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第39話 塔の最後
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探偵さんが投げたと思ったら爆発の衝撃で少女の視界はぐるぐると回り、現状を把握することも難しくなった。けれど、訪れるはずの大きな衝撃はやってこない。爆風で少しだけだが、身体が重力に抵抗したのが分かった。勢いが少しだけ相殺されたのだ。
その一瞬の浮遊感で地面との衝撃は随分と和らいだように思う。しかしそれは少女だけ。下にいた探偵さんと兵器はそうじゃない。ほとんど爆発に巻き込まれていた。
無事を確かめるために少女は自分の身体を起こす前に視線を泳がせる。土煙が立ち昇って兵器が倒れていることは分かるがその他はまったく分からない。
「探偵さんっ!」
少女は出したことがないほどの大きな声を出す。それくらい動揺していた。それに動けなかった。お医者さんに傷つけられた部分が痛む。こんなもの邪魔だと思った。でも、それも全て受け入れないとこれから先には進めない。でも今は、今だけは本当に邪魔だと思った。
「探偵さん……」
姿を現さない探偵さんに段々と諦めが強くなっていく。
ほんと短い時間だった。探偵さんと出会って少女の中で全てが変わった。その変化の引き換えに探偵さんを失うだなんて、ほんの少し前まで絶対に止めないと行けないと。そう思っていたのに。
「いずれ探偵さんをを含め全てのアンドロイドは次の世代のためにいなくならなければならない。けれど。それは今じゃないと、そう考えていたのに。
あっという間のことだ。判断ミスをどこでしたのか分からなかった。そもそも判断する時間もなかった。リセットってこういうときにしたくなるのか。なんてこれまでしてきたことが無駄になってしまうようなことまで頭をよぎる。
でも受け入れなければいけない。創造主はこれを受け入れられなくて、苦悩した結果、亡くなった娘そっくりのアンドロイドを作った。そのことに後悔していたのだ。それを知ってなお少女はおなじ選択をすることはできない。この結果を覆すことはできないのだ。
受け入れろ。受け入れろ。頭では分かっているのに。何かが邪魔をする。探偵さんはもう戻ってこないのだと。
その瞬間だった。大きな爆発が再び起きて兵器が弾け飛ぶのが分かる。土埃もその衝撃で拡散しいて、視界が一気にひらけた。そこにアンドロイドの影がある。間違いなく探偵さんだ。這いずりながら必死に爆心地へと急ぐ。
無事じゃないことは分かってる。でも、近くでその姿を確認したかった。
すると次は塔のてっぺんの方から爆発音が聞こえた。きっとお姫様が残った兵器を排除するに当たって爆発したのだろう。しかし、爆発はそのあとも数回続いた。何が起きているのか、考えても仕方がないと探偵さんへと急ぐ。
ようやくたどり着いて、探偵さんの顔を低いところから覗き込む。これまでに無い近さに戸惑いつつも、そこまで近づいてもまったく動かない探偵さんに不安が確信へと変わる。どうやったって治らないほどに身体は砕け散っている。
でも、顔はどうにか探偵さんと判別できるだけは残っていて……。
「……どうして。どうして笑っているの?」
その顔は満足した表情で笑っているように見える。どうしてだ。最後の瞬間は間違いなく探偵さんは自身ことは諦めていたはず。それなのにどうして。
小さな瓦礫が少女たちに降り注ぎ始める。上を見ると塔のが上の方から徐々に壊れていくのが見て取れる。管理者たちは無事なのだろうか。何が起こったのだろうか。考えたくない。これ以上、なにかを失うことが怖い。
ふと、視界がかすみ始めたことに疑問を覚えた。落下の衝撃でどこかの機能に異変が生じているのだろうか。瓦礫の落下も大きくなって行っている。ぶつかりなんてして、少女自身が動けなくなってしまったらなんのために探偵さんが犠牲になったのか分からない。
探偵さんを引きずりながらどうにか瓦礫が少ない場所まで塔から離れることが出来た。その間にも視界がかすんでいく……いや、これは滲んでいるのか。
その時、水滴が目から溢れた。思わずそれが垂れないように上を向く。そこには段々と崩れていく塔の姿があって。少女はそれは呆然と眺めることしか出来なかった。
その一瞬の浮遊感で地面との衝撃は随分と和らいだように思う。しかしそれは少女だけ。下にいた探偵さんと兵器はそうじゃない。ほとんど爆発に巻き込まれていた。
無事を確かめるために少女は自分の身体を起こす前に視線を泳がせる。土煙が立ち昇って兵器が倒れていることは分かるがその他はまったく分からない。
「探偵さんっ!」
少女は出したことがないほどの大きな声を出す。それくらい動揺していた。それに動けなかった。お医者さんに傷つけられた部分が痛む。こんなもの邪魔だと思った。でも、それも全て受け入れないとこれから先には進めない。でも今は、今だけは本当に邪魔だと思った。
「探偵さん……」
姿を現さない探偵さんに段々と諦めが強くなっていく。
ほんと短い時間だった。探偵さんと出会って少女の中で全てが変わった。その変化の引き換えに探偵さんを失うだなんて、ほんの少し前まで絶対に止めないと行けないと。そう思っていたのに。
「いずれ探偵さんをを含め全てのアンドロイドは次の世代のためにいなくならなければならない。けれど。それは今じゃないと、そう考えていたのに。
あっという間のことだ。判断ミスをどこでしたのか分からなかった。そもそも判断する時間もなかった。リセットってこういうときにしたくなるのか。なんてこれまでしてきたことが無駄になってしまうようなことまで頭をよぎる。
でも受け入れなければいけない。創造主はこれを受け入れられなくて、苦悩した結果、亡くなった娘そっくりのアンドロイドを作った。そのことに後悔していたのだ。それを知ってなお少女はおなじ選択をすることはできない。この結果を覆すことはできないのだ。
受け入れろ。受け入れろ。頭では分かっているのに。何かが邪魔をする。探偵さんはもう戻ってこないのだと。
その瞬間だった。大きな爆発が再び起きて兵器が弾け飛ぶのが分かる。土埃もその衝撃で拡散しいて、視界が一気にひらけた。そこにアンドロイドの影がある。間違いなく探偵さんだ。這いずりながら必死に爆心地へと急ぐ。
無事じゃないことは分かってる。でも、近くでその姿を確認したかった。
すると次は塔のてっぺんの方から爆発音が聞こえた。きっとお姫様が残った兵器を排除するに当たって爆発したのだろう。しかし、爆発はそのあとも数回続いた。何が起きているのか、考えても仕方がないと探偵さんへと急ぐ。
ようやくたどり着いて、探偵さんの顔を低いところから覗き込む。これまでに無い近さに戸惑いつつも、そこまで近づいてもまったく動かない探偵さんに不安が確信へと変わる。どうやったって治らないほどに身体は砕け散っている。
でも、顔はどうにか探偵さんと判別できるだけは残っていて……。
「……どうして。どうして笑っているの?」
その顔は満足した表情で笑っているように見える。どうしてだ。最後の瞬間は間違いなく探偵さんは自身ことは諦めていたはず。それなのにどうして。
小さな瓦礫が少女たちに降り注ぎ始める。上を見ると塔のが上の方から徐々に壊れていくのが見て取れる。管理者たちは無事なのだろうか。何が起こったのだろうか。考えたくない。これ以上、なにかを失うことが怖い。
ふと、視界がかすみ始めたことに疑問を覚えた。落下の衝撃でどこかの機能に異変が生じているのだろうか。瓦礫の落下も大きくなって行っている。ぶつかりなんてして、少女自身が動けなくなってしまったらなんのために探偵さんが犠牲になったのか分からない。
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その時、水滴が目から溢れた。思わずそれが垂れないように上を向く。そこには段々と崩れていく塔の姿があって。少女はそれは呆然と眺めることしか出来なかった。
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