男だけど、聖女召喚された

製作する黒猫

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3 異世界で初の美少女!

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 エルズムの話を聞いていると、急に外が騒がしくなった。



「状況を聞いてきます。ここでお待ちを。」


「はい。」


 エルズムが外に出て、すぐに騒ぎは収まった。何だったのだろうかと考えていると、大きな物音を立てて、扉が開かれた。

 そこに立っていたのは、エルズムではなく、銀髪の美少女だった。アルビノかと思ったが、肌は白いは白いが、普通の白さで、しかも瞳の色が青色だったので、そういうわけではないようだ。

 アルビノだと、髪も肌も色素が抜けていて、瞳は赤。日の光に弱いらしく、生活が大変そうなので、目の前の美少女がそうでなくてよかった。

 今は真昼間で、窓の外から刺す日が部屋の中を明るくしているからな。



 それにしても、綺麗だ。銀の髪は儚いイメージがあったが、つり目であるために神秘さが勝る。女神という言葉がふさわしい子だと思う。年は、俺と同じくらいに見える。



「・・・本当に、召喚されてしまったようですね。」


「え?」


 召喚が成功したことに対する残念さが、声に現れていた。

 美少女は、俺に向かってゆっくりと歩き、俺と多少間隔を空けた場所で立ち止まる。つり目ではあるが、眉がさがっており勝気な印象ではない。これから何を言われるのだろうかと考えていると、唐突に美少女が頭を下げた。



「な、何を!」


 叫んだのはエルズムだ。俺は言葉を失っていて、何も言えない。



「この度は、誠に申し訳ございませんでした。我が国の事情にあなたを巻き込み、あなたをこのような場所にお連れしてしまいました。すべてこちらの落ち度でございます。」


「・・・」


 そうか、この子はまともなんだ。

 俺は、異世界に来たくて仕方がなかった。だから、召喚されたことを喜んでいた。でも、そうでなかったとしたら?こんなことは誘拐同然だと、怒るだろう。俺が読んでいた小説の主人公たちにも、そういう者は多くいた。

 でも、俺は違う。目の前の美少女が頭を下げる必要なんてない。



「俺は、気にしていないよ。だから、もう頭を上げて。」


「・・・お優しいのですね。」


 美少女が頭を上げれば、当り前だけど美少女と目が合った。

 俺は、動揺して目をそらしてしまう。仕方がないだろ、女神レベルの美少女だぞ!?動揺しない方が無理だ!



 俺の様子を見て、美少女は微笑んだ。



「召喚されたのが、あなたでよかったです。」


「え、はい・・・それは、どうも。」


「自己紹介が遅れましたね。私は・・・ヘレーナ。ただのヘレーナと覚えていただければ。」


 ただのヘレーナという自己紹介は不思議だったが、微笑まれればそんなことどうでもよくなった。まずい、俺は魅了されているようだ!



「へ、ヘレーナ・・・俺は、セイト。これからよろしく。」


「はい、セイト様。」


 うわ~セイト様・・・いい響きだ。エルズムに言われた時とは全く違うな。こんなことなら、本名にしておけばよかった・・・



 俺が幸せに浸っていると、また外が騒がしくなった。何事かと、再びエルズムが様子をうかがおうと扉を開ければ、エルズムが吹き飛ばされた。



「レナ!」


 エルズムを吹き飛ばした人物は、エルズムには目もくれずにヘレーナを見つめた。男は、金髪に赤い瞳を持つ、腹黒そうな男だ。美形だからとねたんで言っているわけではない。男の美形は、等しく腹黒いものだ。決してねたんではいない。



「お前、レナに何をするつもりだ!」


 ヘレーナから俺に視線を移した男は、すごい形相で俺を睨みつけ、次の瞬間には俺とヘレーナの間に入って、俺を至近距離から見下ろしていた。



「な、え?」


「聖女になりすまし、レナに近づき何をしようというんだ!この変態が!」


「はっ!お前、言いがかりもほどほどにしろよ!」



 いくら美形だからって、何を言っても許されると思うなよ、この美形がっ!



「黙れ!」


 男は、腰に下げた剣を鞘から抜く。

 え、それはちょっと・・・



 まずい。俺戦えるのか!?チート、俺のチートはなんだ!?まずいまずいまずい!このままだと、俺・・・殺される!?



 しかし、男の剣が抜かれることはなかった。男が剣を抜こうとする腕を、細身の男がつかんだのだ。どうやら、この細身の男は最初から部屋にいたようだ。ヘレーナしか見ていなかったから、気づかなかったな。



「ディー!離せ!」


「ハインリヒ、それはレナの望むことではないよ。離すのは君だ。その手を剣から離せ。」


「・・・」


「・・・」



 無言でにらみ合う2人。



「ハインリヒ、なぜあなたがここにいるのですか?私は、しばらくあなたの姿は見たくないと、言ったはずですが?」


「っ!・・・レナ、じょ冗談だよな・・・?」


 ヘレーナの言葉で、剣から手を離した男は、ヘレーナに向き直った。細身の男は、それを見てヘレーナの背後に控える。

 ヘレーナの護衛だろうか?ヘレーナは、ドレスを着ているし、貴族の令嬢だろう。俺に言いがかりをつけた男も、細身の男もヘレーナと仲がよさそうだが、主導権はヘレーナが握っている感じがする。2人も護衛か?



「冗談ではありません。当分、私に近づかないでもらえますか?」


「・・・そんな。」


 言葉を失って固まる男をよけて、ヘレーナは俺の前までくると、俺の手を握った。



「へ?」


「セイト様、私がお部屋を用意いたしましたので、どうか来ていただけませんか?」


「わ、わかった。」


「お待ちください!」


 俺のためにヘレーナが部屋を用意してくれたなんて、嬉しすぎだろ。と幸せに浸っていれば、横やりが入った。

 声を上げたのは、エルズムだ。吹き飛ばされたのに、普通に立っている。見た目以上に頑丈な奴だ。



「聖女様は、こちらでお預かりする予定だったはずです。」


「聖女様ではなかったので。神殿が用意したのは、男子禁制の場所だったと記憶しています。まさか、そこへセイト様をお連れするのですか?」


 男子禁制・・・魅力的だな。



「今、別の部屋を準備しています・・・なので。」


 やはり、ヘレーナが用意してくれた部屋が魅力的だな。



「では、お聞きしますが・・・その部屋は、あなた様がお使いになっている部屋でしょうか?」


「いいえ、元から空きがあった部屋を、セイト様用に模様替えしている最中です。」


「話になりませんね。それは、セイト様をあなたの下とみなす行為では?」


「・・・」


 話が見えないけど、俺の立場はエルズムより上ということか?エルズムは司祭と言っていたけど、どれくらいの地位があるのだろうか?


「聖女として召喚されたセイト様は、今微妙な立場におられます。安易に神殿に部屋を作る行為は、セイト様の地位を決めてしまうことになり、その地位が不当であるならば、神殿にセイト様の部屋を用意することを、私は認めません。」


「・・・申し訳ございませんでした。」


 どういうこと?つまり、俺はエルズムにいいように使われそうだった・・・ということか?



「セイト様、ひとまず城に来ていただけますか?」


「・・・え、城!?ヘレーナの屋敷ではなく!?」


「屋敷の方がよかったでしょうか?城の方が私はセイト様に会いやすくて・・・あ、申し訳ございません。私の方こそ自分勝手ですわね。」


「・・・」


 あれ、これは何?もしかして、ヘレーナって俺のこと・・・



「俺、城に行くよ。城の方が、ヘレーナの力になれるんだろ?」


「それはそうですが・・・よろしいのですか?」


「もちろん!」


 美形か美少女かと言われれば、美少女のヘレーナを選ぶに決まっているじゃないか!

 こうして、俺は城に行くことになった。



 実は、この神殿は城の敷地内にあるようで、特に移動時間はとられずに行けた。

 城へは、俺とヘレーナ、護衛らしき細身の男で行くことになったが、俺に言いがかりをつけてきた男とエルズムも一緒に来ようとして、ヘレーナに止められた。

 エルズムは、神殿の混乱・・・俺が聖女でなかったという混乱を抑えてから来てほしいと言われ、男は俺にもヘレーナにもしばらく近づかないように言われて、肩を落としていた。



 ヘレーナ最強だな。一体何者なんだろう?







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