巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います!

yao

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20 床屋 (改)

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ハーマンさんは俺を御者のところに乗せたかったみたいだけど、風でフードが捲れてしまうからとセプター様が中に入れてくれた。

馬車は車より遅くて凄く揺れる。

でも座席は車より高いところにあるから見晴らしが凄く良い。

車窓から見る町並みは攻略対象とのイベントでお祭りや買い物をしていた時に見ていた景色のままだ。

それが4DXで体験できる素晴らしさにワクワクが止まらなくて つい窓の外を見入ってしまう。


あ💗あそこにセプター様の好きなドーナツ屋がある。
幸せになれる美味しいキャンディ屋さん、あんな隅っこの小さい店なんだ。
あっちは神子様が初めてドレスを買ったお店じゃない?
神子様がドレスを来てお店を繁盛させるイベント好きだったなぁ💗


「窓に近づきすぎです。フードをちゃんと被りなさい。」

「すみません。」


ハーマンさんに怒られてしまった。窓を見るのは止めて大人しくしてよう。


「リーフ、町は初めてか?」

「いいえ、ゲームで…」

じゃない。

「…ど…どんなところか聞いたことがありました。来たのは初めてです。」

「そうか、用事が済んだら町を少し回ろうか。」

「本当ですかっ!!ヤッター!!うっ」


ハーマンさんに脇腹を肘で突かれてセプター様に聞こえないように


「馬車の中で大声で騒ぐな。」

「す、すみません。」


また怒られちゃった。


それからは外も見ず、口も開かず、なにか聞かれたら相槌を打つだけにした。

ハサミが描いてある店の前で馬車はゆっくりと止まった。


「旦那様、着きました。」


御者が声をかけてドアを開け、セプター様、ハーマンさん、俺の順に馬車を降りる。

今度は順番を間違えなくてホッとしたのもつかの間、すぐにハーマンさんがキレ気味に俺に聞く。


「旦那様はお忙しい方だから、お前は一人で床屋に行けますよね。」


”旦那様のお手を煩わせないで一人で行きなさい”という圧が凄い。


子供じゃないんだから床屋くらい一人でいけますよーだ。


「はい。行ってき…」

「リーフは不慣れだから私が一緒に行こう。」


ハーマンさん、顔が真っ青になる。


「だっ、旦那様、それなら私が付き添い…」

「お前は他の用事があるだろう。リーフは俺が見ているから、代わりにこれを頼んだぞ。」

「………はい、旦那様。」


分厚い封筒を渡されたハーマンさんは悔しそうな顔をしてギリッと俺をひと睨みしてからお店に向かった。




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