどまで少女がいたとこに弾が撃ち込まれる。次は壁を蹴って天井へ。兵器はそれに付いてくるように銃を動かし続けている。
兵器は相変わらず器用に動くが、それは素直すぎる動きだ。単純に後を追われるだけならこのまま通路をぐるぐると回り続ければ距離を詰められる。なにせ、金属で覆われたあの体を打ち抜くことは今の装備では不可能。可能性があるとすれば手持ちのナイフで関節部分を突くしかない。
できれば弾切れを起こして欲しいのだけれど。それだと少しばかり都合のいいことに事が転がり過ぎ。最悪を想定しなければ戦場では生き残れない。少女はそれを知っているから動きを止めることなくぐるぐるとまるで空を駆けるかのように近づいていく。
胸の前にナイフを構え脇を締めて肘をを固定。最終的には回転する鋸刃を潜り抜けて胴体と脚の接続部を狙って貫かなくてはならない。そう考えている間にも兵器は動きを止めない。もちろん少女も。
ようやく手が届きそう。もう四回ほど跳べば兵器の下へ滑り込める。近づいていくにつれ兵器の動きも正確になっていく。徐々に弾みをつけてさらに加速。身体がきしみ始めるのが分かる。構わずもっと力を込めて壁を蹴る。銃声がうるさいと思えるほど近くなった時、体を地面に押し付けるように縮こめると回転する鋸刃すれすれを滑り込むことに成功する。
あとはこのまま、胴体と脚の接続部を貫くだけ。でも、想定外の衝撃でナイフが突き刺す前に手から吹き飛ばされた。そのまま、勢いよく兵器の後ろ側へと回る。
なんで失敗した?
慌てて後ろを振り向く。兵器の下ではブラシが高速で回転している。あれはこの通路を掃除するための武器でなく道具。それによって少女の一撃は阻まれたのだ。
まったく想定していなかった用途。少女も見たことがない動きにしてやられた。兵器は方向転換を器用にこなすと再び銃口を少女へと向ける。
しまった。兵器のほうが立て直しが早い。少女が立ち上がろうとしたその時、足がきしんで体勢がブレた。ほんの一瞬のブレ。そのブレが少女の初動を遅らせた。それが致命的であることが少女には分かる。
こんなところで、終わるなんて思いもしなかった。セントラルまでもう一歩。お姉さんの依頼もなにも果たしていない。探偵さんにも申し訳ないことをした。こんなところまで連れてきて、危険だけを残してしまう。
せめて無事に逃げ切ってほしい。
通路全体に銃声が響いた。
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