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1 希望の5円玉
しおりを挟む「お、空いてるな~やっぱこの時間なら、もう来ている人もいないか。」
俺は、どこにでもいる普通の男子高校生。異世界モノの小説を愛し、いつか異世界転移を果たすことを夢見る男だ!
なぜ転移かって?転生はだめなのかって?だって、転生って、死ぬじゃん?死ぬって、怖いし痛いし・・・取り返しつかないからさ、おすすめしないよ?
今日は、元旦。人混みが苦手な俺は、誰も来ないであろう夜に、初詣のため近くの神社を訪れていた。
やはり、人の少ない神社で、俺はさっさと手を清めて参拝に向かう。手を清めている間に、少なからずいた人もいなくなった。
「よーし。この日のために、1年間ずっと願いを込め、転生モノ小説に挟み込み続けたこの5円玉を使う時が来たな。」
俺は、大切な大切な5円玉をそっと賽銭箱に落とし込んだ。
「ここまでしたんだ、どうか叶えてくれよ、神様!」
俺を、異世界に連れて行ってください!ハーレム希望!
あ、言語わからないと困るんで、デフォルトで自動翻訳もつけてください。
それと、異世界に行って即死も嫌なんで、保護してくれる人がそばにいると助かります。
あと、不思議な力・・・チート、何でもいいので、チートをお願いします!
あーでも、俺人殺しとかできるかな?魔物、動物殺すのにも抵抗あるだろうし。誰か、俺を守ってくれる人がいると嬉しいです。で、その人は俺のことを愛していて、美しく、豊かなむ・・・身体。
あ、でも、一人だとその人が離れた時、俺の安全が確保できなくなるので、2人・・・いや、大事を取って3人でお願いします。
「・・・あと、なんだっけ・・・うーん。とりあえず、今年はこれだけで。よろしくお願いします!」
頭を下げると、ごんっと衝撃が襲って、倒れこんだ。
「いたっ!え、もう!?」
涙目で目を開ければ、そこには大きな賽銭箱が。どうやら、頭を下げた時に賽銭箱にぶつかってしまったようだ。
「・・・ま、そんなもんか。今度は、どうするかな~教会で願ってみるのもいいか?異世界って、西洋風のところ多いし。」
気を取り直して立ち上がり、尻を叩いて土ぼこりを払った。
帰り道、光を放つ自動販売機を見つけて、俺はお茶でも買うことにした。
ポケットからお金を出して入れ、100円のペットボトルのお茶のボタンを押すが、反応がない。
「あれ?おかしいな?」
ボタンが点灯していないことに気づき、入れたお金の額を確かめれば5円となっていた。
俺のポッケには、100円と5円玉が入っていた。いや、間違えるはずないじゃん?一緒に入れたって、大きさ違うし穴空いているのと空いていないのだよ?なんで、俺間違えた!?
「あーっ!う、嘘だろ!俺の思いを込めた、1年の思いを込めた5円が!って、俺賽銭に100円も使ったのかよ!コンチクショ―!」
あわてておつりのレバーを下げて、5円を救出。
「く、くそ。こうなったら、何が何でも異世界だ!100円使ったんだ、105円くらいくれてやる!」
俺は、5円玉を握りしめて走った!もと来た道を引き返すのは、なんだか徒労感がすごかったが、それくらい我慢できる!俺は、1年間この5円にかけていたのだから!
チャリン。
そして、汗だくの俺は、賽銭箱に今度はしっかりと5円玉を落とし込んだ。
本当に、マジで、頼みます!この、俺の思いがこもった5円を見てください。俺、本気なんです。本気で異世界に行きたいんです!本気でハーレム欲しいし、本気でちやほやされたいし、本気で命第一、異世界ライフを満喫したいんです。
「マジで、頼みます。」
勢いよく頭を下げ、ゴンっと頭に衝撃が走った。
「いつっ!ま、またかよ。」
涙目で目を開ければ、やはり目の前にあるのは賽銭箱。その光景に俺はため息をついた。
「やっぱ・・・無理なのか。」
それは、諦め。先ほどの期待など、どこかに消えてしまった。
これなら、異世界に行けるのではないかと、色々やった。やっているうちは、期待に胸を高鳴らせていたが、いざそれが終わるといつも虚無感に襲われた。
「俺、何やってんだろ。」
長期休み中、ずっと異世界モノ小説読んだり、古本屋でぼろぼろの怪しげな異世界モノ小説買って、枕の下に置いて寝てみたり。
魔法陣も描いたな。ラノベとか読んで、異世界に飛ばされた主人公が飛ばされるときに浮き出た魔法陣を何枚も描いたな・・・
異世界に行ける方法なんて、何でも試した。エレベーター使ったやつとか、寝るやつとか。
「その結果、今があるんだ。何も変わらなかった今が。」
ビュウっと冷たい風が吹き抜けて、我に返った俺は立ち上がったが、急に立ち上がったせいで立ち眩みがした。
「うわっ!?」
後ずさった俺の足元に地面はなく、俺は落ちた。
そういえば、すぐ後ろはちょっとした階段だったことを思い出し、背筋が凍る。
俺、今日一日で何回尻もち着くんだよ。
ドンっと今日一番の尻もちをついた俺は、目を開けようとして目が開けられない。
「なんだ、眩しい?」
夜なのに、なぜかあたりが明るく眩しかった。それも、車のライトを真正面から見ているような眩しさで、本当に目が開けられない。
でも、光は徐々に弱くなって、まだ明るいが目を開けられる程度には暗くなった。
「なんなんだよ、一体・・・」
「ようこそ、聖じ・・・さま?」
「は?」
神社には誰にもいなかった。なのに、声を掛けられた。
目を開ければ、目の前には外国人が戸惑った顔をしてこちらを見下ろしていた。
「・・・え?」
あたりを見回す。そこは、完全に神社ではなかった。
そこは、俺が夢にも見た、何処か浮世離れした光景。俺を取り囲む白い服を着た人々、白い建物。
俺、異世界転移してね?
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