47 / 76
プロポーズ1
隅々まで手入れの施された庭園にはチューリップが植えられていて、蕾が開き始めている。この世界も日本と同じように四季があって、今は冬から春になる変わり目だとボーモンさんから教えてもらった。
「やっぱり、近くで見ると綺麗ですね」
赤、ピンク、黄色、白、オレンジ。色鮮やかなチューリップが色ごとに分けられて、均等に植えられている。まだ満開じゃないけど、咲き始めているのを見るだけでも癒されるし、なんだか僕も元気になれる気がする。
「喜んでもらえて嬉しいです。クウ」
「オーバン様」
今日のオーバン様は何時も以上に気合が入っていて、すごく綺麗。白地に青い刺繍の施された衣装は、結婚式に着るタキシードのようで、思わずドキッとしてしまう。襟足だけ長く伸ばしている髪も光沢のある青いリボンで結ばれていて、眩しすぎて直視できない。
「クウ。私の気持ちを、どうか受け取ってください」
「え?」
庭園の真ん中で、オーバン様は片膝をついて僕に花束を差し出した。薄ピンクのチューリップの花束を。驚いて固まっていると、オーバン様に「クウ?」と呼ばれて、僕は慌てて花束を受け取った。
「クウ。私はずっとクウだけを想い続けてきました。最初に出会った時から、ずっと」
「え? ぇえ?」
と、突然どうしちゃったんですか!? オーバン様! 急に花束を渡してきたり、真剣な表情をして僕の手を取ったりするなんて。これじゃあまるで……
「好きなんです。クウのことが誰よりも。大切にします。必ず幸せにすると誓います」
「オ、オーバン様?」
や、やっぱり、そうだ。僕、オーバン様にプ、プププ、プロポーズされてる!? わわ! ど、どどど、どうしよう! 僕の手の甲にキスしてる! 格好いいし綺麗だし、僕、どうしたらいいの!? さっきから心臓がバクバクして落ち着かないよ! 誰か、誰か助けて! そんな僕の気持ちを無視して、オーバン様は真剣な表情のまま僕を見つめながら口を開いた。
「クウ。私の最愛の人。私と、結婚してください」
「は、はい! 喜んで!」
思わず勢いでOKしちゃった。だって、だって、オーバン様からプロポーズされるなんて思っていなくて。花束とか、ゆ、指輪とか、僕の為に用意してくれたんだと思うと嬉しくて。本当に、嬉しくて……あれ? どうして、視界が歪んでいるんだろう?
「クウ。その涙は、嬉しくて流しているんですか?」
「え? あ、れ?」
オーバン様に言われて、僕は泣いているんだと気付いた。悲しくない筈なのに、次から次へと涙が流れて止められない。オーバン様に言われた通り、嬉しくて泣いているんだ。オーバン様にプロポーズされて、結婚しようって言われて、この先もずっとオーバン様と一緒にいられるんだと思ったら、胸が苦しくなって、涙が止まらなくなった。
「驚かせてしまいましたね。クウを喜ばせたかったのに、泣かせたら意味がありません」
「そんな! オーバン様のせいじゃないです! 僕、嬉しくて、夢みたいで、それで……」
「私と、結婚してくれるんですか?」
「したい、です。僕には、オーバン様しかいないから」
「ありがとうございます! クウ!」
「わ!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、僕もオーバン様の背中に腕を回して抱きしめ返す。オーバン様は出会った時から優しかった。オーバン様だけが、僕を愛してくれた。ボーモンさん達も優しかったけど、オーバン様の愛とは違う。誰にも愛されないと諦めていた僕を、オーバン様は愛してくれた。だから、同じくらい僕もオーバン様を愛したい。
「クウ」
「オーバン様」
至近距離で見つめあった後、僕達はそっと唇を重ねた。キスなんて何度もしたのに、このキスは神聖な、特別な感じがしてドキドキする。触れるだけのキスをして、唇を離した僕達はなんだか恥ずかしくなって、それを隠すように笑って誤魔化した。
「やっぱり、近くで見ると綺麗ですね」
赤、ピンク、黄色、白、オレンジ。色鮮やかなチューリップが色ごとに分けられて、均等に植えられている。まだ満開じゃないけど、咲き始めているのを見るだけでも癒されるし、なんだか僕も元気になれる気がする。
「喜んでもらえて嬉しいです。クウ」
「オーバン様」
今日のオーバン様は何時も以上に気合が入っていて、すごく綺麗。白地に青い刺繍の施された衣装は、結婚式に着るタキシードのようで、思わずドキッとしてしまう。襟足だけ長く伸ばしている髪も光沢のある青いリボンで結ばれていて、眩しすぎて直視できない。
「クウ。私の気持ちを、どうか受け取ってください」
「え?」
庭園の真ん中で、オーバン様は片膝をついて僕に花束を差し出した。薄ピンクのチューリップの花束を。驚いて固まっていると、オーバン様に「クウ?」と呼ばれて、僕は慌てて花束を受け取った。
「クウ。私はずっとクウだけを想い続けてきました。最初に出会った時から、ずっと」
「え? ぇえ?」
と、突然どうしちゃったんですか!? オーバン様! 急に花束を渡してきたり、真剣な表情をして僕の手を取ったりするなんて。これじゃあまるで……
「好きなんです。クウのことが誰よりも。大切にします。必ず幸せにすると誓います」
「オ、オーバン様?」
や、やっぱり、そうだ。僕、オーバン様にプ、プププ、プロポーズされてる!? わわ! ど、どどど、どうしよう! 僕の手の甲にキスしてる! 格好いいし綺麗だし、僕、どうしたらいいの!? さっきから心臓がバクバクして落ち着かないよ! 誰か、誰か助けて! そんな僕の気持ちを無視して、オーバン様は真剣な表情のまま僕を見つめながら口を開いた。
「クウ。私の最愛の人。私と、結婚してください」
「は、はい! 喜んで!」
思わず勢いでOKしちゃった。だって、だって、オーバン様からプロポーズされるなんて思っていなくて。花束とか、ゆ、指輪とか、僕の為に用意してくれたんだと思うと嬉しくて。本当に、嬉しくて……あれ? どうして、視界が歪んでいるんだろう?
「クウ。その涙は、嬉しくて流しているんですか?」
「え? あ、れ?」
オーバン様に言われて、僕は泣いているんだと気付いた。悲しくない筈なのに、次から次へと涙が流れて止められない。オーバン様に言われた通り、嬉しくて泣いているんだ。オーバン様にプロポーズされて、結婚しようって言われて、この先もずっとオーバン様と一緒にいられるんだと思ったら、胸が苦しくなって、涙が止まらなくなった。
「驚かせてしまいましたね。クウを喜ばせたかったのに、泣かせたら意味がありません」
「そんな! オーバン様のせいじゃないです! 僕、嬉しくて、夢みたいで、それで……」
「私と、結婚してくれるんですか?」
「したい、です。僕には、オーバン様しかいないから」
「ありがとうございます! クウ!」
「わ!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、僕もオーバン様の背中に腕を回して抱きしめ返す。オーバン様は出会った時から優しかった。オーバン様だけが、僕を愛してくれた。ボーモンさん達も優しかったけど、オーバン様の愛とは違う。誰にも愛されないと諦めていた僕を、オーバン様は愛してくれた。だから、同じくらい僕もオーバン様を愛したい。
「クウ」
「オーバン様」
至近距離で見つめあった後、僕達はそっと唇を重ねた。キスなんて何度もしたのに、このキスは神聖な、特別な感じがしてドキドキする。触れるだけのキスをして、唇を離した僕達はなんだか恥ずかしくなって、それを隠すように笑って誤魔化した。
あなたにおすすめの小説
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
妹に婚約者を取られるなんてよくある話
龍の御寮さん
BL
ノエルは義母と妹をひいきする父の代わりに子爵家を支えていた。
そんなノエルの心のよりどころは婚約者のトマスだけだったが、仕事ばかりのノエルより明るくて甘え上手な妹キーラといるほうが楽しそうなトマス。
結婚したら搾取されるだけの家から出ていけると思っていたのに、父からトマスの婚約者は妹と交換すると告げられる。そしてノエルには父たちを養うためにずっと子爵家で働き続けることを求められた。
さすがのノエルもついに我慢できず、事業を片付け、資産を持って家出する。
家族と婚約者に見切りをつけたノエルを慌てて追いかける婚約者や家族。
いろんな事件に巻き込まれながらも幸せになっていくノエルの物語。
*ご都合主義です
*更新は不定期です。複数話更新する日とできない日との差がありますm(__)m
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。