上 下
87 / 140
子育てのお話

たとえ親子であってもお金の貸し借りはよくない 借りたほうには甘えが出て、貸したほうには不満が残る

しおりを挟む
 その昔、母が子どものいない叔母の介護をし、亡くなったあとに遺産をもらったことがあった。

 それを聞きつけた親戚が介護のお手伝いなど一切やっておらず、葬儀にすら来なかったくせに「娘が生活に困っていてお金を貸してくれ」と、誰も家族がおらず、母一人で家にいるときを狙ってやってきた。

 母は、その人の娘は病気で仕事ができず可哀そうだと思い、お金を貸した。

 あとになり、その娘の病気はパチンコ依存症で、貸したお金を返そうと思ってパチンコで頑張ったが、残念ながら負けてしまい返せなくなったと母に説明したそうだ。

 バカヤロー! 働け!

 そう思ったが、もうどうしようもない。

 貸したほうは貸したつもりでも、身内から借りたお金はもらった(謝れば返済しなくていい)ものだと、本気で思っている人種もいるものだ。

 お金を貸すときは必ず何か担保になるものを貸す前にとるべきだと言う。

 もし返済が滞ったときに相手に開き直って「返せません」と言われたときに腹が立つのであれば。

 借りるときはへりくだって、返せないと告白するときは強気な態度の我が身内のような人種もいるものである。

 もしも貸してあげたいときは、この金額ならなくなっても惜しくないと思う金額に留めておくことだ。

 これは寄付もそうだと思う。

 昔、うちの祖父が「家の近くに老人の憩いの場をつくるから寄付を募ります」ということで「それはとても嬉しい!」と、100万のお金を寄付したそうだ。

 ところが数か月後「残念ながら土地の確保ができませんでした」という説明があり、元にあった場所の改修工事にその費用はあてられた。

 祖父はとても怒った。

「近所に憩いの場をつくると言ったから寄付したんだ! 元の遠い場所の改修工事のためだったら、そんなに寄付していない。騙したのなら返してほしい」と。

 だが、寄付なので返却できないと言われたそう(もう使っているから仕方ないよね)

 お金を渡した後の相手のお金の使い道についてあれこれ不満に思いそうなら出さないことだ。

 これは親子でも同じだと言う。

 ある方が息子さんに「就活用のスーツを買いなさい」とお金を渡したそう。

 ところが、息子さんは「いいのが今日はなかった」と言った。

 代わりに「いいのがあったからスマホを買った」と言ったそう。

「お金を返せ」という母に対して、息子は開き直り。

 そこで母親は逆襲!

「じゃあ、スマホの基本料金は自分で払え」と親子セットでのスマホ料金支払いの契約スタイルを解除。

 そこでようやく息子さんは反省したそう。

 私は矢沢あい先生の漫画『NANA - ナナ-』が好き。 1

 この漫画に、すぐにお金をつかっちゃうハチに友達の淳ちゃんがお金ではなくお米をあげようとするシーンがある。

 お金を渡すとすぐにお洋服とか、違うものに使っちゃうかもしれない。

 でも、大切なお友達を飢え死にさせたくないから、お米をあげて自炊させるという。

 生活に困っている人に魚そのものをあげるよりも、魚の釣り方を教えてあげるほうが大事。

 お金を貸してくれって言う相手には、お金そのものを渡すよりも、お金をあまり使わなくて良い生活スタイルの提案をしたり、お金の増やし方を教えるほうが有意義だと思う。
しおりを挟む

処理中です...