ソーセージで世界を救う!?

製作する黒猫

文字の大きさ
3 / 13

無理なんてない2

しおりを挟む


 前校2年のとき転校してきたポメラは、最悪なお嬢様だった。でも、俺は意地でも友達になろうとして、話しかけた。だが、返ってくるのはひどい言葉ばかりで、正直心が折れそうだった。



「貧乏貧乏って・・・確かに、俺ん家はしがないソーセージ屋で、利益度外視の商売してるけどよ、そんなに言う事ねーだろ、あのお嬢様・・・」

 気づけばため息をついていた俺は、声を上げて憂鬱な気分を吹き飛ばした。



「こんな時は、ソーセージだ!もうおやつの時間だし、今日は外で食べるかな。」

 俺は家のソーセージを一本取って、外へ出た。公園の木に登って食べようと思い、俺は公園に行くために商店街を通った。串焼き屋なんかもあるので、辺りはお腹がすくようなにおいがする。



「いやいや。俺にはこのソーセージがあるからな。金はないけど、ソーセージはある。」

 串焼きの誘惑を断ち切って歩く俺の前に、誘惑に負けそうな少女が目に入った。白いワンピースを着た少女は、一目でいいところのお嬢さんとわかる。つまり、ポメラだった。



「ポメラ?」

「っ!何よ庶民。」

 名前を呼ばれびくついたポメラだったが、俺だとわかり腕を組んで威圧的な態度になる。しかし、そのあとすぐにきゅうっと可愛い音が鳴って、顔を真っ赤にさせた。



「なんだ、腹減ってんのか?」

「ち、違う・・・うぅ。」

 もう一度鳴った腹の音に、涙を浮かべるポメラ。俺はその手を取って、走り出した。

 後ろで文句を言われたが、無視して走る。



 連れてきたのは、もちろん公園だ。



「ポメラは、木登りはしたことあるのか?」

「そんな下賤な事、するわけないでしょう。」

「ふーん。なら木の上から見る景色を見たことがないのか。もったいないな。」

「・・・そんなもの、見たくないわ。」

「もしかして、怖いのか。木登り。」

「こ、怖くなんてないわ。そんなに言うなら登ってあげてもいいわよ。」

「なら来いよ。」

 俺はさっさと登り始めて、ポメラを見下ろした。



「・・・わかったわよ!」

 慣れない動きで木に登るポメラを、俺はお気に入りの場所で待った。そして、たどり着いたポメラに手を伸ばす。



「俺、ここの景色が好きなんだ。」

 木の枝の上に座って、足を投げ出している俺と同じように足を投げ出すポメラだが、やはり怖いようで俺に抱き着いていた。



「た、高いわ。」

「ポメラ、前を見ろよ。」

 ポメラは顔を上げたが、その目は俺を見ていた。



「俺じゃなくて、あっち。いつも下から見える景色を上から見るって、新鮮で面白いよな。」

「・・・」

 なんと言っても、ポメラは俺か木の下を見るだけで、俺が好きな景色を見なかった。そのことにちょっと怒ったが、ポメラがお腹がすいてることを思い出し、俺は懐からソーセージを出した。



「あげる。」

「・・・これって。」

「俺のところのソーセージだよ。おやつに持ってきたんだけど、あげる。」

「あなたのは?」

「俺は家に帰ればたくさん食べれるから。金はないけど、ソーセージはたくさんあるんだ。ソーセージはすごいんだぞ。お腹を膨らませてくれる。お腹が膨らむってのは、幸せな事なんだ!」

「・・・それって、私を幸せにしたいってこと?」

「?」

「仕方がないわね。食べてあげるわ!」

「なんでそんなに偉そうなんだ?」

「それは、私が偉いからよ?でも、そうね。あなたとは今から友達だから、対等に見てあげるわ。感謝しなさい!」

「・・・?ありがとう?」

「どういたしまして。」

 満面の笑みを浮かべて、彼女はソーセージを食べ始めた。



 つまり、ポメラは餌付けすると友達になれるお嬢様だったのだ。









「そうか・・・」

 俺はポメラとの出会いを思い出して、気づいた。



「早速、とりかかろう。」

 するべきことを見つけた俺は、立ち上がって研究室に向かった。手始めに親父のボディにこぶしをめり込ませた。





 夕刻。



「できた・・・完成だ。」

「いや、まだだハム。更に白いコーティングをするべきだ!」

「黙れ、クソ親父!」

「くはっ」

 俺の作品を台無しにしようとするカビ男をのして、俺は作品に手を伸ばした。掴んだ感じが驚くほど手になじみ、思わずため息がこぼれた。



「ハム、いる?」

「ポメラっ!良いところに来たな!」

 研究室の扉を開けて顔をのぞかせるポメラに近づいて、その体を抱きしめた。



「え、ちょちょえ?」

「ポメラ、お前のおかげだ、ありがとう。」

「いや、まだ渡してないけど?」

「何の話だ?いや、まずはこれを見てほしい。」

 俺はポメラに作品を披露した。ポメラは口を開けて驚いている。



「あんた、その馬鹿でかいソーセージをどうするつもりよ。」

「馬鹿・・・とは聞き捨てならないな。この素晴らしい作品に対して失礼だろう?ま、ポメラだから許すけど。」

「わ、私だから・・・そ、そう。そうね、馬鹿は失礼だったわ。でも、その素晴らしい作品を馬鹿にしたわけではないの。私が馬鹿にでもなったのかと思ってしまうくらい、素敵な作品という事よ。」

「ははっ。ポメラは面白いな!」

 ポメラは最初から馬鹿だろうに。



「ポメラ、俺はこのソーセージを相棒に戦うことにした。ソーセージ屋の息子らしくていいだろ?」

「え!?・・・あ、まー・・・そうね。」

 なぜか遠い目をするポメラが心配になったが、それより気になるものを見つけた。



「その白い布が巻いてあるのって、もしかして剣か?早速おじさんに借りてきてくれたんだな、ありがとう。でも、俺の相棒はこれだから・・・ごめんな。」

「・・・いいのよ。もう、仕方がないわね。」

 こちらに微笑みを浮かべたポメラは、ものすごく可愛かった。





(まさか、ソーセージで魔王に挑もうとか、本気で思うなんてね。でも、そんなハムも・・・)



「いいわね。」

「何が?」

「もちろん、その素晴らしいソーセージの話よ。」

「ポメラは話の分かるやつだな!」



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...